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【2024年4月18日追記】 ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空 【蓮ノ空感想文】

*ヘッダーの写真:兼六園・徽軫灯籠
2024年2月2日筆者撮影

2024年4月12日


Ⅰ はじめに


 皆様、初めまして。蓮ノ空のこと好き好きクラブの1人、ひろみみと申します。この度、レタスじろーさんさらいんさんによる蓮ノ空2ndライブのカウントダウン企画の参加者の1人として蓮ノ空の魅力を語るエッセイを書かせていただくことになりました。

 私が取り上げるテーマは、【ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空】です。ご存知の通り、2024年4月6日時点で蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは、スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!の3組の2人組ユニットから構成されています。

 一方で、ラブライブシリーズでは、これまでに蓮ノ空が生まれる前にSaint Snow、DiverDiva、クーカー(*1)、そしてSunny Passionという4組の2人組ユニット(以下、これら4組の2人組ユニットを総称して『先輩2人組ユニット』とします。)が活躍してきました。蓮ノ空の3組の2人組ユニットは、ラブライブシリーズの歴史の中でこれら4組の先輩2人組ユニットに続くものです。

 本稿は、以上のことを踏まえて、ラブライブシリーズの歴史において先輩2人組ユニットが描いてきた軌跡について、Ⅱでストーリーの観点から、次にⅢでリアルライブの観点から改めて振り返り、その上で、これまでのラブライブシリーズにおける2人組ユニットと蓮ノ空の3組の2人組ユニットを対比しながら、『ラブライブシリーズにおける2人組ユニット』という歴史の流れの中で蓮ノ空の3組の2人組ユニットを考えてみたいと思います(*2)。

 本稿はこのようなスタイルを取るため、蓮ノ空の話を始めるまでが長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
 なお、本稿は2024年4月6日時点迄の情報に基づき執筆されています(この日のWith×MEETSで蓮ノ空メンバー6人が進級したことが発表されましたが、本稿は103期迄の話を扱うため進級前の学年で表記します。)

2024年4月6日のWith×MEETSの1コマ
筆者スクショ

Ⅱ ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとストーリー


 本節では、先輩2人組ユニットが、各ラブライブシリーズのストーリーにおいてそれぞれどのようなキャラクターとして描かれてきたかを簡単に見ていきます。

(1)Saint Snow


 Saint Snowは、ラブライブ!サンシャイン!!のテレビアニメ1期から登場した、北海道函館市在住の鹿角聖良と鹿角理亞の姉妹2人組ユニットであり、ストーリーの中では主人公グループAqoursのライバルとして描かれます。

 Saint Snowはラブライブ決勝にも進出した強豪ユニットであり、アニメ2期でAqoursとラブライブ決勝で対戦することが期待されていましたが、ラブライブ北海道大会で敗退しラブライブ決勝進出を逃します。その後のストーリー進行は割愛しますが、函館でAqoursとSaint Snowが合同ユニットSaint Aqours Snowとして『Awaken the power』を歌ったことは作中の大きなハイライトです(*3)。

 その後、Saint Snowはラブライブ決勝に臨むAqoursを励ましに函館から沼津まで来ただけではなく、劇場版では沼津と函館をオンラインでつないでAqoursとSaint Snowの2組のみで幻のラブライブ決勝を行いました。その中でSaint Snowが重要文化財である旧函館区公会堂を背景に歌った『Believe Again』は、サンシャインの楽曲の中でも屈指の盛り上がり曲です。

 このように、サンシャインにおいてSaint Snowは、Aqoursにとって切磋琢磨するライバルであるユニットというだけでなく、Aqoursが紡ぐ物語に大きく関わり、Aqoursと並ぶ人気を誇る存在となっています。

(2)DiverDiva


 μ'sとAqoursのユニットが3人組ユニット3組で構成されるのとは異なり、虹ヶ咲のユニットは、3人組ユニット2組のA・ZU・NAとR3BIRTH、4人組ユニットのQU4RTZ、そして2人組ユニットのDiverDivaから構成されます。そして、DiverDivaはラブライブシリーズ初の、メインキャラクターの2人組ユニットとして誕生しました(ライバルキャラの2人組ユニットとしてはSaint Snowが先に存在。)。

