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理事長の滞納に対する訴訟追行権は誰が持つか


管理規約における訴訟追行権

理事会により「未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行」(第54条七)の決議あれば、理事長は、訴訟その他法的措置を追行できる(第60条3項)。

(議決事項) 
第54条 
理事会は、この規約に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
第60条第3項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行

B管理組合法人規約

(管理費等の徴収)
第60条

3 理事長は未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して訴訟その他法的措置を追行することができる。

B管理組合法人規約

区分所有法における訴訟追行権

第五十七条2項により、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するために、訴訟を提起する場合は、集会の決議が必要である。
管理者又は集会において指定された区分所有者が、集会の決議により、訴訟を提起できる。

(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第57条 
区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。
 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。
 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。

建物の区分所有等に関する法律

まとめ

滞納に対する訴訟追行権を持つことができる人は、規約第60条3項により、理事長のみである。理事長以外の区分所有者に訴訟追行権を与えることはできないとすると、理事長の滞納に対する訴訟追行権を得るためには、(1)理事長の解任、(2)新理事長の選任、(3)理事会が新理事長に訴訟追行権を与える、という手順を踏まなければならない。

補足:管理者の訴訟追行権

管理者は、規約又は集会の決議により、訴訟追行権を持つことができる(第26条4項)。

(権限)
第26条
 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。




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