Na_stalgie Cl - ネムレス

この曲に関する裏ネタはめちゃくちゃある。
そもそも勘違いから始まっている。
しかし、その勘違いのお陰で隠されたメッセージがに気付くことができた。
点と点が線で結ばれたのだ。


そもそも歌詞カードに書いてあるこのタイトル
ナスタルジー?ノスタルジーじゃなくて?
となるのである。
つーか、NaとClをわざわざ分離してあるってことはノスタルジーとNa / Clとかけて何かを表現しているのか。この大文字小文字の配列…元素記号だろうか。
えーっと、塩化ナトリウム、つまり食塩とノスタルジーをかけるってことね………なるほど、わからん。
さすがうてなちゃんである。

しかし振付師たるものここでわからんのですけどとご本人に連絡するわけにもいかない。
ヒントを求め、とりあえず音源を聴くことに。

あった。ありました。

僕ら振付師はマスタリング済みの音源ではなく、TD(=トラックダウン。ググってくれ。)のみの音源やら音量等のバランス調整の激ユルな音源をいただくことも多いのだが、この時に仮タイトルで送られてくることが多い。
そしてその仮タイトルはだいたいコンポーザーのテーマやメッセージが込められていたりする場合がある。


なんと仮タイトルが
【 07_toriki 】(一部略してますが)だったのだ。


こんなもん読み間違えるはずもない。トリキ。そう、つまり鳥貴族である。


鳥貴族・塩・ノスタルジー


完全に結びついた。
焼鳥は塩。そしていつも忙しくなかなか料理の来ない客や、忙しさに翻弄される店員のノスタルジー。
情緒不安定になりそうな仕事量。それもこれも人件費を抑えて280円で焼鳥をお客さんに提供するためなのだ。なんたるノスタルジー。(?)
そして待つ側も、注文してからなかなか来ない《無の時間》を何度か経験することになる。鳥貴族へ誘い込まれてしまったがゆえに。あら、こんなところにもノスタルジー。(?)


完璧だ。
綺麗すぎる着地である。
間違いなくそのメッセージを仮タイトルにこめている。

そしていきなりの歌い出し。
衝撃である。
「平行線をを手繰り寄せハート欲しいよ」
ほうら、きました。

忙しい夜のノスタルジック(?)な時間に平行線(焼くとこ)で平行(平行線)に2本ずつ焼かれた焼き鳥を片手に駆け回る店員さん。それを見つめる自分。しかし自分の元になかなか注文した皿は来ない(平行にすれ違う想い)その光景を手招きする思いで見つめながら客はハート串(塩)を待っているのである。
間違いなくトリキ!
鳥貴族以外にありえないシチュエーション。


(後で知る話だが、これはトリキではなくコンポーザーのトウリキさんの名前である。鳥貴族もハートの塩味も貴族焼(ムネ)もトリキ店員も全く関係ないってことを完全に振付できた段階でうてな嬢から聞かされるのである。トウリキさん本当にごめんなさい。)

何はともあれ、こうして僕の鳥貴族振付は生み出されていった。

(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)

■イントロ
ここはまず世界観のまとめ。これから始まる戦争(忙しさ)に兵士達(ホールスタッフ)を送り出す軍司令官(店長≒焼き職人)の虚無を表したかった。
え?そこに振付なんて、いる??

そしてその後のBridge?間奏?
ここにはめちゃくちゃトリキ要素が入っているのだが、お気付きいただけたであろうか?
向かって右(うてなちゃんからしたら左)から串を4本ひっくり返し→2本ずつ皿に盛りつつ→1本食べるのだ。
僕も振付のお仕事させてもらって何曲か作ってきたけど、今まで焼き鳥を焼く振付なんていれたことがない。
正直ドキドキした。コレ本当に通るんかな?と悩み、何度も「僕の自由な解釈でいいんですよね?」的なことをうてなちゃんに確認した。
いいですよ〜って言ったんだもん。じゃあもう鳥貴族でいいよね!←

いままでこんなイメージです〜と伝えつつ作ってきたネムレスの振付。構成イメージを内緒にし続けたのはコレが初めてだった。

まぁ結果的にフリ写しの時にトリキじゃなくトウリキさんって言うのを知り、冷や汗ダラダラでフリ写しをしたパートではある…


■Aメロ
ホラ!こんなところにもトリキ!というか鶏!
最初にファンキーチキン(脚は寄せるだけにしてます)という動きをとりいれてみました。
普段美味しく食べてる焼鳥も、元は生きている鶏なんだなあ。なんというノスタルジー。

