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眩耀夜行・四方山話

ヘッダー写真:浅野川大橋(2024年2月2日筆者撮影)


はじめに

 皆様、蓮ノ空はお好きですか?
 そして、スリーズブーケはお好きですか?
 私は大好きです。

 そして数多くあるスリーズブーケのユニット曲(まだ活動開始から1年ほどとは思えません…。)の中でも、私は特に2ndシングルの表題曲『眩耀夜行』が大好きです。
 この小文では、眩耀夜行に関する考察…というほどではないですが、この曲を通じて私が思ったことを、いくつかつらつらと気楽に書いてみたいと思います。
 どうぞ少しだけ肩の力を抜いてお読みいただければ幸いです。

一 『眩耀夜行』の夜

 『眩耀夜行』。漢字4文字で構成されるこの曲のタイトル(*1)。スリーズブーケの一員であり、現在蓮ノ空女学院3年生である乙宗梢の作詞・作曲によるものです。まるで日本文学の作品名のようなこのタイトルを書き下し文にすれば『眩しく耀く夜を行く』。一般的に夜は日が落ちた後の暗い状態を指しますから(白夜を除く)、眩しく耀く夜というのは本来の言葉の意味からすればやや不自然なもの。しかし、これはこの曲の歌詞を読むことで判明します。

『水面を駆ける光の波紋』
『銀河に石を散りばめた夜に願い事を』
『街中が空を余所見する間に』

スリーズブーケ『眩耀夜行』より

 『水面を駆ける光の波紋』は打ち上げ花火が川の水面に映る様子を、
 『銀河に石を散りばめた夜に願い事を』は、夏の天の川を、そして願い事は七夕を、
 そして『街中が空を余所見する間に』は、沢山の人々が打ち上げ花火を見ていることを意味していると考えられます。
 これらから、眩耀夜行で綴られるのは、天の川の星の光と打ち上げ花火の光が夜の闇を照らす七夕の花火の夜の物語であると考えられます。
 実際、この曲が初めて披露された103期7月度Fes×LIVE(2023年7月31日)もステージは七夕を強く意識したものでした(*2)。

二 『眩耀夜行』の行き先

『ここじゃないどこかへ まだ誰も知らない場所まで』
『このまま遠くへ 川沿い下って行けるとこまで』

スリーズブーケ『眩耀夜行』より

 『眩耀夜行』の登場人物は歌詞を読む限り2人です。この2人は何処へ行こうとしているのでしょうか。
 『ここじゃないどこかへ』と述べているので、特段目当ての場所があるわけではないと思われます。一方で、『まだ誰も知らない場所へ』ともありますが、現代の日本で誰にも知られていない場所はないと考えられるので、さし当たり家族や友人など自分の周囲の人間が知らない場所に行こうとしているのでしょうか。
 そして、その手段が『川沿い下って行けるとこまで』です。リリックビデオでは和風の建物が建ち並ぶ川沿いの街並みが描かれています。金沢市内なら、浅野川沿いの主計町の辺りでしょうか。

『眩耀夜行』リリックビデオ(筆者スクショ)


 仮にそうだとして、浅野川沿いを下ると最後は内灘町の方に行きつきます。とは言え、高校生が夜に歩くには流石に遠すぎます(そして危険)。もし本当に遠くに行きたいなら、JR及びIRいしかわ鉄道の線路と交わる辺りから、金沢駅方面に向かい、そこからさらに夜行バスなり電車なりで移動することになるのでしょう(なお、2023年の時点で金沢駅を発着する夜行列車はありません。この点は後述。)。
 一方で、『川沿い』の『川』は、歌詞にもある『銀河』、即ち『天の川』かもしれません。
 普段は天の川の両岸に隔てられ、1年に一度、七夕の時にだけ会える織姫と彦星が、天の川に沿って誰も知らない宇宙の果てへ向かう…想像が飛躍しすぎているでしょうか。

三 『眩耀夜行』の目的

 『眩耀夜行』の歌詞を見ても、登場人物の2人が何のために七夕の花火の夜に『まだ誰も知らない場所まで』行こうとしているのかは、判然としません。
 ネット上で見たことがある考察としては、所謂『駆け落ち』があります。GPSの位置情報を使えば容易に人がいる場所を割り出せる現代ではありますが、駆け落ちという言葉には、許されない、祝福されない恋路を歩むカップルの逃避行といったドラマを感じる響きがあります。
 一方で、仮に『眩耀夜行』の登場人物が高校生だと仮定すれば、想い人と一緒に特別な七夕の花火の夜を自分達を知る人がいない場所で過ごそうとしている、というある意味穏当な(?)目的と解することも不可能ではありません。

