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Lou Reed / Metal Machine Music

音楽ブログを別途やってはいるが、たまにはnoteにも書いていこうかと思っている。その1発目として選んだのがルー・リードの『Metal Machine Music』だ。なぜこれを選んだかと言うと、note内を検索しても数件しか出てこなかったし、これについて書く人なんてそうそういないだろうから数少ないうちにと思ったからだ。

「無限大の苦痛」?

何年か前に再発されたアナログ

『Metal Machine Music』は1975年にリリースされた。この前に『Lou Reed Live』というライヴ・アルバムがリリースされているが、これはルーが反対していたにも関わらず、RCAが強引にリリースしたという。そして『Metal Machine Music』は逆にRCAの反対を押し切ってルーがリリースに踏み切ったものだそうだ。

内容はアナログ2枚で計4曲、各面16分1秒の「ノイズ」が収録されている。

Side A. Metal Machine Music Part I
Side B. Metal Machine Music Part II
Side C. Metal Machine Music Part III
Side D. Metal Machine Music Part IV

そう「ノイズ」である。ギターのエフェクト処理によるノイズがひたすら垂れ流されているのが『Metal Machine Music』なのである。

そしてこれは「聴くに耐えない史上最低のアルバム」と言われ、リリースからわずか3週間で回収されるはめになった。当時、日本盤もリリースされ『無限大の幻覚』という邦題がついていたそうだが、聴いた人からは『無限大の苦痛』と言われていたらしい。

『MMM』との出会い、そしてハマるまで

18歳ぐらいの頃にはすでに『Metal Machine Music』の存在は知っていたものの、80年代終わりごろにはまだCD化などされておらず、中古のアナログ盤があったとしてもとんでもない値段がついていたし、そもそもその頃はこのアルバムへの興味はそんなに無かった。2000年代になって"25th Anniversary Edition"なるCDがリリースされたときに初めて聴いた。

25周年エディションのCD、紙ケースの中は通常の黒バックのジャケットのCDが入っている

最初に聴いたときは「うわ、本当にノイズしか入ってないんだ」と思ったのと、さすがに家人がいるところでこのアルバムを聴いたら拒絶されるのは間違いないので、CDはほぼ棚の飾りとなったまま2000年代が過ぎた。

状況が変わったのは2010年以降だ。当時持っていたiPod Classicの32GBに入れられるだけ音源を入れて持ち歩いている中に『Metal Machine Music』も入れた。ソニック・ユースの『Bad Moon Rising』というアルバムの曲間で『Metal Machine Music』の断片が流れていることに気づき、そこから徐々に聴くようになっていったが、まだアルバムを通して聴くということは少なかった。

そしてここ10年ぐらいだろうか、何度か聴くうちにハマってきたのは。そしていまでは「愛聴盤」と言ってもいいぐらいだ。

ノイズとしては聴きやすいと思う

Lastfmの集計より過去365日で聴いた回数(曲数)アルバム7回分ってことか

過去1年間でアルバムに換算して7回聴いている計算か。もっと聴いていると思ったけど、それでも1年間で7回も聴いているんだ。「愛聴盤」の認識でいるけどそんなものなのか。

よくあるレビューだと「4曲とも同じノイズが続く」みたいな書き方をされているが、確かにノイズのタイプとしては同じかもしれない。しかしじっくり聴けば微妙に音に変化があるのがわかるし、"Part IV"に至っては後半に「転調」だってする(この後半部分がソニック・ユースのレコードに使われている)。

『Metal Machine Music』はただひたすらノイズをこちらの耳に垂れ流してくるのみで作り手と聴き手とのコミュニケーションなんてものは一切発生しない。多くの人が聴くに耐えないと思うのはそういうことだからだろう。だけど俺にとってはそれがとても心地よく、もはやアンビエントとしか思えないし、もしくは90年以降のシューゲイザーやドリームポップみたいなキラキラ感すらある。

オススメはしない

だけど、『Metal Machine Music』をみなさんにオススメするかと言ったら、それはもう、オススメなんてしませんよ。ノイズだし、気に入ってもらえないだろうし、こんなの勧めやがって頭のおかしい奴って思われちゃうだろうし。

なお、他にルー・リードのアルバムで持っているのは、リアルタイムで聴いた『New York』のみだし、あとは初期のソロ・アルバムを数回聴いている程度という超偏り。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは死ぬほど聴いていますけどね。

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