外出自粛なのでガンダムAGE メモリーオブエデンを見た

※ネタバレあり、視聴済みの人向け

https://note.com/hiroponnote/n/n0b654d18c778
前エントリーでは地上波版について好き放題書き、続いて劇場版のメモリーオブエデンも見たのでさらにレビュー。

■全体評価
・10点中満点で7点。

■あらすじ・内容
・第2部アセム編から第3部キオ編までの再編集・追加エピソード版。
と言っても基本的にはアセムとゼハートの関係に焦点を当てた内容であり、実質的にはゼハート編と言える内容になっている。

■映像
・新カットも多く追加され、元々2部の動きは個人的に好評価だったのでとても良い。劇場版ならではのものすごいCGとか映像効果、といった印象はない。基本的には地上波版と同レベル(貶めているわけではない)の映像が追加されている。
・燃える写真をロマリーが手ではたくシーンは若干バカっぽく見えた。

■音楽
・ちゃんと聞きこんでいないので何とも言えないがおそらくBGMは地上波版と同様。歌もので新曲が追加されていた模様。
・同じメロディの曲なのにアセム達とゼハートで知っている歌詞の内容が違う、という楽曲が導入されており何かの伏線になるかと思ったがそんなことは無かった。ゼハートの歌がいまいち上手くないのは少し笑えた。

■キャラクター
前エントリで散々書いたので大きく扱いが変わっていたキャラについて。

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◆主人公勢

ゼハート・ガレット
地上波版でも十分すぎる出番と役割を与えられていたが、たっぷり30分はアセムやロマリーとの学園生活の描写が追加されており、その他では散っていったヴェイガンの仲間たちに精神世界で叱咤されるシーンなど、さらにキャラとしての魅力が増した。が、前エントリと同様戦う動機そのものは「大義のため」という部分での変更はない。

アセム・アスノ
ゼハート同様学園生活パートの追加によってさらに感情移入しやすい描写になっている。その分、ウルフさんとの絡みやXラウンダー能力増幅装置であるヴェイガンのヘルメットに手を出してしまう描写などが薄口になる副作用も発生した。

ロマリー・ストーン
アセムと同様。学園生活パートの増強によりキャラ立ちがさらに強化。地上波版同様やはり野郎どもがMSで戦うシーンがメインになるとほぼ出番はなくなる。
「馬鹿だな、男の子って」その通りです。

フリット・アスノ/キオ・アスノ
元は主人公だったのに作劇の都合上空気に。もはや「アセムの血縁でなんかガンダムに乗ってる人達」くらいの印象にまで薄口化。だがこれは英断だと思う。

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◆キーキャラクター
デシル・ガレット

1部の描写がほぼ無くなったため「フリットに恨みがあるらしいなんか危ない性格のゼハートの兄」という程度の描写。が、その後ゼハートの精神世界では口は悪いながらも彼を𠮟咤激励した。

ドール・フロスト
マジシャンズ8のリーダーかつフラムの兄で、登場時はゼハートを値踏みするような言動を取り、結果として彼を認めるに至る。出番やセリフが少し増えていた気がするのと、デシル同様に精神世界でゼハートを叱咤する。

フラム・ナラ
地上波版ではゼハートに心酔…を通り越して今作では恋心を抱いていた様子がより直接的に描写された。
最初はドールの妹として兄と同様ゼハートを値踏みする態度だったが、数分後には心酔モードへ。この辺の描写不足は否定できまい。

ドレーネ・イゼルカント
ヴェイガン総帥。地上波版では我が子を忘れられない優しいおじいちゃん的な部分も描かれたが、今作ではキオが空気なのでゼハートに理想を語り、後を引き継がせるのがメインの役割。
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◆地上波版と大きく変わらなかった人々
ウルフ・エニアクル
オブライト・ローレイン
レミ・ルース

三者ともに地上波版とほぼ変わらない役割、重要性。ウルフさんに関しては1部の描写がないのと尺の関係上、やや薄口になってしまった。
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◆ほぼリストラとなった人々
たくさんいて書ききれないので、地上波版でそこそこ重要な役割を持っていた人に限定。

ユリン・ルシェル
地上波版1部ではそれなりに重要な役割なのだが、そもそも今作では登場しなかったと思う。

マジシャンズ8の面々
一応戦闘には参加していたが、登場後数分でガンガン落ちてゆく。

ディーン・アノン/ルゥ・アノン
3部のキーキャラだが多分今作では登場しなかった。キオが空気である以上出てくる必要性も薄い。最後のシーンで墓標が登場。何故かゼハート、フラム連名の墓と並んでいる。

ジラード・スプリガン/シャナルア・マレン/ゼラ・ギンス
一瞬映る程度でこんなことがありましたよ程度の登場。ジラードとゼラに関しては多分映ってすらいなかったような?
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■総評
個人的にも一番面白いと思った2部アセム編、かつゼハートのキャラクターにフォーカスを当てた再編集版であり、10点満点では地上波版より1点高い7点の評価。

内容の割り振り的には
・~30分:学園生活編
・~100分:2部の再構成
・~150分:3部の再構成
となっている。が、やはり3部の描写は元の地上波版・そもそもの三世代を描くという設定上希薄になるのは仕方がない部分があり、設定の補完をするまでには至らなかった。それでも切るべき部分は大きく切り、アセムとゼハートの関係描写に舵を振り切った作劇は英断であり十分な内容だったと言えよう。

■余談
地上波版を視聴していて、特に3部から映像面で急激に子供向けで分かり易い描写にシフトした印象があった。
具体的にはヴェイガンの衣装(いかにも悪者といったヘルメット、巨大なホログラム演説等)、アセムが宇宙海賊になってしまった点(ドクロマークの戦艦、ドクロのあしらわれた玉座、眼帯などいかにも海賊といった見た目に改修されたAGE-2)など。そういった小道具・大道具設定が本劇場版のシリアスな雰囲気とどうにも合わなくて失笑してしまった場面がある。

旧地上波版を無かったことに…というやり方(リマスター版SEEDや劇場版Zなど)も作品としては視聴者に対して背信的ではあるが、「元々子供向けである」「ゲームを売るためにアニメがある」と言う商業的な立脚点などがこの作品の印象をちぐはぐにしてしまったのではないかと思ったのでした。

おわり。

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