 DiverDivaは、3年生で読者モデルも務め、大人っぽい雰囲気を持つ朝香果林、太陽のように明るく、文武両道で沢山の友達を持つ宮下愛の2人組です。

 虹ヶ咲の最大の特徴であるソロ曲ではメンバーはそれぞれのキャラの特徴が表れた曲を歌いますが、DiverDivaではサイバー感のあるクールな楽曲が多めです。加えて、愛がラップを担当しているのも特徴です。このラップが入る曲を持っている点は、曲の雰囲気は違えど、同じ先輩2人組ユニットであるSaint Snowとの共通点です。

 そして、DiverDivaを含めた虹ヶ咲のユニットで特筆すべき事として、シリーズで初めて主人公グループのユニットがアニメのストーリーで描かれていることがあります。具体的には虹ヶ咲アニメ2期の第2話~第6話で各ユニットの結成を含む物語が展開されました。

 DiverDivaについては、アニメ2期第4話でその結成が、愛が姉のように慕う川本美里を交えて描かれます。そうして生まれたのが、果林と愛が互いに競い合い、そして高め合いながら、その高さは成層圏を越えて宇宙パトロールまでしてしまうユニット、DiverDivaです。

(3)クーカー


 脚注(*1)で述べたように、本稿では検討対象として、各シリーズのいわゆる『正式な』ユニットと位置付けられているユニット以外のユニットであるクーカーも取り上げます。

 クーカーはスーパースターアニメ1期第3話において、澁谷かのんと唐可可が、代々木スクールアイドルフェスに出場するために結成されたユニットです。

 クーカーのメンバーの1人澁谷かのんは、歌が大好きなのに人前で歌えないというトラウマのため結ヶ丘女子高等学校の音楽科に入学できなかった本作の主人公であり、一方、もう1人のメンバーである唐可可は、スクールアイドルに憧れて上海から結ヶ丘に入学した留学生です。

 そして、代々木スクールアイドルフェスにおいてクーカーが歌った曲が『Tiny Stars』です。『Tiny Stars』については、歌が大好きなのにトラウマゆえに人前で歌うことが出来なかったかのんが、可可と一緒にステージに立ったことにより、

『歌える。1人じゃないから。』

ラブライブ!スーパースター!!
アニメ第1期第3話より

と述べて(この倒置法を使ったセリフが良いのです…。)、2人でこの曲を歌うシーンに涙した方も少なくないと思います。

 最終的にクーカーは代々木スクールアイドルフェスで特別賞を受賞し、学校からはスクールアイドル活動の継続を認められ、やがて5人のLiella!へと繋がります。

 クーカーはユニットとしては僅か1曲しか歌っていません。しかし、その1曲である『Tiny Stars』は、アニメ1期第3話の当時から今までもずっと我々を魅了し続けています。クーカーは、スーパースターにおいて、Liella!へと繋がる、始まりの2人組ユニットというとても大きな存在です。

(4)Sunny Passion


 Sunny Passion(以下、サニパ)は、スーパースターアニメ1期にて初めて登場した、かのん達Liella!にとって初のライバルとなる、聖澤 悠奈と柊摩央の2人組のスクールアイドルユニットです。サニパはLiella!と同じく東京都のスクールアイドルですが、原宿、青山、表参道という東京都の中でも屈指のお洒落で流行の最先端を行く街を地元とするLiella!とは対照的に、彼女達は東京都の離島である自然豊かな神津島出身です。

 そしてこのサニパの大きな特徴は、Liella!にとってライバルである一方で、頼れる先輩でもあるということです。ラブライブシリーズで初めて新設校を舞台としたスーパースター(アニメ1期)では、かのんを始めとするLiella!メンバーは全員高校1年生で、学校には先輩が1人もいません。そんなLiella!(当時はグループ名なし)のメンバーを、サニパの2人は自分達の地元である神津島にイベントのゲストして招き、一緒にトレーニングをし、ライブをセッティングしてLiella!に経験を積ませてくれます。そんなサニパは、人格的にも、そしてスクールアイドルの力量としても理想的な先輩であると言えます。

 一方で、サニパはラブライブの舞台ではLiella!にとって厳然たるライバルです。アニメ1期では、ラブライブ決勝大会進出を賭けた東京大会で両者はぶつかります。学校の皆の後押しを受け、渾身の曲である『Starlight Prologue』で東京大会に挑んだLiella!はサニパの前に敗れます。そしてサニパはその年のラブライブ決勝大会で優勝を勝ち取るのでした。Liella!にとって敬愛する先輩であるサニパは、Liella!にとって高い壁でもあったのです。

