市川寛弁護士のツイートで知った、「起訴状から被害者の氏名や住所が消える」という弁護士ドットコムニュース

  • 弁護士 市川 寛さんはTwitterを使っています: 「起訴状から被害者の氏名や住所が消える… 刑訴法改正で秘匿可能に 弁護活動に支障もhttps://t.co/tLPrFXxZ2D 起訴状の段階では、被告人には個人特定事項がないもの(=起訴状抄本)を渡す、(弁護人には個人特定情報があるものを渡す)という措置が講じられます。←事務手続ミスが起きそうですね」 / Twitter https://twitter.com/imarockcaster42/status/1659073647762604037

改正刑事訴訟法(刑訴法)が5月10日、成立し、犯罪被害者の個人情報が秘匿できる制度が新設された。

2012年の逗子ストーカー殺人事件では、1年半前に脅迫容疑で逮捕された男性に対し、県警が被害女性の結婚後の名字や住所の一部を読み上げたことが問題になった。2次被害を避けるための匿名化が求められていた。

想定されるのは、ストーカーや性犯罪などだが、刑事弁護手続きや裁判に影響はないのだろうか。刑事弁護に詳しい神尾尊礼弁護士が解説する。

●広く認めすぎると十分な弁護ができない可能性

今回、創設されたのは「勾留状や起訴状、判決書に個人特定事項(氏名や住所など)を記載しないことができる」という規定です。

- 起訴状から被害者の氏名や住所が消える… 刑訴法改正で秘匿可能に 弁護活動に支障も(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/225deec1ae369eb6ea66d63e61dac1edc8366f2a

現在も、被害者の情報(連絡先など)は、弁護人に限って開示されることがあります。「示談のため」がほとんどで、自白事件ではそこまでの影響は出ないことも考えられます。否認事件ならば防御の対象もよく分からないまま弁護しなければならないことにもなり得ます。

しばらくは、どのような事件で秘匿されるのか、どの程度で「防御に実質的な不利益がある」と認められるかを見守る必要があると考えます。場合によっては、身柄拘束を争う、不起訴を争うのほかに、「秘匿を争う」という観点も追加されるかもしれません。


- 起訴状から被害者の氏名や住所が消える… 刑訴法改正で秘匿可能に 弁護活動に支障も(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/225deec1ae369eb6ea66d63e61dac1edc8366f2a

●「秘匿を争う」という新たな弁護活動もあり得る

今回の改正では、開示される証拠について、弁護人に対しても個人特定事項を閲覧すらさせないことができるとされました。

現在も被害者の連絡先などはマスキングされた抄本として開示されることが多く、実務に与える影響は大きくないかもしれませんが、例えばアリバイの立証のために個人特定事項が必要な場合もあり、秘匿が争点になる事件も出てくるかもしれません。

また、判決書でも秘匿が可能です。審理が終わっていますので、勾留状や起訴状などと比べると弊害は小さいでしょう。上訴審を考えた時に問題が出てくるかもしれません(逆の立場からみれば、上訴審の弁護人のために一審段階で秘匿を争っておくといった弁護活動も行われるようになるかもしれません)。

被害者情報の秘匿は以前から行われてきましたが、さらに一歩進んで、被疑者被告人が一切情報に触れられない事件も出てくるということになります。

- 起訴状から被害者の氏名や住所が消える… 刑訴法改正で秘匿可能に 弁護活動に支障も(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/225deec1ae369eb6ea66d63e61dac1edc8366f2a

 Yahoo!ニュースの弁護士ドットコムニュースの記事は5月18日10時48分配信ですが、刑事訴訟法改正の成立が5月10日とあります。他にも刑事訴訟法で改正があるのかもしれないですが、初めて知ったニュースで、市川寛弁護士のツイートを見ないと知らないままだったかもしれません。

 市川寛弁護士のTwitterタイムラインを開いたのもかなり久しぶりのことです。

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