コロナ後の世界…パンデミック収束後に訪れる「新世界秩序」とは

>戦後最悪の事態

 「第二次世界大戦以降、最悪の事態が世界で起こっている」(アントニオ・グテーレス国連事務総長)

【写真】「日本も3週間後、地獄を見る」まるで戦争…欧州に住む日本人の警告

 もう世界中、訳が分からなくなってきた。アジアも、アメリカも、ヨーロッパも、コロナ、コロナ、コロナ……。

 世界の3大経済大国の様はどうだろう。ドナルド・トランプ大統領は「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!」(アメリカを再び偉大な国にする)と叫んで大統領になったが、アメリカがナンバー1になったのは、感染者の数と失業者の数だった。

 また、習近平政権のスローガンは「中国の夢」だが、武漢で起こったのは「中国の悪夢」で、第1四半期のGDPマイナス成長が囁かれている。そして日本でも、安倍晋三首相が誇っていた「アベノミクス」は、いまや「アベノマスク」と化してしまった。

 一つ確かなのは、これから始まる「コロナ後の世界」は、「コロナ前の世界」とは違った「風景」になるだろうということだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)は、世界の経済秩序ばかりか、国際政治のパワーバランスや世界の統治システムまで変えてしまうかもしれない。

 思えば、過去30年の間にも、大きな国際政治の変化が起こっていた。1991年の年末に、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊。20世紀の世界で初めて社会主義を貫いた大国が「失敗」したことで、21世紀の世界は、勝利を収めた資本主義国の天下になると、誰もが思った。実際、アメリカが唯一の超大国として世界に君臨する時代が到来した。

 ところがアメリカは、21世紀に入ったばかりの2001年9月11日、過激派組織アルカイダによる直接攻撃を受けた。いわゆる「9・11事件」だ。

 この事件で、明らかになったことが二つあった。第一に、いくら「一強」だろうが「唯一の超大国」だろうが、それは国家と国家を比較した際の相対的な指標に過ぎないということだ。すなわち、アルカイダのようなテロ組織が敵になった「非対称的戦争」もしくは「非伝統的戦争」は、21世紀になっても終わらないのである。当時のジョージ・W・ブッシュJr.政権は「テロとの戦い」と規定して、同年11月にアフガニスタン戦争を起こした。

 二つ目は、「キリスト教国vs.イスラム教国」という、20世紀末にハーバード大学の国際政治学者サミュエル・ハンチントン・ハーバード教授が予言した「文明の衝突」の時代が始まったということだ。ブッシュJr.政権もそのことを意識し、「中東に民主化を根づかせる」として、2003年3月にイラク戦争を起こした。

 アメリカの次なる挫折は、2008年9月に始まった金融危機、いわゆるリーマン・ショックである。158年も続いた証券大手のリーマン・ブラザーズが倒産しただけでなく、20世紀のアメリカの工業社会を支えたGMが破綻するなど、多くの有力企業の経営が傾いた。

 同時に、「唯一の超大国」として「ドルの支配」を世界に敷衍させていたアメリカの金融システムが、綻びを見せた。それは21世紀の世界は、必ずしも「ドルの支配」が絶対ではないのではという疑念を世界の人に抱かせた。

 こうした冷戦終結後のアメリカの混乱を象徴するかのように、2016年の大統領選挙では、民主、人権、同盟といった「アメリカの理念」を歯牙にもかけないトランプという「怪物」が勝利した。トランプ大統領の誕生で、「3つの分断」――アメリカ国内の分断、アメリカと同盟国の分断、アメリカと国連の分断(パリ協定離脱など)が加速していった。

リーマン・ショックの10倍!?

 今年のアメリカ政治の最大の関心事は、言うまでもなく11月3日の大統領選挙だ。

 大統領選挙こそは、新大陸アメリカの民主主義の根幹である。150以上の国や地域から集まって来た移民たちが、それぞれ一人1票を持ち、民主的に大統領を決める。そして選ばれた大統領が、行政府の幹部たちを指名し、国を動かしていく。これがアメリカという国の形だ。

 だが2020年、そんな大統領選挙をも揺るがせる、コロナウイルスという一大事が発生した。アメリカは早くも1月31日に事実上、中国からの入国禁令を出し、トランプ大統領も「チャイナ・ウイルス」と言って高をくくっていた。ところが対岸の火事でいられたのは2月までで、3月に入ると「アメリカ・ウイルス」に変わっていった。

 大統領選は、2月まではトランプ大統領の再選が確実視されていた。それは、破天荒な政治運営や発言にもかかわらず、アメリカ経済が絶好調だったからだ。特に株価の上昇と、失業者の減少が追い風になった。

