ジャンポケファンに捧ぐジャンポケ産駒名レース10選(GⅠ除く)

リアルタイムからの古参ファンにも、ゲームから入った新規さんにも伝えたい、ジャングルポケット産駒の好きなレースを10個選んでみました。
1頭につき1レース、GⅠ以外という縛りで選びました。GⅠはここでお薦めしなくても見る人は自分で探して見ると思うので自分で探して見てください。

1.トーセンキャプテン アーリントンC

ジャングルポケット初年度産駒のうちの一頭、トーセンキャプテンがデビューから3連勝で重賞初制覇を決めた一戦。この週で引退する本田騎手が騎乗するローレルゲレイロ(朝日杯2着、後にスプリントGⅠ2勝)との壮絶なたたき合いを制した。引退する先輩に花を持たせようなんて余計な気遣いなど1ミリもない戦いが美しい。残念ながらこの後故障でクラシックシーズンを棒に振ったのが惜しまれる。

2.モズアトラクション 平安S(2着)

モズアトラクションは芝中距離を中心に使われるも未勝利戦終了までに勝ち切れず、ダメ元(?)で1000万下のダート戦を走らせたら好勝負し、そこからダートで出世していったという変わったキャリアを歩んだ。不器用な追い込み馬でハマらなければあっさり大敗することもあったが、ハマったときの豪脚は強烈だった。斤量差があったとはいえ、1着チュウワウィザードと3着のオメガパフュームはダート界の頂点を争った名馬だ。
後に不器用な追い込み馬には向かなさそうな札幌1700mのエルムSで重賞勝利するが、2着に敗れたこのレースも内容では勝るとも劣らないものだったと思う。

3.アウォーディー 名古屋大賞典

地方競馬ライブ (keiba-lv-st.jp)
ジャングルポケット産駒の最強馬を選ぶなら、アウォーディーを挙げたい。5歳秋でのダート転向からJBCクラシックまでの連勝時の強さは本当に怪物レベルだった。引退レースだったとはいえ、ダート界の王者ホッコータルマエをあっさりとかわしてしまうのだから。一方、あっさりとかわすわりに先頭に立つと伸びきれないという(おそらく気性的な)弱点も見える。そんな乗り難しさとダート転向の遅さ(これに関しては血統的にも成績的にも陣営を責められない)が災いしてGⅠは1勝だけに留まった。今回取り上げた名古屋大賞典ではあまりにも力が違いすぎて、他馬に付き合うこともなく、2着に2秒4という歴史的な大差をつけている。
おそらく陣営はもう一度タイトルをと、高齢になっても現役を続けさせたが、残念ながら現役中に亡くなってしまう。この馬が種牡馬入りできなかったのは、トニービン系存続にとって大きな痛手だったと思う。

4.ヒカルカザブエ 阪神大賞典(2着)

数々の名勝負を生んできた阪神大賞典の隠れた名勝負。泥んこ馬場の中、テイエムプリキュアが破滅的な大逃げを打ったことで、スタミナと根性が問われる究極の消耗戦になった。レースの上がり3Fは40秒6。最後の直線途中からレースは菊花賞馬アサクサキングスと上がり馬ヒカルカザブエの壮絶なマッチレースに。最終的にはアサクサキングスがGⅠ馬のプライドを見せて勝利するが、あと一歩まで追い詰めたヒカルカザブエも見事なレースぶりだった。

5.タスカータソルテ 札幌記念

タスカータソルテはとにかく直線平坦のコースが得意で、坂のあるコースは苦手な馬だった。重賞3勝は全て直線平坦コース。そんな平坦のスペシャリストのベストレースがこれ。グランプリホースのマツリダゴッホがさすがの横綱相撲を見せる中、横山典騎手の魔法がかかったような怒涛の末脚で差し切った。
その後、6歳まで現役を続けるも、レース中の故障で予後不良となる。その翌日、日本ダービーを勝ったのは藤原厩舎の後輩であるエイシンフラッシュ。奇しくもタスカータソルテが日本ダービーを走った時と同じ1枠1番だった。

