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形の無いもののデザイン

昨日は3月11日でした。テレビ局も各社で特番を組んでいました。10年間の定点観測は街が復興していく様子を写すのかと思いきや、ジリジリと進まない様子や、福島にいたっては少しずつ家が減っていく様子も見ることができました。
震災後僕も岩手県の宮古市、田老地区を訪れました。巨大な防潮堤を乗り越えて、街は壊滅的な状態でした。その時考えていたのは、津波に強い家でした。半地下構造で、一階の屋根をステルス戦闘機の様にして津波の力を逃すもの。
津波が来て一部の壁や家財は流れるけど、頑丈な壁と天井が残るようなもの。沈下橋にヒントを得て考えた。まあ、そう言う形のあるものを考えていました。
でも、昨日のテレビを見ていると、家があっても街がない、避難先でいきなり集合住宅になる、一軒また一軒とご近所が無くなっていくなど、
いくら安全な場所に家があったところで、人間は家のみに生きるにあらずと感じます。
そんな中、一つのヒントがあったのです。集合住宅には高齢者が住み、近所にコンビニもなく不自由しているので、自分でお店を作った方を紹介していました。そのお店は、ちょっとしたスペースがあり、集会やイベントに使えます。彼が作ったのは、お店ではありますが、形の無い大切なものだったとおもいました。
つまり、つながりを保てる、新しい仲間と一緒にいられる。そう言うことに重きを置いて、デザインすることが、良いのではないかと思います。
震災のあった場所は、そうでない人たちの未来を予測しているかもしれません。

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