四 『眩耀夜行』と乙宗梢

 以上を踏まえて、『眩耀夜行』を作った乙宗梢について考えてみたいと思います。
 先述のように、この曲は漢字4文字のタイトルであり、他の漢字4文字の曲と合わせて乙宗梢の楽曲の特徴を構成するものです。さらに、『花火』という言葉を一度も使わず花火の夜を表現しており、非常に文学的な歌詞となっています。これらだけでも、乙宗梢の言葉に対する意識、知識、教養の豊かさが垣間見える気がします。
 次に、『眩耀夜行』というタイトルから少しだけ想像を膨らませたいと思います。具体的には、乙宗梢と夜行列車です。
 先に、『眩耀夜行』の行き先について、遠くへ行くのであれば、金沢駅まで行き、そこから夜行バスや電車に乗ることも可能であること、ただし現在では金沢駅を発着する夜行列車は存在しないことを述べました。
 金沢駅を発着する夜行列車で最後まで残っていたのは、2015年3月に定期運行を終えた大阪から札幌を結ぶトワイライトエクスプレスです(*3)。さらに、金沢と首都圏を結んでいた夜行列車としては、急行『能登』と寝台特急『北陸』がありましたが、ともに2010年3月に定期運行を終えました(*4)。
 乙宗梢は2023年に17歳なので、『能登』・『北陸』が廃止された2010年は4歳、トワイライトエクスプレスが廃止された2015年は9歳です。加えて、ここで着目したいのが、①乙宗梢の家族は音楽一家であること、そして②乙宗梢は、別荘を所有していたり、そして実家の描写からも、まごう事なきお嬢様であることです。
 ①からは、父親and/or母親がコンサート等で各地に出掛ける際に幼少期の乙宗梢が同行していた可能性は少なからずあると思われます。その交通手段は、飛行機、2015年以降は北陸新幹線、そして上記夜行列車が含まれる可能性があります。
 そして②からは、乙宗家であれば、非常に高級な個室があり、食堂車ではフルコースも食べることができるトワイライトエクスプレスに乗車することも容易と考えられることです。
 その上で、夜行列車とは一般的に夜から翌朝にかけて長い距離を長い時間をかけて走ります。もし、幼少期の乙宗梢が夜行列車に乗ったことがあるならば、その行き先はまだ小さな彼女自身にとって遙か遠くであり、夜行列車は自分が知らない場所、自分を知る人がいない場所へ連れて行ってくれるものという意識を幼心に印象づけるのに充分と思われます。
 そして高校生となった今、乙宗梢が作った『眩耀夜行』という曲には、もしかしたら乙宗梢が幼少期に乗ったかもしれない夜行列車の体験や記憶が影響を与えているのかもしれません(*5)。

おわりに

 以上この小文では、『眩耀夜行』を素材に、『漢字4文字』のこの曲に因み、『四方山話』として、『4つの項目』に分けて、気楽なエッセイとして考えてみました。少しでも楽しんでいただければ幸いです。
 そして、最後に、2024年4月20-21日の2ndライブ千葉公演までの時点で『眩耀夜行』が最後に披露されたのは昨年12月の異次元フェスDay2です。次の披露が今から楽しみでなりません!

脚注

(*1)乙宗梢が作ったスリーズブーケの曲名には、漢字4文字のものが多いです。『眩耀夜行』以外では、登場順に『水彩世界』、『謳歌爛漫』、そして『千変万華』があります。 
(*2)詳細はLL-Fansを参照しました。https://ll-fans.jp/data/event/180?concert=262&performance=438
(*3)トワイライトエクスプレスについては、以下を参照。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9
(*4)トレたび『首都圏と北陸エリアを結ぶ歴史ある夜行列車 ありがとう! 寝台特急「北陸」&急行「能登」』、https://www.toretabi.jp/railway_info/entry-8243.html

(*5)1人の蓮ノ空のこと好き好きクラブのメンバー兼鉄道ファンとしては、地元の鉄道会社であるIRいしかわ鉄道さんが、蓮ノ空とのコラボで団体臨時列車『眩耀夜行』を走らせてくれないかなと期待してしまいます。

(了)

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