6.ジャガーメイル オクトーバーS

ジャパンカップ勝ち馬スクリーンヒーローと、天皇賞(春)勝ち馬ジャガーメイルが繰り広げた大接戦。と言ってもこれは重賞ではなくオープン特別ですらもない準オープン戦(現3勝クラス)。好位から仕掛けをギリギリまで我慢して余裕たっぷりに抜け出すスクリーンヒーローと、桁違いの末脚で大外から強襲してくるジャガーメイルの対照的な競馬が見物。
ちなみに筆者が初めて一人で競馬場に行った時に見た思い出のレース。この日のメイン競走は逃げる女王ウオッカスーパーホーネットが差した毎日王冠だった。

7.クィーンスプマンテ みなみ北海道S

クィーンスプマンテと聞いて99.9%の競馬ファンが思い出すのは例のエリザベス女王杯だと思われる。でも、あれは脈絡のない大波乱ではなくて、ちゃんと伏線が張ってあった。
エリザベス女王杯然り、大逃げが決まるのは大抵後続の馬がペース判断をミスした時なのだが、このレースの後続の騎手たちは決してペース判断を誤っていない。ラップタイム(12.7 - 12.2 - 12.5 - 12.7 - 11.8 - 12.0 - 11.8 - 11.6 - 12.0 - 12.0 - 11.9 - 12.6 - 13.3)を見ると、クィーンスプマンテは本来ペースを落とす中盤で緩めることなくラップを刻み、その結果、後続を寄せ付けず勝ったことが分かる。ハンデ戦で軽い斤量が影響した面はある。しかし、それを差し引いても重賞レース常連のグラスボンバーらを蹴散らした内容は高く評価されるべきだった。GⅠでも牝馬同士の戦いなら、展開次第で馬券圏内を十分に計算できる馬なのはここで分かっていたように思う。

8.エアソミュール 鳴滝特別

エアソミュールは芝で10勝しながら一度もGⅠ出走の機会に恵まれなかったという不思議な馬。そして、名手武豊ですら乗り難しそうな馬だった。その乗り難しそうな感じとポテンシャルの高さの両方を見せつけてくるのがこの鳴滝特別(1000万下クラス)。赤い帽子・エアの勝負服に注目してレースを見てほしい。武騎手が道中終始かかっている馬の手綱を引いてなだめているように見える。2200mのレースでこうなったら、並みの馬なら惨敗も覚悟するところ。しかし、最終コーナーを回るところで、こらえきれないように外に出してGOサインを出すと、あとは強く追うこともなく後続を圧倒した。

9.サンレイポケット 新潟大賞典

ジャングルポケット産駒の最後の大物ということになるかもしれないサンレイポケット。骨盤骨折という大きな故障を乗り越えて、6歳春のここでようやく重賞制覇を果たした。このころのサンレイポケットは後に大阪杯を勝つポタジェと出走レースがかなり被っていて、ちょっとしたライバル関係になっていた(と筆者は見ていた)。ここまでは連敗していたが、展開に泣いた部分も大きく、能力では負けていないことをここで証明してくれた。どちらかと言えば外の方が伸びる馬場で、ポタジェの内から伸びて差してくるのも味わい深い。

10.ジャングルスマイル 北国王冠

ジャングルスマイルは金沢競馬に所属した地方馬で、通算39勝はおそらく、というか間違いなくジャングルポケット産駒の最多勝。牝系はジャングルポケットと鎬を削ったマンハッタンカフェの一族で、血統にロマンを感じるファンにとって魅力的な馬ではないかと思う。
金沢競馬版のナリタブライアンVSマヤノトップガンと考えると、当時の構図が分かりやすいかもしれない。前王者であるジャングルスマイルが新王者のナムラダイキチと激突して僅差で勝利をつかんだ。ゴール直後の実況がこのレースの全てを表していると思う。また、2頭に勝負を挑んだ結果、大失速してしまった3番人気のナムラアンカーにも胸を打たれる。

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