うさぎ禍
うちのお隣さん夫婦はどちらも学校の先生です。中学生くらいの子供が二人居ます。雑木林越しに庭が見えるのですが、大きなトランポリンを置いてあり、よく近所の子供たちが集まって飛び跳ねて遊んでいます。
庭の隅っこの方には大きな双胴船が放置されています。フロリダは海が近いのでボートを持っている家も多いのです。でもその双胴船は朽ちかけており、とても水に浮かべることは出来なさそうです。その横には動かなくなったキャンピングカーも放置されています。
そんな感じでお隣さんの裏庭は、半ばお化け屋敷化しているのですが、その広い庭をうさぎが走り回っています。やたら吠えるお行儀の悪い犬も居て、人が近づくとすっ飛んできてワンワン吠えます。たぶん犬にしてみればうさぎを守っている気持ちなのでしょう。
冬頃から隣のうさぎがうちの庭にも遊びに来るようになりました。最初は珍しかったのでうさぎが来るとワイフと一緒に見に行きました。バードウォッチングに使うオーストリア製の本格的な双眼鏡でうさぎを観察するときもあります。
ところが最初はひと月に一回程度遊びに来ていたのが毎週になり、いまでは毎日になっています。一匹ではなく二匹、三匹と数も増えています。
よく観察するとその中には生まれたばかりの子うさぎも交じっています。おおきなうさぎは太っていてかわいくないので名前をつけてないのですが、最初の子うさぎは、われわれが勝手にピーターという名前をつけて呼んでいます。ピーターラビットに似た、キツネ色だからです。「きょうもピーターがうちの庭に来ている!」というような具合に。
次にとりわけ小さい子うさぎが来たのでトムと名付けました。トムは白と黒が混じっています。そのうち真っ黒い精悍なうさぎも来るようになりました。それにはクロちゃんと名付けました。
ワイフは「お隣さんのうさぎたちはうちの芝生が大好きみたいね」と喜んでいたのですが、最近は四匹くらいのうさぎがうちの庭にすっかり居着いてしまって、帰ろうとしません。ふと二階のバルコニーから360度見回すと、うちだけじゃなく、どこの家にもうさぎだらけになっているのです!
「このままじゃ、住宅街がうさぎに占領される!」
そこでお隣さんに相談に行くと庭はうさぎの掘った穴で月面クレーターみたいになっています。「24匹になったところまでは数えたけれど、もう何匹居るのかわからない。」と呑気なことを言っています。
うさぎはポコポコ増えるので、まだまだこれからOut of controlになりそうです。
結末はわからないけれど、いちおう現状報告ということで。
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