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FP1級実技試験面接(2024年6月9日 PART2)

当日の設例はこちらの金融財政事情研究会のHPを御覧ください。

https://www.kinzai.or.jp/uploads/lib/question/202406/fp01_j_0609part2.pdf


1.設例読込(15分)

問題文から質問事項を以下引用させていただきます。

<FPへの質問事項>
1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。以下の①および②に整理して説明してください。

2.AさんがEさんに伝えた「管理不全空き家というものに該当してしまうと税金が高くなる」という制度の概要について説明してください。

3.Aさんが、Eさんに権利金等の一時金を支払うことなく、通常の地代で甲土地を賃借(普通借地)し、税務署に何ら申告しなかった場合、以下の①および②について教えて下さい。

 ①仮に、数年後にEさんが死亡し、相続税額の計算上、甲土地を貸宅地として評価する場合、課税上、どのような問題が生じる可能性がありますか。
 ②甲土地を貸宅地として評価した場合、課税上、どのような問題が生じる可能性がありますか。

4.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。

FP1級実技試験2024年6月9日 PART2

それでは、始めてくださいの合図で問題用紙を表にして、自分の名前を書きます。時計は外して机の上におきました。

ぱっと見の右の図の印象。
ん、これは問題の状況把握は難しくなさそう。いいかも。

質問事項を通読。 管理不全空き家? そんな論点あったっけ? 
直近の2024年4月からの相続登記の義務化に関係するよねっていう話しか知らん。武器ないからそれで引っ張るしかないない~。
あ~、やっぱ直近の法改正めっちゃ重要なんや!

貸宅地? 借地権の逆? えっ、わからんわからん。なんか武器あるかな。
これ、王道問題? それとも罠問題? 微妙なとこきたな~汗

ひとまず、呪文「取家資意ラ」と「現権需公市税提融」「税弁土司不宅行建」を列記。

次に問題文に目を通していきます。

2.設例を読みながらの心の声

空き家として放置?

  • 空き家の譲渡所得の3000万円控除なら分かる。3人なら2000万円になったやつ。それ使える? 3年目の12月31日までだっけ。

取り壊しに消極的?

  • これはなんだ? よくある建物を取り壊すと税金が高くなるからそのままにするってやつ? それは・・・あっ、宅地として評価されないと固定資産税の評価減がないやつか。小規模宅地の特例めっちゃ使わせてほしいんだけど、使えるかな~。あっ、Aさんじゃないけど、Bさんなら関係あるじゃんない!?。たしか固定資産税の減額って1/6、都市計画税1/3だったよね。200平米か。ギリ全部使えるね。

テレビの報道番組で空き家問題が取り上げられていました?

  • あっ、そんな番組見たことある。なんか覚えてないかな。。。

  • 結構処分に金かかるみたいな話しか、覚えてないな。それは空き家じゃなくて所有している土地の話で倒木とかで管理者責任とかの話だったな。

空き家を取り壊して、借り受けて自宅を建築したいの?

  • いいことじゃない。えっ、それEさんにまだ相談していないの? ん、どいうこと? ちょっとAさん先走りすぎじゃない。Fさん、Gさんが出てきたらこじれるかもよ。

無償で土地を借りられれば助かる?

  • そりゃそうだけど、Eさんオッケーしてくれる?

  • Eさんに地代を支払って賃借すれば、Eさんの相続対策になる。本当?罠?

  • 「通常の」も「相当の」も地代についてないんだけど。これ使用貸借? 権利金普通払うんじゃないの? でも親族だしな。。

  • Eさんの相続時に甲土地を妻Bさんが相続することの後押しになる? えっ,既成事実作るっていうこと? 他に当事者いるんじゃない!? Aさんあなた血族じゃなくて姻族でしょ。ちょっとAさん大丈夫かなぁ。


【質問事項を再読】

そこでもう一度質問事項に。

2については、固定資産税・都市計画税の話で引っ張るだけ引っ張って凌ごう。

3あっ、これ「通常の地代」のやつだ。これは、このままではあかんやつで認定課税だ。ん?それいつどこで発生する? いざ、相続で貸宅地として評価? ん、使用貸借いける? いけんくてもそれしか知らんのだけど。自用地×80%とかって使えるやつ? でも貸宅地として評価って評価もう貸宅地でって、言われてるじゃん。ん、意味わからん。もうクリンチ攻撃しながら、問題文から拾っていくしかないね。 うわ~、使える武器ないじゃん。することないわ、時間余った。そうだ、電卓だ。電卓使え。路線価100E Eは50%よ。それでポイントもらえるじゃない、きっと。200×100×50%。この土地の評価額は2億円ね。Eでよかったわ。借地権だか貸宅地だか分からんけど、どっちでも半分だもんね。
あとは、もう出たとこ勝負。時間があったらからってどうにかなる問題でもないのは、きっと自分的にはラッキーだよね。何が論点なのかさっぱり分からないけど。

ということでいざ出陣。
15分は私の出力パワーではちょうどよかったです。(苦笑)

薄い記憶を頼りに面接時間の応答です。
心の声が入りますがご容赦を。

3.出陣(口頭試問12分)

ルン:(コンコンコン)失礼します。
(入室した部屋は8畳くらい。まさに面談室といった感じ。)

面:どうぞお入りください。

ルン:しのっぴルンと申します。よろしくお願いします。
(左の面接官の方はロマンスグレーの優しそうな方、右の書記の方はいかにも士業をされてそうな50前後の働き盛りの方、でも威圧感は感じず。どうなるか分からんけどちょっと楽しみ~)

面:そちらにおかけください。

ルン:(イスに座って、テーブルに問題用紙と筆記用具、電卓をおく)

面:すでに問題文をよくお読みいただいたことと思いますが、示された情報の他にAさんから直接聞いて確認する情報はなにがありますか。

ルン:(よし、ここは言えるだけいうぞ!)
  「はい、まず甲土地・甲建物の相続に関わりますので、不動産の取得日、取得費を確認します。次に、ご家族の関係義父Eさんがご高齢ですのでその健康状態。義兄Fさん、義姉Gさんとのご関係は良好か。Aさんご自身の資産状況、資金計画。Aさんのご家族の妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんのご意向、あとAさんご自身のライフプランです。」
(おおっ、淀みなく言えた。シュカシイラ完璧にハマったやん!)

