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徒然

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観劇の感想、つぶやき、つらつらと思うことなど
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#映画

『リーマン・トリロジー』をみた

天下のナショナルシアターライブ、今までもいくつか観ていて、ほぼハズレがないのだが、今回は格別にイイ!という評判しか聞こえてこなかった本作。気になりつつも諸々忙しくもう無理かなと思っていたのだが、俳優をやっている友人がお勧めしてくれたので、それならばと終映直前に駆け込んだ。結果、行ってほんっっとーに良かったです。ありがとう友よ。 あのリーマンショックのリーマン家の話。わたしは一族の盛衰記みたいなものがそもそも好きで、我が人生における最高傑作の座はガルシア=マルケス『百年の孤独』

『象は静かに座っている』をみた

@川崎市アートセンター。初めて訪れた。立派な建物、小劇場と映像館とがある。寡聞にして知らなかった。 日頃、住んでいる区内からほとんど出ない。それで仕事も生活も娯楽もだいたい間に合ってしまうからなのだが、30分程度でも電車に乗れば、意外と広い世界があるのだった。 今回この作品を観ようと思った最大の理由は、作家の平野啓一郎さんがFacebookで詩人の田原(ティエン・ユアン)さんのコメントを紹介されていたから。「普通の映画との最大の違いは、詩人の想像力、詩人の言葉、詩人の視線、詩

映画『マチネの終わりに』

珍しく試写会に当選。 言わずと知れた平野啓一郎さんによる小説が原作。日頃あまり恋愛ものには手を出さないが、ネットで流れてきた評判と表紙のデザインに惹かれて、実は既に書籍を購入していたのだった。 一読した感想は、まーあハイスペックな男女の恋愛譚、ところどころに昼ドラ的なドキドキ要素や、哲学的詩的な警句も散りばめられて、スーパーで買える高級で美味しいアイスクリームのようね。なんて例によって偉そうに言っているが、「過去は未来によって変えられる」という言葉に「おおお…」と目鱗、マネー

『火口のふたり』を観た

Twitterで感想を見ていると、頻出するセックスシーンについて「エロくなかった」「きれいだった」って、あたかもそれが褒め言葉のように評している人たちに違和感を覚える。何で?セックスはエロくて汚くていいんじゃね?きれいだから、エロくないから、アートだから、高尚だからいいんだ、っていう風潮はエロとエロを見ることへの蔑みと後ろめたさの裏返しじゃないか。エロはエロとしてありのままに、興奮しながら見たって別にいいじゃん。世の中の人間はみんな男女のセックスの結果だ!…って何をむきになっ