とはいえ鳥貴族のただのジェスチャーになってもいけないのでちゃんとした振付もしてます。
ファムファタって のとことか、おしとやかじゃない感じにしたり。


■Bメロ
ここはちょっと高貴なイメージにしたかった。
鳥 "貴族" ですもの🥀
しかし、焼鳥が完全なる【 和 】なのでベルサイユな貴族では表現できない。
そしてAメロにでてきた『ファムファタっていた』という文言。
なのでここはちょっと花魁道中みたいな歩き方をしたりしてみた。うん、高貴ではないね。
でも、僕の位置付け的にうてなちゃんは芸事の世界で、ちょっとみんなの手の届かないところでいて欲しかったので、それはそれで合うかなと思ったのだ。ちがいます取ってつけた言い訳とかじゃないですちがいます。

下賤な焼鳥など食べたことのない人が体験する初の鳥貴族。この世界観をここに入れたかった。


■間奏
ココこそこの振付の真骨頂。
さぁさ、激しくかつ軽やかなSTEPを踏みまくるうてなちゃんをご覧あれ!
鳥貴族の店員が店内を所狭しと駆け回る振付にござい!
ヘイ!ヘイ!ヘイ!と威勢よく焼き上がる焼鳥を次から次へと卓へ運んでゆきます!
できんできんと伺っておりましたが、うてな嬢はコチラ、もう完璧にできるようになっておりますでしょうか??よろしくお願いします。笑


■サビ
様々な想いや串の交差する平行線を飛び越えた(焼き上がった/そして忙しい店内も飛び越えた)焼鳥【ハートの塩】を手繰り寄せる思いで待つ我々。

世界観でいうとここはかんざしを抜いて鶏肉をさしていくのである。
これは一体どういうことか?
客として初の鳥貴族に来ていた花魁はだんだんその世界に魅了され、いつしか焼く側の気持ちとのシンクロが生まれていく。
世界の融合、調和、そして生まれる"貴族焼"なる看板メニュー。

なのでここは焼き手としての振付がメイン。
鶏肉に串を打ち
焼き場にのせ
以前流行した海外の"セクシーに岩塩をふる"男性の動きで塩をふり
うちわであおぎ火力を調整しつつ客や店外へとその甘美な香りを届ける

ほら、もう今日は焼き鳥のクチになってきたでしょう?


■間奏   〜そして串焼き職人へ〜
僕はうてなちゃんの振付では割とよく取り入れているものがある。
それは【 変身 】
1人の女の子が変身をして輝く自分としての武器を持ち戦いのステージに上がっていく
うてなちゃんにそんなところを感じ、よく入れている。(オーダーでいただく時もある)

変身シーンは勿論セーラームーンだったりプリキュアだったり合体ロボだったり色んなバリエーションを用意しているつもりだ。

今回取り入れたのは『聖闘士星矢』名作である。
OP『ペガサス幻想(ファンタジー)』のペガサス流星拳の動きが盛り込まれている。

実際の鳥貴族店員はそんなことはないのだが、一応これは鳥貴族に贈る振付ではないので忖度一切なしに、よくあるイメージで鉢巻と割烹着と…みたいな焼き職人さんに変身することにした。出前一丁のお父さんみたいな。
いわば、焼き鳥屋の大将座の黄金聖衣(ゴールドクロス)である。
おわかりいただけたであろうか?

けれどもそこはやっぱり女の子。
星矢だけでは強すぎる。
プリキュアやおジャ魔女どれみ的な可愛さも融合させたつもりだ。可愛い。





(え、ここまで長ない?読むの疲れてませんか?大丈夫?  書くのは疲れてます)


■2A
普通のうてなゆきから超アイドルうてなゆきに変身したうてなゆき。
ここからは、楽曲の世界観を大切に『ダンスを踊る』ということをやっています。
鳥貴族がどうとかは言わねー
歌詞をひろったり、もう僕の意味わかんない世界線では生きていけないやって人にも見やすい感じにしています。
一曲の中でいろんなうてなちゃんが見れる。
それはもう、とてもバラエティに富んだ最高なLIVEだと思いませんか。ふふっふー

ここはおそらく、待ち続けて外の雨の匂いや気配を楽しみだす境地に至った客の、心情シーンなのである。
揺らいでる89秒。
揺れているのは煙かはたまた自分自身か。
89(はや・く)秒ということか。なるほどである。
まったくうてなちゃんってヤツはなんと天才的に匂わせてくるのか。

なので、ちゃんとそのような振付になっています。


■2B
ここも歌詞にあわせたダンスを。
あのね、、テーマを鳥貴族にしたからって鳥貴族ばっかりしててはだめなのですよ、、
ちゃんとね、うてなゆきちゃんの良さをね、見せてだね…

■Dメロ?
ここのメロ大好き
しかし歌詞にも注目をしたいところです。
何か隠されているような気がしてならない。

「目を閉じればすぐ 落ちてく譜面は」
焼鳥を焼く網?のあの横一列になっている様を表しているのである。なるほどすぎる。。
奥深さ貴族並…!

