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パワハラ6類型は、想像以上に範囲が広いって、知ってますか?

【ハラスメント自己防衛マニュアル(5)】

これまでに書いて来たハラスメント対策は、マガジンにまとめていますので、ハラスメント被害に遭っている方は参考にしてください。



1、パワハラ6類型は、想像以上に範囲が広い

 2019年5月、パワハラ防止法が成立しました。大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されました。

 このパワハラ防止法では、いままで曖昧だったパワハラを、6つの類型で定義していますが、これらは、一般的に、私達がパワハラだと思っているものよりも、ずっと範囲が広いのです。どんなものか見てみましょう。

<パワハラ6類型>

①身体的な攻撃:暴行や傷害 等

②精神的な攻撃:人格を否定するような発言、長時間に及ぶ叱責 等

③人間関係からの切り離し:仲間外しや無視、別部屋への隔離、送別会に一人だけ呼ばない 等

④過大な要求:新人には出来ない仕事を押し付けてサポートしない、できる見込みがないノルマを与える 等

⑤過小な要求:これまでの経験や能力にそぐわない簡単な仕事しか与えない 等

⑥個の侵害:プライバシーを執拗に詮索する、配偶者の悪口を言う 等

「へー、こんなものもパワハラなのか」と思われた方が、多かったんじゃないかと思います。「職場のいじめ」みたいなものもありますし、プライバシーの侵害が行き過ぎると、パワハラになるケースもあるということですね。

 もしも、今、職場で嫌な目にあっているなら、これらの類型に当てはまらないかを、考えてみてください。厚生労働省の相談窓口に、自分の事例を照会してみても、良いと思います。厚生労働省の相談窓口は、「総合労働相談コーナー」で検索すると、全国380箇所の相談窓口が分かります。

2、パワハラ認定されるのは、上司だけじゃない

 厚生労働省は、パワハラを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。」と定義しています。

 ポイントは、「職場での優位性」が背景にあれば、上司から部下へのハラスメントだけでなく、同僚間や、部下から上司への行為もハラスメントになる可能性があるということです。

 また、「業務の適正な範囲」かどうかが、パワハラの判断基準となりますので、たとえ、その行為の目的が業務上の指導だったとしても、「暴力」や「人格を否定するような言動」があれば、「業務の適正な範囲」を超えているとみなされます。

次回は、「精神障害の労災認定」について、パワハラ、セクハラに関係するところを、解説したいと思います。