ジャンル別漫画紹介#03 同級生女子などがモブ主人公に迫る系

さて第三回は表題のジャンルについて書いていこうかなと。
正直この系統の漫画はどれも流し読みできちんと読んでるものは皆無なのだが、知りうる限りの情報と想像で書いていこう。

同級生や幼馴染の女子が距離を詰めてくる系
基本的にこのジャンルは過去「押しかけ女房もの」と呼ばれていた作品が現代風に形を変えたものではないかと思う。「うる星やつら」「To LOVEる」あたりが特に有名か。
・主人公に対するヒロインの関わり方が最近の作品とは大きく異なるのがポイントかもしれない。
・具体的には「もう最初から好き好きモード」とか「家の都合で許嫁として決められている」的な設定ではなく、「気があるそぶりをチラ見せする」という寸止め的な発想の作品が多い気がする。
・流行の元となった作品は「からかい上手の高木さん」ではないかと個人的には思う。

からかい上手の高木さん

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・タイトルがすべてを表しているためたくさん書くほど複雑なあらすじはない。西方という平凡な男子中学生を高木さんという女子がからかう話。
・このジャンルでは「ヒロインが可愛い」という点は必要最低条件でクリア出来ていないのは問題外なのだが、この作品の良いところは高木さんが可愛いだけではなく西方も男子中学生らしく可愛らしい部分がある点であろう。
「見ていて微笑ましい」という点が同ジャンルと比較した場合この作品の最大のアドバンテージではないか。

イジらないで、長瀞さん

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・チラ見した程度でほぼ未読。
・ヒロインは色黒でギャルっぽいルックス、この表紙からも漂うように底意地が悪い性格で、からかっているというよりはおちょくってイジメているという印象。あと少しエロめで不快感がある。
・男の方はモブというかよりオタク・陰キャ寄りの印象でいまいち感情移入できない。
エロシーンのないエロ漫画という印象。数話しか読んでいないがこの子がデレるシーンはあるのだろうか?それがあればまた印象が変わるのかもしれない。

僕の心のヤバイやつ

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・ヒロインは校内でも人気の美少女で長身でモデルもやっているという設定だが少し天然ボケが入っていて、確信犯的に距離を縮めてくるタイプではない。
・主人公男は身長が低く中二病まっさかりで、その描写はかなり本質を捉えている感じがありリアルである。だが、どの辺がタイトルの「ヤバイやつ」なのかは今のところ伝わってこない。私に読解力が無いだけかもしれない。

・こちらは不快感も無く、高木さん同様微笑ましい感じで楽しめる。
・が、個人的にはこんな女子いねえよと思ってしまうのは何故だろう。高木さんの例で考えてもあんな子いるわけないのに。
・これに関しては西方は平均的な中学生男子で、特にオタクでも重度の中二病というわけでもない。高木さんも校内のアイドルとか芸能人、といった特徴があるわけでもない。そういうキャラ付けの差ではないかと思う。

【番外】久保さんは僕(モブ)を許さない

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・ヤングジャンプで連載中、ジャンプ+では一昨日(2020/08/12)から連載開始したばかりの作品。なんかもう解説するのもめんどくさい。同級生女子がモブをいじる漫画。
・これもどっちかと言うと底意地悪い系というかお嬢様・王女様系の雰囲気のヒロインだな。長瀞さんほどエロ要素が無いのと見た目が清楚系なので不快感は無い。
・タイトルからして男主人公をモブと言い切っており、人に気づかれづらくステルス性が高い点が特徴のようだ。そのステルス性を生かした展開などがあれば他と差別化できるかもしれない。

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本ジャンルについてのまとめ
・基本的にどれもフォーマットは変わらない。ヒロイン・主人公の見た目や性格、設定の部分で読者の好みに合致した場合ファンがつくのがこのジャンルなのだろう。
・「からかい上手の高木さん」を元祖として比較してみると、やはり最もフラットで読みやすい内容。
・高木さんは「ヒロインが地味な主人公をからかう」という設定の元祖であることが見事なのであって、キャラ付けにもエピソードのネタにも過剰・過激な味付けがなく読みやすい。開祖ってこういうものなんだろうなと納得したのだった。
フォーマットがある程度決まっていて後発が過剰な設定や演出で勝負している作品の代表格はガンダムだろうな。


ここ三回分のまとめ
・これまで取り上げた3ジャンル(の中でも特に面白くないやつ)の共通点について述べることでまとめとしよう。

「何の変哲もない主人公が」
 ニートだったり冴えないサラリーマンだったり理不尽にいじめられていたり目立たないモブ・陰キャだったり。
「根拠なく何らかの力を得て」
 チート能力であったり復讐のための力であったり理由なく可愛い女子に好かれたり。
「人生をエンジョイする」
 敵モンスターをなぎ倒したりいじめ加害者に復讐したりいじられながらもドキドキする楽しい日常を送ったり。


これさ、要するに「人生に不満のある人に現実逃避を目的として見たい夢を見せている」のと同じ構図じゃない?
・「夢を売る商売」とはよく言ったもので。それが悪いとか否定している訳ではない。
・「男の草食化」が叫ばれて久しい。世は綿々と続く不況真っ只中、将来に期待は持てない。そんな世相を反映した作品群なのかもしれない。
・あと昔の「押しかけ女房もの」と違うのは「結婚は重い、思春期くらいの年齢でドキドキしてたい」という考え方に拠るところがあるのではないだろうか。

・逆に私は「闇金ウシジマくん」のような絶望的な作品を読むのも大好きなのだが、私のような読者は何を求めている層として定義されてるんだろうな。


そういうわけで、定型フォーマットの中にも面白い作品はある、フォーマットをただ借りただけの作品はだいたいつまらんぞ、という話なのでした。

おわり。

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