世界の中の奇妙な片田舎
渋谷から代官山に向かって歩くと、20年前とまったく景色が違っていることに驚く。
東横線の跡地におしゃれなビルやカフェやホテルが建っている。西洋人の集団が外のテーブルで食事をしていて、ただそれだけなのに映画のワンシーンみたいに絵になる。
オープンカフェは日本の文化じゃないから、日本人が絵になる日は100万年も先かもしれない。
オープンな場所で日本人が映えるのは、花見でゴザを敷いて日本酒を飲んでいる姿か、峠の茶屋でお団子を食べてる姿だ。
文化は長い歴史の中で洗練される。
洋服を初めて着てからせいぜい150年程度の日本人は、まだまだオープンなカッフェで気取れるほどには文化が成熟していないのだ。でもこのままでいいと思う。京都と着物と神社仏閣と人口密度の高い雑多で猥雑な都市とアニメとゲームと日本語といった、世界が憧れる文化がある。
世界の中の奇妙な片田舎、という地位のまま、22世紀も迎えるのだろう。
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