「煙る灰羽みたい」
たしかに!!!!たしかに焼き鳥焼く時煙すごいですもんね!!!!

「ひどく優しい どうして」
優しいよね、どうしてだろうね

「銀水晶は行ってしまうの いくじないよ」
銀水晶、セーラームーンの涙からもできる聖石なんですよね?(調べた結果)
涙の結晶ともいえる待ちに待ったハートの串は自らの卓をすり抜け別卓へと運ばれていってしまう。ただ、そこで「そのハートこの卓じゃないんですか?」と聞く度胸はないのだ…!

めちゃくちゃかかってるじゃないですか!!!

だけどもここは、そこまでの流れ的にちょっとその辺を隠し、ストレートな歌詞を表す振付に。
全てはその後のサビの為に。

■2サビ
出た!サビ!
ここは「平行線を飛び越えてみたいよ」と歌っているのである。
平行線なこの状況を打破したい気持ち!
そしてさらに、卓から卓へ飛び回ってる店員さんの気持ちも表れている。
なので少しだけ振付を変えてあります。飛び越えています。
1サビを覚えて振りコピが完璧になると思うな、全てちゃんと意味があって変えている。それを極めてこその振りコピです。よろしくお願いします!


■大サビ?
ここは基本的に同じ振付です。
サビは同じにしたいなと思っていたので。
なんですけど、ちょっと組み替えてる部分もあるです。


■アウトロ
ついにこの作品の締めである。
ノスタルジーな雰囲気たっぷりに締めたかった。
アイドルうてなゆきを輝かせつつ、この曲の良さを視覚化しつつ、でもこの僕の世界観も大切にしたい。
まずは軽く手をあげる。そう、やや切なげな表情がいい。
こちらに気づいて欲しい、伝えたいことがある、声をかけたい。そんなうてなゆき。
だけど相手はコチラを見ることもなく去っていってしまう。悲しい。
相手のいるところが常に気になってしまい、目で追ってしまうのだが、それでも相手は気付かない。
声をかけてみようかな…でも、勇気が出ない。うてなゆき嬢はきっと、これ以上傷つくのを無自覚に恐れているのだ。カワイソウ

ベタな恋愛イメージカットかよみたいなこと言ってるが、もうおわかりですね。間違いなくトリキ!
店員を呼びたいのに手をあげても一切店員は無視!次から次へとビールやら焼鳥やらを卓へ運ぶだけの無機質かつ無慈悲な焼鳥運びロボットへと成り下がっている。
「すいません!」の声も店内の喧騒も手伝ってか、店員を振り向かせることはできない。

もう一度声をかけるのも躊躇われる。だって無視されると悲しくなっちゃうんだもん。(でも、私のハートの塩まだですか?)

そして、悲しみに暮れるうてなゆき嬢は、最終手段として、卓上の店員呼び出しボタンにすがるのだ。
店員が本当に来るかはわからないとしても。

〜fin〜

…ノスタルジーでは?

世界観も崩さず、うてなゆき嬢の表情やエモさも表すことができ、着地としてもなかなかに綺麗だ。綺麗な気がする。

ほんのり塩味(涙)のする振付、これにて完成である。


(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)(^q^)


ほんと、勘違いしていた件についてはトウリキさんに大阪から土下座をしたくらいの申し訳なさなんですが、おかげで初の鳥貴族振付が完成いたしました。

もちろん鳥貴族というのを一回頭から抜いていただいて歌詞をしっかり聴いたりしても成立する振付にしてます。
これが僕なりの本気。

うてなちゃん楽曲は歌声の良さも楽しめるし、パフォーマンスも楽しめるし、裏の意味合いがわかると更に楽しめるという、ほんと大満足のボリュームで仕上げてます。
是非ね、僕の記事読んでいただいた上で世界観を拡げて今一度観てみませんか?
新しい感動や発見がきっとあるはず。。。

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