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AIの力を借りて教材研究を効率化②社会科の教科書からクイズを自動生成して調べ学習を導いてみた話。

こんにちは、小学校教師のささです。
今回は、AIを活用した教材研究の実践第2弾をお届けします!
前回のAIを使った授業準備術に引き続き、今回は「社会科の教科書から4択クイズを自動生成」する方法をご紹介します。

きっかけは、子どもたちの"調べ学習"のうまくいかなさ

現在、私は5年生の社会科で自由進路学習を行っています。この学習では、子どもたちに学習問題を設定し、自分のペースで調べ学習を進めてもらっています。最終的には何らかのアウトプットを行うという大まかな枠組みを示しつつ、学び方や使用する教材も子どもたち自身で選べるようにしています。

このような自由度の高い学習スタイルを採用したのですが、ある課題に直面しました。それは、調べ学習そのものが苦手な子どもが多くいるという実態です。「どこから手をつければいいの?」「何を調べればいいの?」といった声が聞こえてきます。

最初は、調べ学習のフレーム(枠組み)を与えることで解決を試みました。しかし、フレームを与えただけでは、特に注意力の低い子どもたちにとっては、依然として調べてまとめるという作業が難しいようでした。

試しに自作した調べが学習のフレーム。(ささ作)
これはこれで悪くないが・・・

そこで思いついたのが、「クイズ形式」での学習サポートです。教科書に載っている内容について、教師がクイズ形式で出題するというアイデアです。教科書に必ず答えが載っているので、学力に関わらず全ての子どもたちが取り組みやすくなるのではないか。苦手な子たちにはいいのかも?そう考えました。

ただ、ここで新たな問題が浮上しました。教材研究に十分な時間をかけられないという現実です。日々の業務に追われる中、クイズを作成する時間を確保するのは容易ではありません。

そんな時、ふと思いついたのが「AIの力を借りる」というアイディアでした。これなら、教科書の内容を瞬時に分析し、クイズを自動生成できるのではないか。そう考え、実践してみることにしたのです。

AIを使ってクイズを自動生成!

教科書の内容をクイズにする。これは良いアイデアだと思ったのですが、準備に時間がかかるのが大きな難点でした。毎日の授業準備や校務分掌、保護者対応など、教師の仕事は多岐にわたります。その中で、質の高いクイズを作成する時間を捻出するのは、正直なところ困難でした。

そこで登場するのが、AI(今回もClaude 3.5)の力です!AIを活用することで、教科書の内容を瞬時に分析し、クイズを自動生成できるのではないかと考えました。


具体的な手順は以下の通りです。

実践の流れ

教科書の見開き2ページの画像を用意します。これはデジタル教科書からスクリーンショットを撮るか、紙の教科書を撮影して画像化します。

用意した画像をAI(今回はClaude 3.5を使用)に読み込ませます。AIに対して「これは小学校5年生の教科書の一部です。この画像から読み取れることを整理してください」というプロンプトを投げます。

AIが画像を分析し、そこに書かれているテキストから必要な情報を整理してくれます。整理された情報をもとに、次のようなプロンプトを投げます。「今整理したことをもとに10問のクイズを作ってください。選択肢は4つ用意してください

すると、AIが自動的に10問の4択クイズを生成してくれます。出力形式については、「スプレッドシート形式で出力してください」と指定すると、後の作業が楽になります。

また、模範解答として正解の選択肢も指定してもらうと良いでしょう。

さらに一連の流れが終わったあと、新しいスクショ画像を読み込ませ「同様に」と雑なプロンプトをお願いしても、次のクイズセットを作ってくれるのです!!なんとスゴイ!!

このようにして生成されたクイズは、スプレッドシートに貼り付けて子どもたちと共有したり、アーティファクトで作られた画面の回答部分をスクリーンショットで撮影して共有したりできます。

私の勤務校ではロイロノートを使用しているので、学習カードの中に「調べ学習クイズ」として、子どもたちに共有しました。

この方法を使えば、教科書の内容を深く理解しているAIの力を借りて、短時間で質の高いクイズを作成することができます。教材研究の時間を大幅に削減しつつ、子どもたちの学習をサポートする新しいツールとして、AIは大きな可能性を秘めていると感じています。

実践してみた結果

AIを使ってクイズを自動生成し、実際に授業で活用してみました。その結果は、予想以上に良好でした。

まず驚いたのは、調べ学習が苦手だった子どもたちの反応です。これまで教科書を開くことさえ億劫だった子どもたちが、クイズに答えようと必死に教科書のページをめくり始めたのです。「答えがどこかにある」という確信が、子どもたちの学習意欲を大きく刺激したようです。

ある子は「先生、この問題の答え、ここに書いてあった!」と嬉しそうに報告してきました。別の子は「この問題難しいけど、絶対に答えあるんだよね?」と粘り強く探し続けていました。教科書を丁寧に読み込む姿勢が、明らかに以前とは違っていたのです。

