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摂食・嚥下チームアシスタントレポートVol.8 「呼吸と嚥下」 〜頭頚部編①〜

はじめに

摂食嚥下チームアシスタントレポートにお越しいただき誠にありがとうございます。全国的に雨が続いてますが、甲子園では高校野球児たちの熱い戦いが繰り広げられていますね。甲子園を通して思うことは、部活で全国を目指すのか、楽しみのために行うのかという目的によって、技術の磨き方が全然違うのだということです。

リハビリ職もどこを目指すか?が大切だと感じています。しかし、患者様をより良くしたいと思う高い目標を持つにしても、一人ではなかな技術を磨いていくことやモチベーションの維持は難しいことはないでしょうか?私たちもアシスタントチームの仲間がいるからこそ成長できるんだと思っています。仲間の存在はとても大きいとしみじみ実感しています。

 嚥下障害の患者様をもっと良くしたいけどどこで学べば良いか悩んでいる方はぜひ私たちと一緒に学びませんか?8月31日から「基礎から臨床で学ぶ呼吸と嚥下コース」が始まりますので、ぜひ下記URLをご確認ください!

前回のアシスタントレポートはこちら⬇

 今回のブログでは「呼吸と嚥下」〜頭頚部〜と題しまして「舌骨下筋群」に注目してお話していきたいと思います。呼吸機能の低下がある患者様は、呼吸補助筋が過度に働くことで、舌骨下筋群のアライメントが崩れ、嚥下にも悪影響を及ぼしている場合があります。肩甲骨の持ち方などは前回のレポートを参考にしてください。

1.舌骨上下筋群の解剖

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 舌骨に繋がる舌骨上下筋群は、舌骨を挟み上方のものを舌骨上筋群(顎二腹筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、茎突舌骨筋)、下方のものを舌骨下筋群(甲状舌骨筋、胸骨舌骨筋、)と言います。

今回はまず下筋群から考えていきます。
下筋群は舌骨と肩甲骨・鎖骨・第一肋骨・胸骨・甲状軟骨の間にあります。

2.舌骨下筋群の評価

頭部と胸郭の位置関係(耳の穴→肩峰→大転子の関係)をみていきます。
★前面は胸骨と舌骨、後面は肩甲骨上角と舌骨との位置関係や張りをみます。

側臥位のポイント
耳の穴を上に向け(側頭骨の方向がわかる)、それに対して胸郭や肩甲骨がどの位置にあるかを評価します。

舌骨下筋群 側臥位評価

頭頸部を中間位にして耳の穴と肩峰を一直線になるように姿勢を整え、筋が捻じれないようにします。

3.肩甲舌骨筋への介入

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肩甲舌骨筋 側臥位

肩甲舌骨筋はその走行から、肩甲骨を内転・下制すると伸張位になります。舌骨を固定して肩甲骨を内転・下制し、張り感を評価します。

☆セラピストの立ち位置

セラピストの立ち位置

患者様と身体が離れていると自分の重心が動かず手先のみの触診となります。ポイントは相手の重心と自分の重心は近づけ、自分の動きに追従させるようにします。

肩甲骨の内転・下制を反復していくことで筋の張りが変化するのかをみていき、動かしているうちに可動性が向上するのであれば、「肩甲舌骨筋の循環不良による問題が考えられる」ということになります。

反復し変化がなければ、胸鎖乳突筋の起始停止を意識して収縮させることで張りは変わるのか?拮抗作用のある後頭下筋群を収縮させることで張りは変わるのか?座位姿勢になればどうなのか?など他の問題点を考えてみます。

4.胸骨舌骨筋への介入

胸骨舌骨筋の解剖

前面の筋なので背臥位でみていきます。
舌骨下筋群に問題がある場合は、舌骨を固定して頸部前面の柔軟性を出していきます。
胸骨舌骨筋(舌骨下筋群)は前胸部の皮膚の状態にも影響を受けやすく、胸鎖乳突筋や斜角筋などの呼吸補助筋の緊張が高い人は鎖骨が浮き上がってしまうので、鎖骨を回旋させることも必要です。

胸骨舌骨筋のストレッチ

舌骨の固定の仕方

頸部は軽度前屈位にします。頸部が伸展しやすい時は、対象者の頭を体で固定しましょう。舌骨の固定の仕方は、舌骨を押してしまうと痛みが出やすいため、舌骨を手指で添わせ、すくいあげるように(ひっかけるように)固定します。その後、起始停止を伸張させます。
前胸部は筋肉だけでなく皮膚による制限が出やすく、皮膚にもアプローチしていきます。特に前胸部の皮膚が硬い人は、常に胸骨舌骨筋の伸張を感じながら皮膚をゆらすように動かして循環改善をします。また皮膚も筋同様に伸張させるだけでなく縮める事も重要です。

まとめ

 今回は、呼吸機能の低下がある患者様の嚥下機能の改善を目的に、臥位での肩甲骨舌骨筋、胸骨舌骨筋の舌骨下筋群の評価・治療についてお伝えしてきました。
 臨床場面では常に仮説〜評価、治療⇄効果判定の繰り返し行う事が重要ですので、必ず嚥下と呼吸機能の評価を行なってから介入しましょう。

おわりに

 これからも解剖学や運動学、実技だけではなく、臨床で必要な思考過程も含めて共有させていただきます。同じ嚥下障害に悩む患者様を担当されているセラピストの皆さんに一人でも多く知っていただき、一緒に嚥下障害を治療していく仲間が増えることを私達摂食嚥下チーム一同願っております。一人でも多くの皆さんに知っていただけるよう、私達の活動を応援していただけると幸いです。今後も摂食・嚥下アシスタントレポートを宜しくお願い致します。

ごあんない

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