 トランプ大統領が就任した2017年1月20日のニューヨーク証券取引所のダウ平均株価の終値は、1万9827ドルだった。そこから上昇を続け、今年2月12日には、2万9551ドルまでハネ上がった。もはや3万ドル突破は確実と見られていた。

 ところがその後、株価は断崖を転がり落ちるように急落していき、3月19日に、トランプ大統領の就任前の終値を割り込んだ。これによって、トランプ大統領の口癖だった「株価がすべてを証明している」という決め台詞は、もはや口にできなくなった。その前日には、「全米50州すべてで新型コロナウイルスの感染者確認」というニュースが流れた。

 また、つい1ヵ月前まで、トランプ大統領は「2月の失業率は3.5%と、過去半世紀で最低レベルだ」と誇っていた。だが、3月23日~28日の失業保険新規申請件数は、664万8000件に上った。これまでで最大は、1982年10月の69万件で、リーマン・ショック後の2009年3月も66万件だった。失業という側面だけで見ると、今回のコロナの威力は、リーマン・ショックの10倍ということになる。

 それは、中小零細企業ばかりか、大企業にも倒産の危機が忍び寄っていることを意味する。2008年の金融危機で破綻したのはGMだったが、現在アメリカで破綻が囁かれているのが、ボーイング社である。ボーイング社は600億ドル(約6.6兆円)の緊急支援を要請しており、トランプ大統領は3月17日、「ボーイングを助ける」と明言した。

 ボーイング社は世界的な航空機メーカーであると同時に、アメリカの重要な軍需産業の一角である。もしも破綻すれば、世界最強を誇るアメリカ軍にも多大な影響を及ぼすことになる。

 こうした中、もはやアメリカでは「次の大統領が誰か」など、話題にもならなくなってきた。トランプ大統領の故郷でもあるニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は連日、「人工呼吸器が足りない!  医者が足りない!」と訴えている。

 トランプ大統領も3月31日、悲痛な表情で会見を開き、「われわれは非常に厳しい2週間を経験することになるだろう」と述べた。「唯一の超大国」と言われたアメリカの関心事は、いまや自由や民主よりも、生存なのである。

存在意義を失ったEU

 一方、アメリカとNATO(北大西洋条約機構)の軍事同盟で結ばれた、もう一つの自由と民主の雄、ヨーロッパはどうか。

 西ヨーロッパは、1991年のソ連の崩壊を受けて、急速に結束していった。1993年にマーストリヒト条約を発効させ、EU(ヨーロッパ連合)を設立した。

 以後、かつてソ連の衛星国だった東欧諸国をも取り込み、最大で28ヵ国まで拡大させた。自由と民主、人権を掲げるヨーロッパのキリスト教国の合体は、「ローマ帝国以来の結合」と言われ、アメリカに匹敵するパワーとなった。

 だがEUもまた、21世紀に入って4つの試練に見舞われた。第一に、2009年に発覚したギリシャ債務危機である。

 ギリシャが財政赤字を粉飾していたことが発覚し、翌2010年、緊縮財政を敷くことを条件に、EUが金融支援を実施した。だが2015年に、アレクシス・チプラス政権が発足すると、反緊縮を掲げて開き直り、結局、EUは3年間で860億ユーロ(約10.2兆円)もの金融支援を約束させられた。ギリシャは「ゴネ得」したのである。EUは「全会一致の民主」を標榜しており、民主制度の欠陥を突かれた格好だった。

 第二の試練は、2011年から始まり、いまも泥沼化しているシリアの内戦が引き金となって、中東からの難民がヨーロッパに殺到したことだ。こちらも「EUの盟主」ドイツのアンゲラ・メルケル首相が、2015年にEUの理念の一つである「人権の保護」を掲げて、100万人を超える難民を受け入れた。当時は「さすがは人権を重んじる先進国」と評価する声も少なくなかった。

 だが皮肉にも、このことが引き金となって、「AfD」(ドイツのための選択肢)というネオナチのような極右政党がドイツで台頭し、メルケル首相の政治生命に黄信号が灯った。「盟主」ドイツの混乱は、EU全体の混乱に直結し、ヨーロッパ各国で極右政党が伸長していった。

 昨年5月に行われたEU議会選挙では、「EU解体」を叫ぶメンバーが全議席の約3分の1を占めるというジョークのような結果をもたらした。「民主的な選挙」によって、EU議会は、内部に巨大な爆弾を抱え込んでしまったのである。ちなみに1930年代初頭には、アドルフ・ヒトラー党首率いるナチ党も、当時ヨーロッパで最も民主的と言われたワイマール憲法下のドイツで、合法的に台頭していった。