このクイズ形式の学習を通じて、子どもたちは自然と教科書の使い方を学んでいきました。また、クイズという形式が学習に「ゲーム性」をもたらし、子どもたちの学習意欲が高まったように感じます。

難しい問題に直面した際には、子どもたち同士で相談する姿も見られるようになりました。「この問題、どこに答えがあると思う?」といった会話が教室に溢れ、協働して学ぶ雰囲気が生まれたように感じました。

もちろん、すべての子どもたちがすぐに調べ学習のエキスパートになったわけではありません。しかし、教科書を開いて情報を探すという基本的なスキルと、そのプロセスを楽しむ姿勢が身についたことは大きな前進だと感じています。

この実践を通じて、AIを活用した教材作成が、子どもたちの学習をサポートする強力なツールになり得ることを実感しました。アリですよね。

応用編とコツ

AIを使ったクイズ自動生成の基本的な方法をご紹介しましたが、ここではさらに一歩進んだ応用編とコツをお伝えします。

まず、生成されたクイズの活用方法についてです。私の実践ではロイロノートを使用しましたが、他にも様々な方法があります。

例えば、ロイロノートのクイズモードを活用すれば、子どもたちがタブレット上で直接クイズに取り組むことができます。

また、Kahoot!のようなオンラインクイズプラットフォームと連携させれば、ゲーム感覚でクイズに挑戦できる環境を作ることもできます。これらのツールを使うことで、子どもたちの学習意欲をさらに高められる可能性があります。

次に、AIにプロンプトを出す際のコツです。クイズの質を高めるためには、AIへの指示を丁寧に出すことが重要です。例えば、「この単元で特に押さえてほしいポイントは○○です」といった具体的な指示を入れることで、より的確なクイズを生成することができます。

今回は自然条件と米づくりという視点を与えます

また、「易しい問題から難しい問題まで、難易度に変化をつけてください」といった指示を加えれば、多様な学力の子どもたちに対応したクイズセットを作ることができます。

さらに、単元の目標に関連するプロンプトを入れることをおすすめします。例えば、「この単元では、○○について批判的に考える力を養うことが目標です」といった指示を入れることで、単なる知識の確認だけでなく、思考力を問うようなクイズも生成できるようになります。

「いかす」的な質問も組み合わせたいですよね

AIの特性を理解し、上手く活用することも大切です。AIは膨大な情報を処理できる一方で、教育的な配慮や児童の発達段階への理解には限界があります。そのため、生成されたクイズを必ず教師が確認し、必要に応じて修正や調整を加えることが重要です。


時には、AIが予想外の面白いクイズを生成することもあります。そういった「意外性」も、上手く取り入れることで、子どもたちの興味を引き出すきっかけになるかもしれません。

最後に、この方法は決して教師の役割を代替するものではないということを強調したいと思います。AIは、私たち教師の「道具」の一つに過ぎません。AIを活用しつつ、児童の反応を見て、適切なフィードバックを行い、学習をより深めていくのは、やはり教師の役割です。AIと上手く協働しながら、より効果的な授業づくりを目指していくことが大切だと考えています。

みなさんの実践例も教えてください!

ここまで、私のAIを活用した教材研究の実践例をお伝えしてきました。しかし、これはあくまでも一つの方法に過ぎません。教育の現場は多様で、それぞれの先生方が独自の工夫を重ねていらっしゃると思います。そこで、この記事を読んでくださっているみなさんにお願いがあります。

もし、AIを活用した教材研究や授業づくりの経験がありましたら、ぜひ共有していただけないでしょうか。例えば、以下のようなことを知りたいと思っています

  • AIを使って、どのような教材を作成しましたか?

  • AIの活用で、どのような課題を解決できましたか?

  • AIを使う上で、どのような工夫をしていますか?

  • AIを活用して、予想外の良い結果が得られた経験はありますか?

  • AIを使う際に、どのような点に注意していますか?

また、この記事で紹介した方法を試してみた方がいらっしゃいましたら、その感想や改善点なども教えていただけると嬉しいです。「こうするともっと効果的だった」「ここは工夫が必要だと感じた」といった具体的なフィードバックは、私自身の実践をブラッシュアップする上でも、とても参考になります。

さらに、AIを活用することへの懸念や課題を感じている方のご意見もぜひお聞かせください。新しい技術を教育現場に導入する際には、様々な観点からの慎重な検討が必要です。みなさんの多様な視点は、AIと教育の関係性を考える上で貴重な示唆を与えてくれるはずです。

教育の質を高めていくためには、私たち教育者同士の学び合いが不可欠です。この記事をきっかけに、AIを活用した教育実践について、活発な意見交換ができれば素晴らしいと思います。

コメント欄やSNSなどで、みなさんの経験や意見を共有してください。それぞれの実践や考えを共有することで、私たちはお互いに学び、成長することができます。教育の未来をより良いものにしていくために、みなさんの知恵をお貸しください。

一緒に学び、成長していけることを楽しみにしています!

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