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日記

2024年5月半ば。駅に着くまでにTシャツがダメになるあの季節がやってくる、東京。迎えるのは9回目になる。井の頭線の座席は、前より柔らかく感じられた。

わからないことばかりだ。

スマートフォンのメモに残った言葉。そんなことを思うようになった。頭の中を掻き回すような焦りと共に電車が来る。よくこんなにも沢山のことをわからないまま、生きてこれたと思う。もう恥ずかしくもない。嫌で飛び出したバイト先でまた働かせてもらうくらいに。

「ぼくは耐えがたい人生なんて言ったことないよ。ぼくにとって大事なもの、生きがいにしてるもの、それがない日は一日もなかった。」

4月末に参加した「喪失の点描」。イーユン・リーさんの「理由のない場所」の一節。16歳の息子を自死で失くした作家の母親が、自らの言葉の中の、どこでもない場所で言葉を交わす。「何によって私たちは生きていけるのか」という問答の中で、お母さんの言葉の世界の中で、そう言った。この言葉が頭から離れない。

大切な記憶や場所をたくさん頂いた、求一郎さん

生きがい、大切なもの。自分にとってそれはなんだろうか。いつ考えても、わがままな自分を肯定するための言い訳しか見当たらない。音楽を聴きながら考えると「何かを大切だと思うことは、多くからいくつかのことを選び取り、他の何かと優劣をつけるように感じる。」みたいにえぐみを増してしまい、耳ごと燃やしたくなる。

優劣をつけて、分別して、生きていくのがしんどいですね。競争がしんどい。たまごの値段がまた上がりそうなことがしんどい。戦争なんて最初からずっと終わってないことがしんどい。多分自分が言うのはおかしな話なんですけど、休みながらいろんなことやっていいと思います。生きたいようにいきたらいいと思います。僕もそうします。誰の邪魔もしないようにするので。長い年月を共にする友達との関係も、積み重なるにつれて、重みが増していく。返したい想いが増えていく。いきがいや大切なものは、もう全て持っているんだと思う。たぶん。

写真:ヨシダキヅクさん

さて、ここからどこへ行こうか。ここのところずっとそんな気分だ。どこにいても、どこかに向かおうとしている。最近は本当に、素敵な出会いばかりで、これからが楽しみになる瞬間が沢山ある。未来の話をずっとしていたい。逃げるように生きたっていいし、立ち向かわなくても立ち向かってもいい。ただし!起こる全てのものごとを楽しめばいい。わからないまま、新鮮に感じ続ければいい。生きがいや大切なものが見つからない速さで、生きていけばいい。

2024年5月18日(土)

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