(5)小括


 ここまで先輩2人組ユニット4組のストーリーを簡単に振り返ってきました。以上を踏まえて、先輩2人組ユニットの特徴とは何か考えてみたいと思います。

 4組の先輩2人組ユニットに共通する最大の特徴は、どのユニットも各シリーズの重要なストーリーの一部に組み込まれているということではないでしょうか(*4)。これは必ずしも意図的なものではなく、各シリーズでのストーリーの展開がたまたまそのようになったからにすぎないと思われます。それでもなお、この偶然には私は何かしらの縁を感じずにいられませんでした。

 そして、先輩2人組ユニット4組のうち2組のユニットが、主人公達のグループのライバルユニットであるということも特筆できます。ラブライブシリーズ初代のμ'sのライバルであるA-RISEはμ'sの各ユニットと同じ3人組でしたが、Aqours以降に登場したライバルユニットがいずれも2人組であることは、同じ学校のスクールアイドルクラブの仲間でありながらライバルでもある、蓮ノ空の各2人組ユニットの間の関係にも繋がっているように感じます。

Ⅲ ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとライブ


 本節では、先輩2人組ユニットそれぞれが、ラブライブシリーズのリアルライブで見せてきたパフォーマンスについて、主なものに絞り簡単に見ていきたいと思います。

(1)Saint Snow


 Saint Snowのリアルライブを語る上でまず挙げるべきは2018年4月に彼女達の地元である函館で開催されたHAKODATE UNIT CARNIVALです。Saint SnowとAqoursの3ユニットがユニット曲で共演するライブですが、北海道庁所在地の札幌市ではない函館市で開催されたことが画期的です。

 次にSaint Snowは同年に開催されたAqours 3rdライブツアーに出演。Saint Aqours Snowとして『Awaken the power』を披露したことに加え、最後の開催地福岡では『CRASH MIND』と『DROPOUT!?』を歌い会場を大いに盛り上げました。

 さらにSaint Snowは同年に開催されたAqours 4thライブに出演(詳細は脚注(*4)参照)。そして、Saint Snowは2019年に開催された、サンシャイン劇場版をなぞるAqours 5thライブにも出演。Aqoursとの二組だけの幻のラブライブ決勝で歌った新曲『Believe Again』で会場を大いに沸かせました。

 さらに翌2020年には、Saint Snowはラブライブシリーズ初のシリーズを跨いだライブであるラブライブフェスにも出演。さいたまスーパーアリーナにおいて、各シリーズのファンの前で確固たる人気を見せつけました。

 しかしその後新型コロナ禍が発生したことにより、ラブライブシリーズのライブやイベントの開催が危ぶまれました。そんな中、2020年10月と11月、Saint SnowはMV付きの新曲『Dazzling White Town』をひっさげて初の単独のライブ・トークイベントであるSaint Snow 1st GIGを横浜と札幌で開催します。

 電子チケットの導入、座席の間隔空け、マスク着用、発声禁止、着席観覧という何もかもイレギュラーな中ではありましたが、4日間6公演を無事に完走。その後のラブライブシリーズの各種イベント開催への狼煙をあげたのです。

 しかし、その後かなりの期間に渡り、Saint Snowがラブライブシリーズのライブイベントに登場することはなかったのですが(*5)、ついに2024年3月、ユニット甲子園でSaint Snowが約3年半ぶりに当時と変わらない、いいえ、益々パワーアップしたパフォーマンスを私達に見せてくれたのは記憶に新しいところです。

(2)DiverDiva


 DiverDivaが初めてライブパフォーマンスをしたのは2020年9月に開催された虹ヶ咲2ndライブ。しかし、コロナ禍の影響でこのライブはシリーズ初の無観客生配信ライブ、かつコロナ禍後初のライブとなりました。それでもなお、DiverDivaを含めて虹ヶ咲のメンバーが画面の向こうから届けてくれるパフォーマンスには胸が熱くなりました。

 次に、DiverDivaが初めて有観客でパフォーマンスを披露したのは、2021年9月に開催されたUNIT LIVE & FUN MEETING vol.1。4ユニットのトップバッターを飾ります。会場は無観客ライブだった2ndライブ会場であり、虹ヶ咲の『ホーム』である東京ガーデンシアター。2ndライブで披露した1stシングル曲『SUPER NOVA』に加え、2ndシングル曲『THE SECRET NiGHT』やBD特典曲『祭花 -saika-』と『POWER SPOT!!』等のDiverDiva曲、さらに果林と愛のソロ曲を交え会場を沸かせます。

