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詩とおもう(スケッチ)

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情景やら心象やらを集めました。
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#エッセイ

穀雨(2022.04.19)

水を含んだ土嚢は重く ひとつ積むごとに のしっ のしっ と音がする 雨あがり 晴れあがった空の下 積みあがった土嚢は みずからの重みで じんわりと 横たわっている 表面がすこし乾いた頃 また雨が降り 土嚢はあらたに水を含む 袋を切り裂いて 黒い土を掻き出し さらしてひろげて 晴れあがった空の下 色とりどりの種を蒔く 灰色に染まった指で わたしは 花を咲かせたい その花で わたしの指を 染めてみたい

『アテネのタイモン』感想にかえて

10/31のマチネを観てきました。世田谷シアタートラムにて。 普通に感想を書こうかと思っていたのですが、どういうわけか詩がひとつ出来たので、そっちにします。たくさんの見巧者が優れた感想を書いていることでしょうし、今の世の中ちょっとググれば大抵のことはわかった気になれるので、詳細はそちらへ譲ります。 痕跡(2019.11.1) あなたが抉った穴は あなたしか埋められないのだから 鳴りやまぬ風の音を 聞き続ける耳を 底知れぬ穴の奥を 見つめ続ける目を 塞ぐこともできないのだ