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『Procol HarumとJack Bruceのソロアルバムとの意外な関係』

『Procol HarumとJack Bruceのソロアルバムとの意外な関係』

-先頃、Procol Harumのリーダー・ヴォーカリストであり、作曲も担当していたGary Brookerが亡くなったそうだ。

-Jack Bruceは2014年11月に鬼籍に入っているが、生前親交があったようで、Procol Harumの元ギタリスト、Robin Trowerと1980年代と2000年代に双頭アルバムを出しているし、またGary BrookerはEric Claptonのツアーに参加したりしている。

-実は、Gary Brookerの訃報に際し、遠い国の音楽シーンのことであるし、生きてたのかも知らなかったが、今も運営されているJack Bruceの公式twitterの記事で、Gary Brookerの記述を見た覚えがあり、JackとProcol Harumの関係性を探るべく、最近動画やアルバムを視聴していたりしていた。

-先頃のGary Brookerの訃報に接し、改めてYoutube Musicで初期のアルバム4枚

『Procol Harum』
『Shine on brightly』
『Salty Dog 』
『Home』(1970)

を聞いてみる。『Home』だけは、Robin Trowerのファズギターが大々的にfeatureされて多少毛色が異なる印象であるが、ファースト・アルバム『Procol Harum』や、ヒットしたシングル『A whiter shades of pale』などにより表現される、クラシックの教養にロックンロールやソウル音楽などの影響を取り込みつつ、バート・バカラックのような奇数の小節数によるABC各パートなど、つまりヘンテコな音楽であり、気軽にポップスと呼ぶには親しみやすさに関しても微妙な音楽である。

-『A Whiter shades of pale』の不可解な歌詞でも知られるが、時代的にpsychedelicですから。『千と千尋の神隠し』の鏡に映る自分、とはドラッグ体験を示唆したものだと、30過ぎに深夜に乗った、新宿行きの元ヒッピーのタクシー運転手の方が配布していた自前のメモ書きのコピーで示唆されていたものである。

-さて、ここでJack Bruceのソロアルバムであるが、Procol Harum的な方向性として、まず1st『Songs for a tailor』より、'Theme of imaginary western'を推しておきたい。

-Cream時代に「Creamに相応しくない」と言われ没になった曲ではあるが、Felix Paparalldyによるアレンジ効果もあり、'A whiter shades'的な、ピアノとオルガンを対比的に配置した名曲に仕上がっている。

-次に、2ndアルバム『Harmony raw』より、Procol Harumとの関連性を示唆する曲として'Folk song'を取り上げる。

-前述アルバムの曲の中では、取り分けナイーブな雰囲気を持つ'Folk song'であるが、Jack Bruce絶頂期のドキュメンタリーである映画『Rope ladder to the moon』では、スコットランドの夕焼けと曇り空の織り成す幻想的な風景をバックに、オルガンのイントロが被さってくるのであって、このシークエンスはProcol Harum的であると、私はまずまず断言してよいと思う。

-やや乱暴な結論かもしれないが、Procol HarumとJack Bruceの関連性について、日本語で指摘した文章を私は知らないので、新しくこの世界に入ってくるリスナーのために、ここに記しておく。


余談:日本で最も有名なProcol Harumのメンバーは、おそらくドラマーのBJウィルソンだろう。

-Led Zeppelin結成に際し、Jimmy Pageが声を掛けたドラマーとして度々話題になるBJウィルソンであるが、その訳はBJウィルソンの名前とエピソードが、音楽雑誌的な文脈としては、つまりカネにあるからで、1970年前後という時代性を考えると、BJウィルソンの去就に関して言えば、「音楽家のための音楽」Procol Harumを選んだ指向性は、通好みを唸らせる選択だったと言えよう。(終わり)

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