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客寄せ踊り~百年顧客2 in LIVE A FOCUS@ひ録:わらの手

客寄せ踊りと言う言葉は、
実はあまり好きではありません。
しかし、適当な言い換え言葉がないので、
客寄せ踊りと言う言葉を使います。

※ 客と言う呼び捨て方が好きになれません。
 お客とかお客様なら我慢できるのですが・・・。
 しかし、お客寄せ踊りやお客様寄せ踊りでは、
 語感的に間が抜ける感じがします。 

待ちの商売である眼鏡屋は、
お客様に来店していただけなければ、
商売になりません。

もっと単刀直入(は痛い!)に言えば、
売上がなければやっていけません。
経営者なら給料が払えません。
従業員なら給料が貰えません。
または、減ってしまいます。

だからこそ、日常業務で無意識にしている事が、
実は有効な客寄せ踊りになる事になるのです。
以下はすべて、実話、経験談です。

文字数2,616文字。挿画4枚。


1. お見送りも客寄せ踊り

お見送り

あなたのしているお見送りは、
何のためにしているのでしょうか?

どのようにしていますか?
カウンターの中で?
カウンターを出て?
インショップなら、フロアの外まで?
路面店ならドアの外まで?

この資料では、お辞儀の角度は取り敢えず取り上げません。

お辞儀の角度

1991年公開の「就職戦線異常なし」と言う映画があります。
監督:金子修介。主演:織田裕二。
試験官? からお辞儀の角度を咎められた主人公の織田裕二が、
こう言い返します。
「だってボク、分度器持ってませんもん」

またしても脱線しました。
閑話休題(それはさておき)。

お見送りは、購入したお客様への感謝の気持ちを伝える。
それだけではありません。
またのご来店をお待ちしております。
その気持ちを伝える。

それだけではありません。

インショップなら、フロアの外まで。
路面店なら、ドアの外まで。
手の空いているスタッフがいれば複数で。

そこまですれば、お客様への感謝の思いが伝わり、
お客様も、またこの店に来よう、買いに来よう。
その気持ちのダメ押しになることでしょう。

でも、外まで出てのお見送りは、
それだけが目的ではありません。

店の前の通行人は、それを見てどう思うでしょうか?
馴染み客なら、この店は相変わらず丁寧な接客をしている。
そう思っていただけるでしょう。
そうでない通行人は、この丁寧な店は何屋さんだろう?
眼鏡屋か・・・。

その通行人の記憶に、どこまで残るかは分かりません。
ただ、眼鏡を作る、作り替える必要が出来た時、
思い出して貰える可能性はあります。

眼鏡屋とは、待ちの商売です。
チラシや広告だけが宣伝材料ではないのです。

お見送りは、お帰りになるお客様へ、感謝と再来店を
アピールするだけでなく、新規客を誘客する手段なのです。

そう考えると、お辞儀の角度も自ずと決まってくると思いませんか。
ドアの外でお辞儀。お客様が視界から消えたら、軽く会釈して店内に戻る。

因みに、ある住宅展示場のモデルハウスから帰る際、
最初の曲がり角まで20メートルほどありました。

曲がる直前、ふと振り返ったら、担当者ふたりがまだ立っていて、
お辞儀をされました。接客業を長くやっていても、その姿には
感銘を受けました。

お見送りも客寄せ踊りなのです。

2. 窓拭きも客寄せ踊り

窓拭き

路面店なら、晴れた日はお店の外から窓拭きをしましょう。
霧吹きとスクイージーと雑巾を用意して。

眼鏡屋に限らず、お客様にとって店内は、
言葉は悪いですがお店の狩場です。

中に入ったら、あの手この手で買わせようとするのではないか?
そういう懸念を抱く方もいます。

でも、お店の外は違います。
自分から近寄って質問しやすいし、
いざとなれば逃げる事も容易です。

会話して気に入って貰えれば、お客様自身の意思で、
ちょっと見せてと店内へ入ってくる事もあります。
第一、眼鏡に興味関心のない方が、眼鏡屋のスタッフに
話しかけると思いますか?

仮に話しかける人がいなくても良いのです。
近隣のお店の方や、通行人から悪く思われる事はありません。

以前いた店の隣は、オーナーさんの店でした。
時間があるので、要するに暇なので、
天井の蛍光灯を拭いていたら、
それを見かけたオーナーの娘さんが
わざわざ店に入ってきて感心したように言いました。
「商売熱心ね」

窓を拭くのも、蛍光灯を拭くのも、商売熱心の証になる。
そう気付かされた事例でした。

窓拭きも客寄せ踊りなのです。

3. フレーム拭きも客寄せ踊り

フレーム拭き

事務仕事がない時は、カウンターを離れ窓際でフレームを拭きましょう。
下を向いて拭く姿勢になりがちですが、時々フレームを上にかざして、
デモレンズの汚れが取れたかなポーズも必要です。

もし、通行人と眼が合ったりしたら、軽く会釈します。
お馴染みさんかどうか、関係なくです。
お店の前を通る人はみなお客様。
それくらいの気持ちが必要です。

これも、実話です。
ある日、ある時、窓際でフレームを拭いていて、
ある通行人の年配女性と眼が合ったので、会釈しました。

そのまま通り過ぎると思ったら、本当にほとんど直角に曲がって
店内に入ってきたのです。
それからは、あれよあれよと言う間に、
フレーム選び、検査、レンズのご案内、精算まで進みました。

最後に、こう言われました。
今日、眼鏡を作るつもりはなかったけれど、
お店の前を通ったら、あなたと眼が合ったので入って来たの。

今日、眼鏡を作るつもりはなかったけれど・・・。
近日中に作る予定だったのでしょう。
眼が合っただけなのに、近日中の予定が今日の注文になった訳です。

こんな事もあるんだ。窓際でフレーム拭きもバカにならないな。
そう言う得がたい経験でした。

何年も経って研修担当になってから、この経験談を
新入社員のフォロー研修でしました。

次のフォロー研修の近況報告で、
ある新人が同じ経験をしたと話してくれました。
ああ、この話は再現性があるのだと意を強くしました。

窓際のフレーム拭きも客寄せ踊りになるのです。

蛇足です。

ある年配の女性客の方は、最初から攻撃的でした。
何でかな? 何か失礼な事を言ったりしたりしたかな?
と思いつつ、何とか受注に漕ぎ着けました。

最後に、その方が言いました。
昨晩、結婚する気配のない息子と大喧嘩になった。

その息子とあなたの顔が似ていたので、
ついついキツい言い方になってしまった。
ゴメンナサイね。

「ああ、そうなんですか◯◯さん。それは、それは・・・」
(勘弁してよ、お客さん!!)

すべて実話です。

良い事例も悪い事例も、自分には何か
呼び込む力があるのでしょうか? (゚´Д`゚)゚。

以上「客寄せ踊り」


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