 その後、DiverDivaは2022年2月の4thライブ、そしてアニメ2期準拠の2022年9月開催の5thライブ、さらには2024年1月の6thライブ神奈川公演でもユニット曲を歌いますが、一つの到達点が、2023年2月に東京ガーデンシアターで開催されたUNIT LIVE!~DiverDiva GALactic Trip~です。

 2023年1月~3月にかけて開催された虹ヶ咲ユニットライブにおけるDiverDivaのライブは、ラブライブシリーズ初の、出演者二人によるファンミ形式ではないフルサイズのライブでもありました。全てのDiverDiva曲に、メンバー二人のソロ曲を2曲ずつ、そして全員曲の二人ver.を含めた全20曲を熱唱。ユニットライブのアンカーであるQU4RTZに襷を繋ぎました。

(3)クーカー


 脚注(*1)で述べたので繰り返しはしませんが、クーカーはLiella! 1stライブツアー11会場22公演において『Tiny Stars』を歌っています。その後も『Tiny Stars』は、1stライブツアーからさほど間を置かずに開催された2ndライブ6公演や、2ndライブツアーの間に開催されたアコースティックライブやファンミ大阪公演でも披露されています(*6)。

 その後、『Tiny Stars』がフルサイズで歌われることは暫く無く、2024年1月・2月に開催されたLiella! 5thライブで約1年半ぶりにフルサイズで披露されました。その時のファンの喜びは一言では語り尽くせないほどのものだったでしょう。

 私も、5thライブ東京公演Day1で久しぶりにこの曲を聴いて胸が高鳴り、歓喜したことを鮮明に覚えています。

Liella! 5thライブ東京公演会場(武蔵野の森メインアリーナ)
2024年2月10日筆者撮影

(4 )Sunny Passion


 サニパの持ち歌は『HOT PASSION!!』と 『Till Sunrise』の2曲です。これら2曲を収録したシングルは2022年2月にリリースされていますが、それに先立ち同年1月のLiella! 1stライブの追加公演でサニパはゲストとして初のライブパフォーマンスのステージに立ち、『HOT PASSION!!』を初披露しました。その後、同年3月と4月のLiella! 2ndライブ横浜公演と愛知公演では『HOT PASSION!!』に加えてカップリング曲の『Till Sunrise』を披露します。

 しかし、その後サニパはラブライブシリーズのライブの舞台から遠ざかります(スーパースターアニメ2期には登場)。そして2024年3月、およそ2年ぶりにサニパはユニット甲子園でこれら2曲を披露。K-アリーナ横浜に集ったファンの心と身体をパッション全開に熱くさせました。

(5)小括


 以上、本節では、先輩2人組ユニット4組のリアルライブについて改めて振り返ってきました。

 大きな特徴としてはまず、DiverDivaを除く3組の各2人組ユニットは、それぞれ2024年に入るまでかなりの長い間ラブライブシリーズのライブのステージに立っていなかったということが挙げられます(なお、クーカーのメンバー2人はLiella!として各種ライブに出演)。

 しかしそんな長い間のライブがなかった期間は、Saint Snowとサニパについては2024年3月のユニット甲子園で、そしてクーカーについては、2024年1月のLiella! 5thライブにおいてピリオドが打たれました。

 これらのユニットが、リアルライブへの出演がなかなか叶わなかった理由について、Saint Snowとサニパについては、例えば、主人公グループのライバルユニットという位置付けゆえに、ナンバリングライブを始めとする各種ライブイベントへの参加が自明ではなかったことが考えられます。

 一方で、クーカーについては、『Tiny Stars』がアニメ1期の初期の挿入歌である一方で、Liella!が9人となり、そしてさらに11人となった中で、どのタイミングで再びパフォーマンスを見せるか検討を重ねた末の5thライブでの披露だったのかもしれません。

 そして、それぞれのユニットの各シリーズ内での位置付けは異なるものの、どのユニットのライブステージも熱く、心を揺さぶる素晴らしいものでした。

 その上でこれは1人のファンの推測でしかありませんが、同じように主に2人組ユニットとしてステージに立つ蓮ノ空のメンバー6人は、それぞれが、これら先輩2人組ユニットのライブステージを現地で、配信で、そしてBDで見て刺激を受け、そして自分達のパフォーマンスの参考にしてきているのではないでしょうか。

Ⅳ ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空


 ここまで先輩2人組ユニットについてストーリーとリアルライブの観点から見てきました。ここでは、上記の二つの観点を踏まえ、先輩2人組ユニットと蓮ノ空の3ユニットを適宜対比しながら、ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空について考えてみたいと思います。

