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切り立ての爪のあいだから 涼しい風が吹きだす 訪れた人をもてなすように 明日もわたしは ふかぶかとこうべを垂れて 身のうちに巣食う虫をやしなう すでに巣立った虫たちは ひと夏を終えて乾いた なにも預けるものはない 遠まわりをして 近道をみつける子ども 丸めた地図の襞をのばして 海から月が昇る あなたの横顔がわらう