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磨り硝子の向こう 重ねられた皿 伏せられた湯呑み 淡い輪郭の 誰かの手が触れて 口元に運ばれる 誰か、とわたしは言った 淡い、とわたしは言った 手を翳して眺める風景は 儚く うつくしく その手は動かなかった その口は言わなかった 重ねられた選択の 伏せられた選択の 淡い輪郭の 磨り硝子の向こうで 縁が欠けている 底が割れている 磨り硝子越しに 赤く脈打ち 赤く流れる 石を詰めた雪玉を 磨り硝子に投げつける