(1)2人組ユニットとしての蓮ノ空とストーリー


 蓮ノ空には2人組ユニットが3組(スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!)存在していますが、それぞれのユニットを構成する2人組の間、3人ずつの同学年同士、さらには学年とユニットを超えた組合せ(るりのとゆかいなつづりたち、かほめぐ♡じぇらーと、蓮ノ休日のシャッフルユニット)のそれぞれについて濃密なストーリーがあり、我々はそれらをリンクラの活動記録、With×MEETS、Fes×LIVE、さらにはカードのメッセージを通してたくさんたくさん受け取り、楽しんできたことはもはや言うまでもありません。

 なお、本稿の性格上、各ユニットについてのストーリーをそれぞれ深く掘り下げるということはしません。あくまでも『ラブライブシリーズにおける2人組ユニット』という視点から蓮ノ空の3つの2人組ユニットを考えます。具体的には、【ユニット構成】と【楽曲】の2つの視点から考えてみましょう。

【ユニット構成】
 まず、蓮ノ空の3つの2人組ユニットは、それぞれ2年生と1年生から構成されます。これらはいわゆる『先輩後輩ユニット』であり、そしてこのようなユニットの組み方は蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの伝統でもあることがストーリーの中で明らかになっています(*7)。

 さて、この2人組の先輩後輩ユニットですが、蓮ノ空以前のラブライブシリーズの中では、3年生の聖良と1年生の理亞からなるSaint Snowと、3年生の果林と2年生の愛によるDiverDivaが該当します(なお、Saint Snowは姉妹ユニットというイメージが強いですが、先輩後輩ユニットでもあります。)。一方、他の先輩2人組ユニットであるクーカーとサニパは同級生ユニットです。

 このように、蓮ノ空の2人組ユニットは、先輩後輩ユニットという、これまでの先輩2人組ユニット2組と同じユニットの組み方を取っています(これは、るりのとゆかいなつづりたち(瑠璃乃と綴理)、かほめぐ♡じぇらーと(花帆と慈)、そして蓮ノ休日(梢とさやか)のシャッフルユニットでも同じです。)。その意味では、蓮ノ空の3ユニットは、ラブライブシリーズの2人組ユニットの『伝統』を継承しているとも言えるのではないでしょうか(*8)。

 一方で、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブは、先輩と後輩からなる2人組ユニットがユニット名(さらにはユニット毎の『伝統』曲も)を受け継ぎながら、連綿と繋げてきているという『伝統』も継承しています。

 このように、蓮ノ空の2人組ユニットは、ラブライブシリーズ内ではシリーズの先輩2人組ユニットの『伝統』を受け継いでおり、そして蓮ノ空の作品内では蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの『伝統』という二つの『伝統』を受け継いでる存在と位置付けることが出来ます。

【楽曲】
 次に、楽曲について見ていきたいと思います。その理由としては、ラブライブシリーズでは、アニメの挿入歌を筆頭として楽曲自体にストーリーが伴っていることがまずあります。加えて、ラブライブシリーズのユニットでは、シリーズ間で(完全にではなくとも)、楽曲が先のシリーズのユニットのテイストを受け継いでいる傾向が見られ(例えば、クール感やロックなサウンドだとBiBi⇒Guilty Kiss⇒DiverDivaとR3BIRTH⇒CatChu!)、このような傾向それ自体もある種の一つのストーリーと言えると思われます。

 まずスリーズブーケ。このユニットは『正統派、王道のスクールアイドル』的なスタイルの曲を歌っています(既に沢山の曲がありますが、敢えて個人的好み全開で1曲挙げるなら、『フォーチュンムービー』です!)。

『フォーチュンムービー』リリックビデオ
筆者スクショ

 そして、このような『正統派、王道のスクールアイドル』的なスタイルの曲を歌っている先輩2人組ユニットと曲としては、クーカーの『Tiny Stars』が該当すると考えられます。『Tiny Stars』は、スクールアイドルに並々ならぬ情熱を持つ可可の想いが具現化されたかのような、夜空に浮かぶ星のようにキラキラと輝く曲。スリーズブーケはまさにクーカーの系譜に連なる『正統派、王道のスクールアイドル』2人組ユニットと言えるのではないでしょうか。