面:「これ、土地を借りようという話で、取得日・取得費いりますかね?」(苦笑)

ルン:「・・・あるにこしたことはないんですけど、たしかにそうですね。。。」(まじっすか!? 自分やらかした? というより、今日この試験官の先生は、このツッコミをこの先何度も口にするんじゃない、試験官も大変だな~と思って、思わず苦笑してしまう。)

試験官:「では、FPであるあなた自身が調べて確認する情報はなんですか?」

ルン:「はい。まず、現地確認として土地・老朽化している建物や近隣の状況の確認、権利確認として、法務局で登記簿謄本、公図、地積測量図があれば確認、需要の確認として、近隣の不動産の取引状況を地元の不動産屋に確認、公法上の規制の確認として用途地域・都市計画を確認、また今後の開発計画や周辺環境を市役所の都市計画課で確認、相続に際し有利に使える税制があるかを確認します。」

試験官:「税制の確認はどこでしますか?」

ルン:「インターネットとか・・・国税庁のホームページですかね。」(質問の真意が分からず早くもお伺い口調笑)

試験官:「管理不全空き家というものに該当してしまうと税金が高くなる」という制度について、制度の概要について説明してください。

ルン:「はい。問題文にご指摘がある通り、管理できない田舎の土地や棄権な管理できない空き家等の問題が社会問題となっています。今年の4月からは、その流れで相続登記の義務化が開始されました。これは、今まで罰則がなかった不動産の登記について、4月以降3年以内に行わないと罰則が課せられるという内容になっています。
 また、税金が高くなるというのは、一般的に宅地は200㎡まで固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1になっていますが、空き家のまま放置しておきますと、宅地と認められず固定資産税が6倍になってしまいます。」(ホントかな…と思いつつ断定的に喋る)

試験官:「管理不全空き家とはどういう制度ですか?」
(詰められた訳ではありませんでしたが、この後も質問がありラリーがありましたが、覚えていません…)

試験官:「Eさんが死亡し、相続税額の計算上、甲土地を貸宅地として評価する場合、その相続税評価額はどのように算出しますか?」

ルン:「貸宅地ですが、Aさんは権利金を払っていないので、使用貸借になると思います…あと、相続税評価額は路線価が100Eとなっていますので、200㎡の土地なので2億円になります。

試験官:「2億円ですね。」(苦笑)

ルン:「失礼しました。2000万円でした。」(苦笑)

試験官:では、甲土地を貸宅地として評価した場合、課税上、どのような問題が生じる可能性がありますか?

ルン:「権利金の認定課税が考えられます。」(知っている単語言っているだけ)

試験官:「これは貸宅地として評価できますか?」

ルン:「???」
(この設問の根本が分かっていなくて、そもそも甲土地の相続税評価額がいくらなのか、借地権+貸宅地=100%にならないことが、気持ち悪いことに気づいているものの、さりとてそれを言語化できず、なんかちょっと変なんですけどね~的な発言をきっかけに、それに応ずるがごとく試験官が解答を引き出そうとしてくれている配慮のある2,3度のラリーがあったことだけ記憶している)

試験官:「これは贈与にあたるんですね。」

ルン:「勉強になります」

試験官「本事案に関する専門職業家にはどのような方々がいますか。」

ルン:「税理士、弁護士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、宅地建物取引士、建築士」がいます。

試験官「税金の相談をされたらどうしますか?

ルン:「税理士法による税理士の独占業務なので、知り合いの税理士を紹介します。」

試験官「質問は以上です。おつかれさまでした。」

ルン:「ありがとうございました。」

4.今思うに

Eさんの土地に、Eさんの建物 ➡Eさん:自用地100%

Eさんの土地にAさんが建物を建てて利用する(一般論) 
 ➡Eさん:貸宅地50% Aさん:借地権50%

Aさんは親族なので、権利金などを払わない 
 ➡Aさんに借地権ない➡使用貸借➡自用地or80%?

Aさん、固定資産税程度でなくちゃんと通常の地代払っているよ
 ➡じゃあ使用貸借じゃないのかも。

設例読込中、この辺りをグルグル回って、時間内に結論出せず考えてもしゃーない、と開き直っての面接となりました。

質問3の①で、「貸宅地と評価する」としてくれてあるので、権利金分を「贈与」するということが肝であったみたいですね(違っていたらゴメンナサイ)

設問を読んでいる段階から、設例の文章自体は平易なんだけど、なんだかな~、という違和感がずっと付き纏って、それが最後まで分からずじまいでした。
ラスパーさんの解答速報を拝見して、「勉強になります」は「贈与」の部分だったのをようやく思い出しました。

言われてみると、時間があればその可能性の検討もできたような気もしますが、本番15分で「贈与」が出てくる思考までたどり着くのは自分にはノーチャンスでした。

ただ、それなりにラリーはできたこと、定番問題を無事に言い終えたこと、
おそらくこの問題ではそんなに皆さん全員できる問題ではないと思えたことで、終了後PART1次第ではまだ希望あると思って楽観的に考えていました。

つづく



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