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朝でも夜でも、狂ったようにお菓子づくりに励んでいる。もちろんお菓子を作る理由はいくつかある。
1お菓子が好き 2何か作らねばという危機感 
日々なにも予定が無く、そういや曜日感覚もないねえ、というほんわかしたものでは無く、ただ日々だけが経っているという焦り。なんかモヤモヤする。突然スポブラや、ジーパン、パンツが締め付けてくる感じがしてムシャクシャする。

旅に行くと、自分には世界がいくつもあると信じていられる。でも今、自分の家にしか居場所がない。休日でさえも帰ってこれない単身赴任の父、そのため兄との二人暮らしが続いている。朝昼晩、全て二人で作って食べる。これはかなり飽きる。朝起きてから夜寝るまで二つの顔しか見ない日が続く。もっといろんな顔見たいよ、と代わり映えしない兄に言いたいが我慢する。兄も多分私に飽きている。

窓から見える小さな子供を連れているお父さんを見るとほほえましくなる。お父さんがベビーカーを押しているのを見て、今日は水曜日かあ、とやっと確認する。そしてまた昼ごはんがやってきて、生涯こんなにも兄と食事をすることなんてないんじゃないかと淡々と思った。

私は自分の居場所を保つためにお菓子づくりを続けている。ドーナツケーキクッキーといろいろなものに手を出した。お菓子作りはあまり失敗しない。大体粉からできているのだ。しっかりふるって、混ぜれば大抵うまくいく。ある程度の美味しさにまで到達するのは簡単だ。だから気持ちが良い。甘くしたければ砂糖を増やし、焼き具合も見ながら増やしてもいい。その工程に私は没頭できる。そして写真を撮って食べる。私は自分でものを作り、自分で消費している。自分の言動が自分に役立つこの小さな世界でしばらくはがんばりたい。


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