 次にDOLLCHESTRAです。このユニットの曲と言えば、『クール&スタイリッシュ』なものがメイン。1曲挙げるなら、伝統曲である『MIRAGE VOYAGE』が典型例です。裾が美しくたなびく着物風な衣装も素敵です。その一方で、『KNOT』のようなライブでぶちあがるタイプの曲(ユニット甲子園Day2の盛り上がりは凄かった…。)や『ツキマカセ』のような可愛らしい曲もあります(*9)。

『MIRAGE VOYAGE』リリックビデオ
筆者スクショ

 さて、クールでぶちあがるタイプの曲を歌う先輩2人組ユニットと言えば、やはりSaint Snowです。1曲だけにしますが、ここはやはり『Believe Again』を挙げたいです。この曲は、ユニット甲子園で披露された時のように、『KNOT』と同様にフロアを大いに沸かせる曲です。サウンドの特徴は異なるものの、どちらもロックで非常にカッコよい曲です。Saint Snowの二人がサビで観客席を煽る『Believe Again』、そして村野さやか役の野中ここなさんが『暴れろーーーー!!』と観客席を煽るのもすっかり定番となった『KNOT』。いずれも素晴らしく甲乙付け難いです。

 最後はみらくらぱーく!です。デビューミニアルバムに収録されたユニット曲『ド!ド!ド!』の初見のインパクトが強かったですが、この曲は今や蓮ノ空の楽曲の中でも屈指の盛り上がり曲と言って良いでしょう。他の曲も、明るく楽しく、皆で盛り上がれる曲が目白押しです。

『ド!ド!ド!』リリックビデオ
筆者スクショ

 先輩2人組ユニットでは、サニパの『HOT PASSION!!』が、サニパの故郷、神津島に降り注ぐ太陽の光のように、明るくカラッとした、皆で盛り上がれる曲の代表格です。ハチャメチャに盛り上がる『ド!ド!ド!』とはまた異なりますが、太陽のような底抜けの明るさはどちらのユニットの曲にも共通です。

(2)2人組ユニットとしての蓮ノ空とライブ


 蓮ノ空がこれまでに出演したリアルライブとしては、

①リリイベ@豊洲(デビューミニアルバム発売記念イベント「Dream Believers」(2023.4.21、豊洲PIT))
②オープニングライブイベント@横浜(昼・夜)(ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ OPENING LIVE EVENT~Bloom the Dream~(20236.4、パシフィコ横浜 国立大ホール))
③サマステ@六本木(SUMMER STATION 音楽LIVE)(2023.7.29、六本木ヒルズアリーナ)
④1stライブツアー~RUN! CAN! FUN!~@福岡、東京、愛知(6公演)
⑤異次元フェス@東京ドーム(2公演)
⑥ユニット甲子園@横浜(2公演)

が挙げられます。

 本節ではこれら(網羅的では無いです。)を素材に、ライブの側面から2人組ユニットとしての蓮ノ空を考えてみます。

 まず、連続して披露する曲の数から考えてみましょう。当然ながら、人間が連続して休み無く歌える数には限度があります。ラブライブシリーズのライブだと、一般的には全員曲なら3~4曲位連続で歌ってMCや幕間アニメ等が入って小休止となります。

 先輩2人組ユニットの中で、一組で1回のライブで最も多くの曲が歌われたのは、20曲を歌った2023年2月のユニットライブDiverDivaです。その中での連続歌唱曲数は6曲(*10)。果林と愛のソロ曲を交えているとはいえ(他のメンバーの歌唱中に休める。)、二人でこれだけの数の曲を連続で歌うのは凄いことです。

 それでは、蓮ノ空はどれ位連続で曲を歌ったことがあるのでしょうか。現時点では、1stライブツアー・福岡、東京、愛知各公演におけるスリーズブーケとDOLLCHESTRAの2ユニットによる連続9曲が最多です(*11)。具体的には、各ユニットがユニット曲を2曲ずつ交互に2回歌い、さらに最後は4人で『DEEPNESS』も歌っています。1つのユニットが歌っている間は他のもう1つのユニットは休めるとは言え、これだけ連続で歌うことが出来るのは驚異的です(*12)。そして、間もなく始まる蓮ノ空の2ndライブでは、蓮ノ空の3ユニットは何曲連続で歌うのでしょうか。密かに楽しみにしています。

 最後に、既に所々で触れていますが、2024年3月9日及び10日に開催されたラブライブのシリーズの垣根を超えたライブであるユニット甲子園について取り上げます。

ユニット甲子園の会場『K-アリーナ横浜』
2024年3月10日筆者撮影


 このライブは、μ'sとA-RISEを除くラブライブ全シリーズのユニットが勢揃いする、まさに夢のようなライブです。本稿で取り上げている先輩2人組ユニットもクーカーを除き出演し、蓮ノ空からも3ユニットが出演しました。

