葛城と言う男

これは20代前半に出会った最高の漢(おとこ)の話し。

彼は自分の人生に最強の影響を与え他界した。

何故この話しを此処に残すのか。

いよいよ彼の年齢を自分は超える。

今未だ彼と同じ歳。

だからこそ此処に残したいと思った。

彼との出逢いは高校のツレの紹介で出逢った。

彼と出逢う数ヶ月前まで自分は腐り切ってて
引き篭っていた。

ツレや周りのお陰で少しずつ外に出る事が出来てそんなある日お姉ちゃんの様に慕ってた人に自分のしたい事しなあかんって言われてぼやぁーっと考えたらあっタトゥー入れたい。

そう思い連れが入れてた人を紹介して貰う事に。

その漢こそ葛城さん。

初めて行くタトゥーショップ。

そこにフラフラと現れた。

挨拶を交わした時に握手を求められて
慌てて握手をした。

彼はニコッと笑い
『これからよろしく。こういう縁ってワクワクするよな。』

そう言ってその日はずっとそのタトゥーショップで1日彼の話しを聞いていた。

その日からタトゥーを入れなくても3日置き位に彼に会いに言ってタトゥーの話し、音楽の話し、右翼の話しなどと話題は尽きる事が無かった。

彼は優しい。そして厳しい笑
怒ると鬼の様な漢。

彼に引きずり回されてるやつもいた。

しかしそれは彼は常に自分達に無粋(ぶすい)になるな
粋に生きろ。

そう言っていた。

彼のお店には大体20代前半の奴等がいた。
彼は10歳上。

そりゃ今になって思えば大変やったやろうなと思う笑

彼は日頃の生活から全て皆に言っていた。

ちゃんと生活をしろ。
掃除の仕方。
好き嫌いする奴は何も食べるな。
タトゥーが見える様な服は着るな。
俺らみたいな半端者は電車は座ったらあかん。
話しは本質的な話しや建設的な話しをしろ。

今の子だと口煩いおっさんってなるんやろうけど笑

そして彼にタトゥーを入れて貰う。

先ずは彼との握手から始まる。

彼とのタトゥーは普段の会話と同じ。

お互い呼吸を見ながら進めて行く。

そして終わると恒例儀式。

ワセリンを塗りラップを貼りそこを思いっきり叩かれる笑

そして痛がるとニヤニヤ笑いながらラッキーストライクに火をつける。

そしてタトゥーを見て
『これいいなぁ。めちゃくちゃええやん。』
上機嫌で写真を撮る。

そしてその3分後。

『はぁ俺もまだまだやなぁ。ほんまもっと頑張らなあかんわ。』

えっ??もう入ってますやん。
いやいやいやいや笑

それだけ彼は自分にも厳しかった。

オリジナルの龍を入れて貰った時は下描きだけで彼はラフを含めて24枚の絵を描いてくれた。

その1枚は記念に貰って千社札を貼ってくれた。

彼とはタトゥーだけでは無くライブに一緒に行ったりご飯を食べたり何なら終電を無くした自分達をショップに泊めてくれたりとほんと色々な思い出が有る。

自分は今の嫁の前に結婚していた。

それは葛城さん所で出逢った子。

その時も元嫁さんに協力して欲しいと
言われてやたらと彼女の世話を頼まれたので
何でやねんって思ってたら後で元嫁さんから
聞いてあのおっさん!!ってなったのを覚えてる笑

