Phoenixとorkut

昔、mixiが一般的になるちょっと前に、日本のクリエイターの人達がこぞってやっていたソーシャルネットワーキングサービスにOrkut(オルカット)というアメリカのサービスがあって、開設は2003年か2004年くらいだったと思うけど、その頃、日本人もまあまあいて、みんな英語でプロフィールを書いたり、メッセージのやり取りをしたりして、日本人も外人も分け隔てなく、交流していた。

その中に、All Aboutでテクノポップのガイドをしてる四方さんという方がいて(わたしは尊敬の意を込めて、四方先生と呼んでいた)、四方先生とわたしは、Phoenixをはじめとした、音楽のことで盛り上がって仲良くなっていった。

わたしが初めてPhoenixを知ったのは、2002年に発売された、マンスフィールド名義の池田正典氏のコンピレーションアルバムの中に収録されていた「If I Ever Feel Better」を聞いたのが最初で、その曲があまりに素敵すぎて衝撃を受け、慌ててその曲を調べて、それが収録されているファーストアルバムを買ったのだ。

そのあと、2004年に発売されたセカンドアルバムが、また最高すぎて、その頃からどっぷりPhoenixにハマって行ったんだけど、その頃は全然日本で有名ではなかったので、わたしは四方先生をはじめとする、Orkutの音楽友達から、Phoenixの情報を仕入れたりしていた。

そんな時、なんとPhoenixの公式サイトに、日本に行くよ、というメッセージが英語でサラッと掲載されていて、それを見たわたしは慌てて、四方先生や他の音楽仲間に知らせて、詳しい情報を集め始めた。

どうやら、いろいろ調べてみると、新しく表参道にできるDior HommeのオープニングパーティーにPhoenixがシークレットゲストとしてライブをやる、ということらしく、そのライブには抽選で参加できるということだった。

わたしと四方先生は、なんとか抽選にあたり、無事に大井埠頭の倉庫で開催された、Dior Hommeのシークレットパーティーに潜り込むことが出来たのだけど、いわゆる、ファッション業界人が集う、セレブなパーティーなんて初めてだったから、まあ、行くまでに服装を決めたり、新しく小物買ったり、とテンションが大変なことになり、予想以上にライブも最高で(「Funky Square Dance」がかっこよすぎて死ぬかと思った)、ほんとに楽しい一日を過ごした。

それから何度も、Phoenixが来日するたびにライブには行ってるけど、「Funky Square Dance」を聴くたびに、あのシークレットライブの興奮を思い出すほどだ。

あのときの、トマをはじめ、メンバー全員のグランジっぽい格好が、また印象的で、え?Dior Hommeのパーティーなのに、そんなクタクタなTシャツでいいの?っていうか、逆にそれが、フランス流の肩の力抜いたオシャレなの?みたいな、斜め上を行ったエスプリに、一瞬でやられてしまった。そんなヨレヨレの服装なのに演奏はしっかりしてるし。はあ。Phoenix最高。

そのあと、すぐにmixiが流行り出して、Orkutにいた日本人はわたしもはじめ、みんなmixiに流れてしまったけど、2000年代初期のSNSってなんか、はてなもそうだったけど、純粋な好きエネルギーが充満してて、ほんとに素敵な場所だったな、と思う。



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