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起業を応援!創業計画書を書いてみよう

こんにちは。中小企業診断士の稲葉です。
伊豆・修善寺の魅力に惹かれて、1年ほど前から修善寺プロジェクトに参加しています。2019年の1年間で、5回ほど修善寺を訪れました。行くたびに新しい魅力に出会い、徐々にハマりつつあります。

私はIT企業に勤めるかたわら、週末を中心に、研修講師や事業計画書の審査、補助金申請のサポート、記事執筆などを行っています。最近は、創業塾の講師として、起業を目指す方に創業計画書の書き方を教えています。
今回は、伊豆・修善寺で起業をめざす方々を応援するために、起業準備の一つ、創業計画書の書き方について、エッセンスをお伝えしたいと思います。

なぜ起業?

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人生80年時代。日本人の平均寿命は、女性87.32歳、男性81.25歳と、年々長くなってきています。60歳もしくは65歳で定年退職したとしても、まだまだ人生は長く続きます。そのため、元気なシニア世代が活躍する場として、起業という新しいステージを選ぶ人が増えています。
さらに、若い世代や女性たちも同様です。会社に勤めながら副業や複業にたずさわったり、子育てをしながらビジネスを立ち上げたり、と新しい形の働き方が増えてきています。
国や地方自治体も、このようなシニア/若者/女性たちの創業を後押しするために、金銭面やノウハウ面など、多くの応援施策を提供しており、起業を目指す人たちには良い環境が整ってきています。

創業の準備

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そうは言っても、多くの人にとって起業は初体験のことです。ネットには沢山の情報があふれ、本屋に行けば創業に関する書籍が数多く並んでいますが、それを見ても、何から始めれば良いか迷うところでしょうし、もちろん「これが正解」というものもありません。
そこで私がお勧めしているのは、「想いを目に見える形にすること」です。具体的に言うと「創業計画書を書いてみること」です。

創業塾で起業を目指す方々からお話を聞いてみると、大きく2つのパターンに分かれるように感じています。

1つめは、なんとなく現状に不安や不満を持ち、「何かできないかな~」「こんなことならできそうかな~」とおぼろげに考えてはいるものの、具体的なものは、まだイメージできていない方。
2つめは、起業への想いがあふれており、何をやりたいか、何をサービスしたいか、どのような店構えにしたいか、どのように宣伝集客をしたいか、ということを色々考え抜いている方。

1つめの方には、「何をしたいのか、何ができそうなのか、自分自身の頭の整理のために書きだしてみましょう」と勧めています。
実際に書いてみることで、漠然とした頭の中が整理できるようになります。さらに創業計画書のフォーマットに沿って書いてみると、どのようなことを考えないといけないのかが分かるようになってきます。
2つめの方には、「その想いをぜひ皆さんに端的に伝えられるよう、まとめてみましょう」と勧めています。言葉を重ねて口頭で熱く語られる想いをいったん文字に落とすことで、冷静に見つめなおすことができるようになります。その過程で、意外なところが抜け落ちている、といったところに気づくこともあります。

創業計画書のフォーマット

創業計画書のフォーマットでよく用いられているのが、日本政策金融公庫(日本公庫)が提供しているフォーマットです。
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html

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日本公庫は中小企業に金銭的なサポートを行う組織です。創業資金を融資するために、創業者の事業内容を細かく知る必要があり、独自の創業計画書のフォーマットを用意しています。
Excel版とPDF版があるので、パソコンで作る場合はExcel版、手書きで作る場合はPDF版を使用すると良いでしょう。
ただ、このフォーマットには難点が一つあります。A3用紙1枚に収まるようにレイアウトされているため、記入欄がとても狭く、小さな文字でないと書ききれないことです。

日本公庫の社員の方に確認したところ、無理にこのレイアウトにあてはめる必要はないそうです。必要な項目がわかるように1枚にまとめただけなので、書ききれない部分は別紙にしたり、必要な項目を網羅すれば1項目ごとに用紙を分けてもよいそうです。内容をわかりやすく伝えるために、写真や図面などを入れたこともあるので、無理に1枚に収めることは考えなくても良いでしょう。

創業計画書は、大きく8つの項目から構成されています。
1.創業の動機
2.経営者の略歴等
3.取扱商品・サービス
4.取引先・取引関係等
5.従業員
6.お借入の状況
7.必要な資金と調達方法
8.事業の見通し

実際に書いてみよう!

まずは「1.創業の動機」に、想いを書いてみましょう。
参考までに、日本公庫の創業計画書のサンプルを見てみると、以下のようなことが書かれています。(洋風居酒屋の例)

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「これまでの経験を活かし、自分の店を持ちたいと思い、○○地区で物件を探していたところ、立地も広さもちょうどいいテナントが見つかったため」「現勤務先の仕入れ業者から、多品種の酒を安く仕入できることになり、事業の見通しが立ったため」

残念ながら、これだけだと創業者の熱い思いが伝わってこず、物足りないですね。立地条件や仕入条件が整ったことは分かりますが、「なぜやりたいのか」という創業者の気持ちが書かれていません。そこで、以下の2つの観点を付け加えてみましょう。

1)世のため、人のため
自分が他の人たちに商品やサービスを提供することで、他の人たちがハッピーになる。他の人たちにプラスの価値を与える。

2)自分のため
この事業を行うことで、自分自身の生きがい、満足感、モチベーションを上げたり、スキルや生活レベルを上げたり、といった手に入れたい目標の達成を目指す。

例えば、このような感じです。

「おいしい料理とお酒で、集まるお客様がリラックスできる空間を提供したい。お客様同士が交流できる場を作りたい」「洋酒をベースにしたオリジナルカクテルを提供することで、洋酒文化を広めたい」「お客様の笑顔を見たり、お客様同士のネットワークをつなぐことで、自分の満足感・達成感を得たい」「○○国に留学をしてとても感銘を受けたので、○○国の料理を提供して、○○国の文化を広めたい」

次に「2.経営者の略歴」に、自分ならできる、と考える理由を書きます。

・・・と続けていきたいところですが、長くなってきましたので、続きは次回の記事でお伝えします。

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