彼はほんと寝ない人で基本2〜3時間寝たらいい感じ。

そして食生活もぐちゃぐちゃ。

基本UCCのブラックコーヒー。
これを1日3リットル。
タバコ2箱以上。

たまに食べるのはマック。

そりゃあかん。

そんな生活を何年かして倒れた。

それからは皆ご飯に誘いちょっとでもちゃんとした食事をさせる様にした。

お店も小さい規模にして休める様にした。

自分達は子供が産まれる為元嫁さんの実家の沖縄の宮古島に移住。

その間は月1回彼に電話でお互い近況報告。

そして大阪に帰ってきたその足で彼に会いに。

その場のノリで久々に入れて貰う。

ふと机の所を見ると自分と元嫁さんとチビの
写った送った写真を飾ってくれてた。

この時はほんと泣きそうになった。

乱雑に貼られたタトゥーのラフ画の中に
1枚だけ写真を飾ってくれていた。

何も語らないがずっと心配してくれていたんだと思いと喜んでくれてたんだなと。

そんな彼がまた倒れた。

2週間の入院。

退院後彼に電話した。

思ってる以上に悪いらしい。

初めて弱音を吐いた。

『俺もう右手が震えるからタトゥー入れるの怖いねん。今の予約終わったら辞めようかと思って。』

いつも怒られていた自分が初めて彼を怒った。

『何言うてるんですか?葛城さんには責任有るんですよ?まだまだ葛城さんに入れて貰いたい奴一杯居るんです。
じゃあ治しましょうよ。
自分もその一人まだまだ葛城さんに彫って貰わなあかんのです。
ふざけないでください。』

もう後半泣きながらほとんど何言うたか覚えてないが。

彼はうん。うん。
ほんまやな。ありがとう。
解った。

そう言った。

後にも先にもこんな事初めてだった。

そして。

その電話から1ヶ月半後。

そろそろまた彼の所に。

彼は毎日ブログを書いていた。

そのブログに目を通した。

いつものライブハウスでDJをして明日はめちゃくちゃ寝ます!!で閉められていた。

相変わらずやなぁ。

今度の休み皆で行くかって思っていたら元嫁さんが青い顔して自分に。

『葛城さんが亡くなったらしい。』

『いやいやさっき俺ブログ見たよ?』

これ見てって元嫁さんの携帯に連れからの
皆に回してくれとのメール。

即他の連れに連絡。

正直仕事どころじゃ無かった。

そして夜葬儀に行くかを元嫁さんと話し合い。

彼は親御さんと離れて暮らして居て親御さん達は名古屋に在住なので名古屋での葬儀。

自分は絶対行きたいと。

元嫁さんは最後は葛城さんの意志を尊重してあげよって。

葛城さんは葬儀なんて後に残された者の為にある者。
俺は要らんなぁ。
皆に悲しみを与えたくない。

確かによく彼はそれを言っていた。

彼が可愛がってた仲間の子が鬱で自殺した時。
彼は店で今日は彼の弔いやって彼の好きなジュース買って来てお店で彼の好きやった曲を掛けて皆で夜通し過ごした。

元嫁さんの言う通り葛城さんの意志を尊重する事にした。

もう彼が亡くなって彼のお店のあった街もすっかり変わった。

その後も何回もお店の有った所に行き色々と報告も何回もした。

葛城さんとの濃密で激しい数年間。

笑い合い時には怒られ兄貴の様で親の様で友達の様な存在。

彼の意志、彼の大事にしていた物
形にはないけど未だにそれを磨く事。

そして初めて彼に言われた『縁て不思議やしワクワクするよな。』

そんな思いを胸に抱いて。

最後に

葛城さん。
勝手に書きました。
でもごめんなさいとは言いません。

いよいよ葛城さんの年齢を追い抜く時が来ました。

葛城さんが願っていた思っていた世の中には正直なってないです。

相変わらずクソッタレな世の中で更に貴方様な人は生きにくい時代になりました笑

こっちは元気です。
あの頃よりもネットも普及してまさかのTommy.さんとも何年いや10何年振りに
再会しましたよ笑

自分の誕生日が近付くとバースデータトゥー入れて貰って誕プレに葛城さんの家にimac貰いに行ってかすうどん食べたの思い出しますね笑

2人してスカジャンでバイク乗ってガタガタ震えて笑い合ったの思い出します笑

そっちからいつも観てくれるのは解ってます。

ちょっとは貴方に褒めて貰えるような漢になれましたか?

あの頃の貴方の様に下の奴等に兄貴兄貴って言って貰って貴方の教えを皆に言ってます。

これからもそっちで見守っててくださいね

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