【ゲーム紹介】ファイアーエムブレムEchoes ※ネタバレあり

■概要
メーカー:任天堂
開発:インテリジェントシステムズ
ジャンル:シミュレーションRPG
プラットフォーム:Nintendo 3DS
発売日:2017年4月20日

・ファミコンで発売されたファイアーエムブレムシリーズ2作目となる「外伝」のリメイク作品。外伝と銘打つだけあり、1作目とはシステムがだいぶ異なっており…というよりFEシリーズ内でも異質の存在
・私外伝大好きなんですよ。曲もストーリーも良いしレベル上げも最高に楽しい。

■全体評価
・10点満点中9.8点。
・ある一点を除いては完璧に近いリメイク。素晴らしい内容。
・古参ユーザーや原作原理主義者を大事にした内容であったと言える。新規ユーザーや思い入れのない人は本作をプレイしてどう思うのかは不明。

■ストーリー
・北のリゲル帝国と南のソフィア王国、2つの国を持つバレンシアという大陸が舞台。リゲルはドーマという戦いの邪神を信奉しており、軍事に強い帝政国だが土壌は荒れ気味であり、食糧問題などを抱える。ソフィアはミラという女神を信奉し、農業などに向いた土壌を持つ王国だが、豊かさ故に上層部が堕落・腐敗気味。
・その食糧問題などからリゲルはソフィアへの侵攻を開始、辺境の村ラムに住む少年アルムはリゲルへの反乱軍に志願するのだった…という導入。
・幼なじみヒロインのセリカは2章から登場…なのだが、今作はオープニングにチュートリアル的なエピソードが追加され、ゲームの初めからアルムとセリカの関係を知ることが出来るようになっている。

中世が舞台の作品に出てくる土地が荒れてる国って大体何故か血の気が多くて軍事が強い設定だよな。

■サウンド
結構マジですごい。元がファミコン音源だったものをここまで豪華にアレンジした例ってドラクエやFFのような大作を除いては少ないのでは?
・大幅にアレンジされているものもあるが、原曲の内容に忠実にグレードアップされている楽曲が多く古参ユーザーの私もニッコリ。
・ラストマップの曲はFC時代から名曲と評判だったのだが、笑っちゃうくらい豪華にアレンジされていた。どの曲も是非原曲と聴き比べていただきたい。

映像
・基本的には3DSの別シリーズ、覚醒やifと同等の水準。キャラも良く動くしプリレンダムービーも美しい。
・キャラデザインは「左」さんというイラストレーターの方に変更。個人的には覚醒・ifよりも好きですね。
・FC版のセリカのドットは優しい・柔らかい雰囲気だったのだが、今作はやや気が強そうなキツめの顔つきになっている。これはこれで良い。
・村人3人衆は3人とも似たような顔だったのが大幅に変更され個性がつき、女子の村人も1名追加された。全体の2割くらいのキャラは原作とは結構違う見た目に変更されてる印象かな。

システム
・この作品のキモ。
普通のファイアーエムブレムだと思うな。

装備システム
・武器に使用回数がなく、壊れる心配がない。何も装備させなければそのクラス固有の剣や弓などを使うことになる。
・魔法も同様に回数無制限だが、HPを消費して使用する。シスターなどのクラスが使用できる回復呪文等も同様にHPを消費するのだが、自分に使うことが出来ないのでリザイアという敵のHPを吸い取る呪文で主に回復することになる。
全体マップ・ダンジョン
・面クリア形式ではなく、全体マップ上に戦闘が起きるポイントが設置されており、足を踏み入れるとイベント戦闘やランダムエンカウントが発生する。
・その他ダンジョンが存在しており、内部ではARPG的にアルム(もしくはセリカ)を操作して草刈りなどしながら探索することになる。
二部隊での進行
・1章はアルム編、2章はセリカ編なのだが、3章以降は全体マップで分断された両軍をそれぞれ進行させることになる。1戦闘ごとに交代しても良し、アルム軍をガッツリ進めてからセリカ軍を操作するでも良し。
・若干ではあるが片方の部隊の行動がもう片方の部隊に影響したりするシステムもある。
育成要素
・前述のようにランダムエンカウントやダンジョンがあるため、従来のFEと比較するとひたすらレベル上げすることが出来る。これが曲者で、FC版外伝の時代からダンジョンに籠もりきって出て来ないプレイヤーが続出した。
・クラスチェンジにアイテムなどは必要なく、一定以上のレベルになればダンジョンの奥などにあるミラの神像に話しかけることでいつでも実行可能。アルムなど一部のキャラはイベントでしかクラスチェンジ出来ない。
・村人だけは最上級クラスからまた村人に戻れる謎の仕様があり、今作にもきっちり継承された。(通称:村人ループ)
・村人ループを繰り返すことで各ステータスをカンストまで育成することが可能であり、ヤバイ村人を完成させるプレイヤーが続出した。
・今風にスキルシステムなども追加されており、育成の楽しみはさらに上昇。

総評・感想(ネタバレあり)
・上記のような従来のFEシリーズとは一線を画すシステム内容をほぼそのまま採用しており、コレジャナイと言わせない姿勢が素晴らしい。かつ、旧来のシステムに追加する形で発展もしており、遊びやすい内容に仕上げているのがとても良い。
だいたいこういうのって「今の時代には合わない」とか言ってPやDが変えちゃうんだけどな。

・シナリオ面では新キャラ・新エピソードの追加などでより世界観や設定を理解しやすくなった。…のだが。一点だけどうしても許せない改変があり、それさえなければ完璧なリメイクだったと思うんだよなぁ…。
※ネタバレ
途中分断されたアルムとセリカがテレパシーで通話するシーンがあるのだが、これマジでいらなかった。
互いの立場や思想の違いからケンカ別れになり、落石で分断され、会えないながらもお互いの身を案じる…といういじらしい二人の感情がシンプルなテキストで十二分に表現されていたFC版。そんな二人が最後の最後まで会えずにとうとうラストバトルで再会するからこそカタルシスがあるんじゃあないか!
セリカが操られて…みたいな必要だったのかどうか微妙な改変エピソードも入ってたけどごめんとか言って仲直りの電話してんのはその何倍も興ざめですわ。個人の好みでしかないが、ホント惜しい。

・…というようにシナリオ面で致命的な改変というか蛇足が入っていたこと以外は全体的に原作を大事に、丁寧に作られた良作。そもそもシリーズ内でもマイナーな方に分類されると思われる外伝をここまでの規模でリメイクしてくれたことには感謝しかない。

おわり。

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