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地方創生×経済×企業

地方創生って名前は知ってるけど、詳しくは知らない…。
そんな状態の人、結構いるのではないでしょうか?
国の政策で元気がない地方に元気をあげましょう!くらいの認識で、具体的な施策は知らない…。調べてみてもなんか小難しくて抽象的な話ばかりで、超・簡単な概要が欲しいなんて思ったので書いてみました。

じゃあまずは、地方創生とは何ぞや?というところから話していきますね。

キーワードは「人口減少」! これを念頭に置きながら読んでみてくださいね。

#地方創生とは

時は2014年。
安倍政権下において、東京に人口が一極集中しすぎて地方に人がいない!このままでは地方が消滅してしまう!という現状に対して謳われたのが「地方創生」です。
地方創生といっても、これは通称で、「地方活性化」とか「地域創生」とか、呼び名には何パターンかあって、正式名称は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。早速小難しい名前出てきましたが、意味合いとしては「その地方に今までなかった新しいものを作ったり、実施したりすることで、地域の活性化をしよう」ということです。

ちなみにこれを策定したのは「まち・ひと・しごと創生本部」という内閣直属で設置された組織で、2014年の12月2日には「まち・ひと・しごと創生法」という法律までちゃんと施行されてるんです。実は。私は調べるまで知らなかったんですけど、この法律によって「まち・ひと・しごと創生本部」が法定組織になったんですね。
本部長は内閣総理大臣が務め、副本部長は地方創生大臣(通称)が務め、事務は内閣官房が務めることによって成り立っている組織です。


#何故地方創生が必要になったのか

2008年頃から始まった人口減少に伴い、消費・経済力の低下が日本経済への 大きな負担として懸念されたのが始まり。下図の「我が国の人口の推移と長期的な見通し」を見れば分かる通り、現状が続けば2060年には人口が1億人を割ってしまうことが予測されています。

これからの日本経済が萎むから、とにかく「人口増加」をしましょう

というスタンスですね。

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人口減少問題は地域によって状況や原因が異なるのですが、全国的な規模感での人口減少の原因とその対策としては、

【原因】
(大都市における超低出生率・地方における都市への人口流出)+低出生率
【対策】
東京一極集中を是正し、若い世代の結婚・子育て 希望を実現する
地域特性に応じた処方せんが必要。

が挙げられています。

何故ここまで東京一極集中が深刻なのか、それについてはまたの機会に言及できればと思います。

#地方創生の目標

この地方創生の目指すところは「長期ビジョン」と「総合戦略」に分けられており、国と地方でそれぞれの目標を掲げています。


【長期ビジョン】2060年に一億人程度の人口を確保する
【総合戦略】2015〜2019年度(5か年)の政策目標・施策
地方
【長期ビジョン】
①各地方公共団体の人口の動き・将来人口推計の分析
②中長期の将来展望
【総合戦略】
各地方公共団体の2015〜2019年度(5か年)の政策目標・施策

 長期ビジョンは将来こうなりたいなあ、というふんわりしたイメージのほうなので、より具体的な施策が行われているのは総合戦略下と言えるでしょう。

#具体的な施策

さて、前置きが長くなりましたが、「じゃあ地方創生って実際なにやってんのよ?」ということについて書いていきましょう。

企業×自治体

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霧島酒造株式会社:自治体と連携してふるさと納税を利用したPRを実施

皆さんも一度は見たことがある芋焼酎「黒霧島」でお馴染みの霧島酒造株式会社。「地域に根差し、地域とともに発展する」という経営方針で、拠点がある南九州産の原材料を使用して、原材料生産農家さんとも定期的に面会して、栽培状況の報告を受けたり、意見交換・勉強会を実施しています。
生産者との連携を図りながら栽培拡大や品質向上への努力をしています。

更にふるさと納税を利用したPRをも実施しています。
平成25年に宮崎県都城市(日本で肉牛・豚・ブロイラー産出額トップ級)と包括連携協定を締結し、「日本一の肉と焼酎」というタッグのもと、ふるさと納税の謝礼品にしました。平成27年にはふるさと納税寄付金額と全国1位だったとか。

企業×教育

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株式会社小松製作所:積極的な地方採用/こどもの育成の場の創出

建設機械分野で世界においてもシェア率トップ級の「株式会社小松製作所」。
本社は東京にありますが、本社での機能の一部を地方に移すことで、地域の人材創出・地域との交流を増やすことを試みています。

例えば石川県小松市では、社員の人材育成を行うために「コマツウェイ総合研修センタ」という拠点を作りました。それまでは複数の事業所で分散されていたましたが、これによって教育機能が集約し、東京本社から約150人が移転したそうです。
また、コマツ創立90周年記念で、2011年5月13日に地域との交流場として「こまつの社」を設立しました。小学生向けの社会体験の機会創出として、里山での自然観察、理科・ものづくり教室などを実施し、地域の子どもの育成と自然環境の保全に貢献しています。
私も小学生のころに理科の実験や自然観察がたくさんできる機会があれば、喜んでやったと思います。いいなあ。

#地方創生の課題

日本全国規模で動いているこの「地方創生」の成果。
内閣府が出している途中経過レポートの「まち・ひと・しごと創生基本方針2018(案)について」によれば、

・若者の雇用者が地方で18.4万人増加
・女性の若年(25~44歳)の就業率
 69.5%(2013)→74.3%(2017)
・第一子出産前後の継続就業率
 38.0%(2010)→53.1%(2015)
・60時間以上働く雇用者の割合
 8.8%(2013)→7.7%(2016)

といった点が評価されています。
地方で働く若者が増え、女性の社会進出が進み、寿退社が減少し、残業するヒトも減りました!というふうに読み取れる結果になりましたね。
しかしながら、株式会社小松製作所の事例でも挙げたように、単純に東京から地方へ人を動かしているだけのケースもあります。労働時間の不正も考えられるでしょう。
単純にこの数値だけ見て「やったー!」と喜べないのが私の正直な意見です。

しかも私が最も疑問に思っているのは、

あれ、企業や自治体の経済的な動きは分かったけど、肝心な「人口減少の歯止め」の施策はどこにいった…?

という所です。人口が急激に減ってしまうから、少しでも出生率を上げよう、そういう話ではなかったかしら?
とはいえ、子どもを育てるのにはお金がかかるから、まずは経済の動きを活発にさせるために、地方の企業に競争力を持たせようとか、そういうことなのか?と考えることも出来ますが、それにしたって直接的な施策が少ないように思います。
今現在でも妊娠〜出産などに関わる助成金は申請すればもらえたりしますが、結構手続きが煩雑な上に、全体周知がされていないのも問題ですよね。

「人口減少に歯止めをかける」
「それぞれの地方に合った方法で経済を活発にさせる」

これらの目標を掲げて始めた地方創生にしては、今のところ後者にかたよりがちかだな〜〜、というのが現状で、今後は地方創生×経済よりも地方創生×教育に力を入れるべきなのではないでしょうか。

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