 蓮ノ空の3ユニットはリンクラで描かれる素晴らしい物語、With×MEETSやFes×lIVEで1stライブの頃には既に多くのファンを獲得してきましたが、2023年12月に東京ドームで開催された異次元フェスの大舞台ではラブライバーだけでなく沢山のアイドルマスターのプロデューサーをも魅了するパフォーマンスをして新たなファンを獲得し、ユニット甲子園では出場ユニットの中で一際大きな歓声を受けていた気がします(個人の感想です。)。

 そんな中、ユニット甲子園の2日間で、蓮ノ空の3ユニットはそれぞれ合計4曲を披露。K-アリーナ横浜を興奮のるつぼへと変えました。

 特に、Day1の1回の表を担当し、選手宣誓の大役も担ったみらくらぱーく!が、1曲目から『ド!ド!ド!』で会場のボルテージを一気にフルスロットルへと引き上げたことは、もはや伝説と言っても過言ではありません。

 現在のラブライブシリーズは、サンシャイン、虹ヶ咲、スーパースター、そして蓮ノ空、さらにはスクールアイドルミュージカルも並行して存在して活動し、ファンが活動を追う対象のグループも人それぞれ違います。そんな中で、蓮ノ空はK-アリーナ横浜に集いしラブライブシリーズのファン一人一人に鮮烈な印象を残したのです(*13)。

(3)小括


 以上、Ⅱで見てきた先輩2人組ユニットの軌跡と対比しつつ、蓮ノ空をラブライブシリーズにおける2人組ユニットの観点から改めて考えて見ました。ここまで述べてきたのは蓮ノ空の魅力のほんの一部分にしか過ぎませんが、蓮ノ空がラブライブシリーズにおける2人組ユニットの伝統や楽曲の特徴を受け継いでいること、そして蓮ノ空のリアルライブの魅力について語りました。

 蓮ノ空の魅力は、私以外のこのカウントダウン企画の参加者の皆様がそれぞれの方法で既に大いに語ってくれましたし、この後もきっと大いに語ってくれます。私も楽しみにしています。

Ⅴ おわりに


 本稿を書こうと思ったきっかけは、オープニングライブイベントで初めて蓮ノ空のライブを見て、『彼女達のリアルライブのパフォーマンスは素晴らしい! もしかしたら、これまでのラブライブシリーズの2人組ユニットの素晴らしいパフォーマンスが彼女達に影響を与えているのではないか?』と素朴に思ったことです。

 そんな素朴な疑問から始まり、こうして間もなく始まる蓮ノ空2ndライブの開催に彩りを添えるこのカウントダウン企画にエッセイを執筆する形で参加できたことを、蓮ノ空のこと好き好きクラブの1人としてとても嬉しく思います。

 そして、蓮ノ空2ndライブを楽しみにしている皆様にとって、本稿が少しでも蓮ノ空を改めて考え、楽しむ一助になれていれば、本稿の目的は達成されます。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!



花咲くまであと8日-Blooming With YOU-


* * *

【2024年4月18日追記】


 2024年4月13日の104期重大発表において、新入生が3名蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブに入部し、1名ずつスリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!に加入し、各ユニットが3人ずつで活動していくことが発表されました。

 そのため、本稿において考えてきた『2人組ユニットとしての蓮ノ空』は、103期までの議論ということになります。本稿は104期重大発表の前日である12日に投稿されたので、1日にしてその内容が過去のものになりました。

 『ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空』を考えてきた者としては、このことに一抹の寂しさがないと言えば嘘になります。

 しかし、我々と同じくリアルタイムで時間や季節が流れ、キャラやコンテンツに常に進化や変化が伴うことこそ、1年間彼女達と時間を共有して実感した蓮ノ空の魅力の真髄です。

 だとすれば、自分の選択肢は各ユニットが3人組となった104期の蓮ノ空を思い切り応援し、その軌跡と奇跡を楽しむことしかありません(104期重大発表の内容に関わらず、元々そのつもりではありますが…。)。

(また、その延長戦上に『ラブライブシリーズにおける3人組ユニットとしての蓮ノ空』もあるのかもしれませんが、それはまた改めて…。)

 104期生の皆さん、ご入学・入部おめでとうございます。皆さんのこれからの活躍がとても楽しみです!

