今日は、何してた?

細かいものを作るのが好きだ。
昔は大きくてかさ張る作品も作っていた。
しかし、パートと家事でまとまった時間はないわ、息子どもの身体と、彼らのゲーム機器を使用するスペースが広くなってきて、結果すみっこで小さな物を愛でるようになった。

ちりめん細工、ニードルフェルト、ミニチュア制作、レジン、ビーズ、刺繍、ミシン…。これらが詰まった半畳ほどの場所に置かれた材料棚と、リビングダイニングの座卓が私の城だ。(座卓は食卓でもある。悲しくも一部は間借りしている城である。)
手が届く範囲に、長年の野心が蓄積されている。

かつて手芸店でしか出会えなかった物が、100均のお陰で手を出しやすくなった。
制作ペースより収拾が勝ってしまっているため、物品は貯まる一方だ。空間を最大限に利用しなくては、私の収集癖に追いつかない。
システマティックな理想の制作スペースの構築が必要になった。

何か作ろうと思い立ったら、限られた空間と限られた時間を、なるべくスマートに使いたい。
さっと取り出し、さっとしまえる程度の機能美をもとめていたが、いつの間にか職人の工房みたいにできたらカッコいい、そんな野望も頭をもたげる。

100均では細かな材料の仕分けや収納にうってつけのケースまでもが、極めて安価に手にはいる。
仕分け始めると、これが、楽しい。

そして、家族は学校や仕事に出掛け、パートはお休み、洗濯は昨夜済ませたという、絶好の休日。
とうとう模型につかう珊瑚砂を、大きさや形状ごとに分け始めてしまった。
ピンセットが好きすぎて、安いものばかりだが30本ほどもっている。その、それぞれの使い心地まで観察できるのだからたまらない。
充填豆腐のパックを数個並べ、摘まんでは入れをくりかえした。

お察しの事だろう。
気付けば夕方になっていた。
粒の揃った珊瑚砂を、それぞれ小さなタッパーにおさめた、それをまた模型用材料入れに機能的にしまう。
約束されたスペースにきちんと収まった。
私は大変満足した。

だだ、夕食時「今日は、何してた?」
と相方に聞かれ、
「砂の分類…」と答えたときには、まあ、何か作ったら良かったと思わなくもなかったなぁ。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?