 そして最後に…。本稿における『ラブライブシリーズにおける2人組ユニットとしての蓮ノ空』の検討も、蓮ノ空103期のかけがえのない1年を1人のファンが考えたものとして、一定の意味があるのかもしれません。
* * *

【謝辞】 
 本稿の執筆に当たり、第一稿を丁寧にお読みいただき、多数の貴重な御指摘をいただいたstrikebさんに心より感謝申し上げます。なお、本稿の誤りの責任は全て筆者のみにあります。

【脚注】

(*1)クーカーは他の3つの先輩2人組ユニットと異なり、スーパースターアニメ1期第3話でかのんと可可が代々木スクールアイドルフェスに出演するために組まれた1回限りのユニットですが、その時歌われた『Tiny Stars』の人気は当時から現在まで根強いものがあります。また、先日のユニット甲子園のシークレット枠の予想でも名前が挙がっていました。さらに、『Tiny Stars』自体がLiella!の1stライブツアーの11会場22公演や2ndライブ等でも歌われており、今回取り上げる他の2人組ユニットの楽曲の歌唱回数と比較しても遜色がないため(むしろ最多?)、今回の検討対象に加えています。
(*2)このような性質上、本稿は『ラブライブシリーズの2人組ユニット概説』とも言えるかもしれません。そのため、本稿は必ずしも先輩2人組ユニット及び蓮ノ空の3組の2人組ユニットのそれぞれについて深く掘り下げているわけではないことはご理解いただければ幸いです(もし掘り下げたら、1ユニットだけで記事1本になります…。)。
 加えて、沙知先輩が梢、綴理、慈と組んでいた102期のスリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!は本稿の検討の対象外です。
(*3)『Awaken the power』は2018年のAqours 3rdライブツアーで初めて披露され、その後同年に東京ドームで開催されたAqours 4thライブでも披露されました。その時の観客の盛り上がりと歓声は凄まじく、東京ドーム周辺で長年タクシーの運転手をされている方がこんな大きな歓声は初めてと話したという逸話もあるほどです。
(*4)虹ヶ咲のアニメ(OVA含む)では、DiverDivaだけではなく、3人組・4人組の他の3ユニット(A・ZU・NA、QU4RTZ、R3BIRTH)のストーリーも描かれています。
(*5)実は、Saint Snowは2021年のバンナムフェス2ndへの出演が決定していました。しかし、コロナ禍で同フェスは延期。2022年に開催されたバンナムフェス2ndでは出演者に含まれておらず、久しぶりのパフォーマンスは幻となりました。
(*6)詳細は、LL-Fansを参照しました。https://ll-fans.jp/data/song/358
(*7)梢、綴理、慈の3人が1年生の時、それぞれが沙知先輩とユニットを組んでいました。1人で3ユニットを掛け持ちするとは、沙知先輩も相当に凄い人です。
(*8)なお、DiverDivaの果林と愛の間の関係は学年的には先輩後輩ですが、2年生の愛は3年生の果林に対してため口で話しています。これはもしかしたら、これは誰とでもフラットに接する愛の性格ゆえなのかもしれません。一方で、みらくらぱーく!は慈と瑠璃乃が幼なじみということもあり、ため口で話しています。2人の関係性は両ユニットそれぞれで異なりますが、ため口で話すことも蓮ノ空へ受け継がれていると考えられます。
 また、みらくらぱーく!は幼なじみユニットでもありますが、サニパも幼なじみユニットである可能性は少なからずあると思われます。自分の知る限り、スーパースターのアニメの中ではハッキリとした描写はないですが…。
(*9)可愛らしい曲と言えば、DiverDivaの『恋するMagic!』は外せません! クールに歌う『ツキマカセ』とはまたテイストが違いますが、両者の違いもまた良いです。
(*10)詳細はLL-Fansを参照しました。https://ll-fans.jp/data/event/140?concert=208&performance=347
(*11)詳細はLL-Fansを参照しました。https://ll-fans.jp/data/event/166
(*12)因みにラブライブシリーズの連続歌唱曲数の最高記録は、自分の知る限り、虹ヶ咲6thライブ愛知公演Day2の17曲連続です。詳細はLL-Fansを参照しました。https://ll-fans.jp/data/event/162?concert=241&performance=407
(*13)ユニット曲ではありませんが、Day2の7回表のシークレット枠で、スリーズブーケとDOLLCHESTRAが蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとして『DEEPNESS』を歌った時の会場の盛り上がりも凄かったです…!(会場のそこかしこから、悲鳴のような声が上がっていました。)

(了)

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