 EUの第三の試練は、2016年6月、イギリスがEUからの離脱を決めた住民投票、いわゆるBrexitである。28ヵ国まで膨らんだEUは、結成以来初めて、メンバー国を減らす羽目になった。

 しかも離脱を決めたのは、加盟28ヵ国中、ドイツに次ぐ経済規模を誇り、フランスと共に核兵器を保有するイギリスである。「イギリスのトランプ」の異名を取るボリス・ジョンソン首相は、今年1月31日、公約通りEUからの離脱を実現させた。

 そして第四の試練が、今回の新型コロナウイルスである。「国境の壁を取り払って、ヒト・モノ・カネ・情報の流れを自由にする」というのがEUの理念であったはずなのに、イタリア、スペイン、フランス……と、次々に「国境」を封鎖していった。麗しいEU憲章の精神など、ウイルスの前に雲散霧消してしまったのである。

 さらに、EUの命令によって医療予算を大幅カットされたイタリアが、真っ先に医療崩壊に陥った。そしてイタリアで感染爆発したコロナウイルスが、EU全体に広がっていった。そこの部分だけを見れば、一体EUは何のために存在しているのかということになる。

 以上、欧米社会について簡単に見てきたが、欧米の多くの国の政治リーダーたちが指摘しているように、「第2次世界大戦以降、最大の危機を迎えている」。かつてウインストン・チャーチル英首相は、こう述べた。

 「民主主義は最悪の政治形態である。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすれば」

社会主義が示した「強靭性」

 では、チャーチル首相が見届けることのなかった21世紀の中国はどうだろうか? 
 いまの中国は、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」というシステムで動いている。これは簡単に言うと、14億中国人が、習近平総書記の指示や重要講話などに基づいて行動する社会ということだ。

 「要は習近平の独裁だろう」と思われるかもしれないが、少し違う。なぜなら、「民主集中制」と言って、習近平総書記は常に、「政治的権利を党中央(習総書記)に付託した広範な中国人民の最大利益」のために行動しないといけないからだ。何でも好き勝手にできるわけではないのだ。

 それでも、日本や欧米の統治システムとかなり異なっていることは間違いない。コロナウイルスとの戦いで、中国式の社会主義は、どう行動したのか。

 初期の頃に露呈したのは、「隠蔽体質」という社会主義の欠点だった。そのことで発生源の武漢で初期対応が遅れ、ウイルスが拡散。冒頭述べたように、「中国の夢」は「中国の悪夢」に変わった。

 だが、その後は「強権」と「スピード」という社会主義のメリットが発揮された。習近平総書記が「やれ!」と命じれば、野党もマスコミも世論も気にせず、その瞬間から全国的に緊急シフトが敷けるのが、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」の特長である。

 具体的に何をしたかと言えば、1月23日にいきなり、感染源となった湖北省の省都・武漢を「封鎖」し、900万武漢市民を閉じ込めてしまった。そしてわずか10日間のうちに、武漢市郊外に二つの野戦病院(1000床の火神山病院と1300床の雷神山病院)を作り上げた。こうしたことは極論すれば、「900万武漢市民を見殺しにして14億中国人が生き延びる」という非情な措置だった。

 その結果、武漢市では3月末までに2548人もの死者を出したが(実際の死者数はその10倍だというアメリカメディアの報道もある)、ともあれ4月8日の封鎖解除にこぎつけた。

 続いて中国が強権を発動したのは、全国の各都市、各地域での外出禁止である。これに、個人のプライバシーをほとんど無視したビッグデータによるウイルスの封じ込めも併用した。全市民をまるで信号機のように「緑色」「黄色」「赤色」に分けて、スマホに示す。個人の行動経緯も購買動向もすべて当局が把握し、管理する。こうした強権措置によって、国内の流行爆発を防いだ。

 さらに、2月20日と3月15日頃に2回、新型コロナウイルスの感染者の条件を厳格にして、「人為的に」感染者数を減らしてしまった。代わって、「復工復産」(工業と産業の復興)を唱え、これまた極論すれば、軽症者や無症状感染者は職場復帰せよと「見切り発車」した。

 2020年のGDPを2010年比で2倍にするという目標を掲げた習近平政権としては、これ以上の経済損失は看過できないというわけだ。それでサービス業に先んじて、製造業を強引に復活させた。

 こうして中国は、世界で一番先に危機に陥ったものの、とにもかくにも一番先に立ち直った。本当は経済的には、満身創痍の状態だが、それでも「戦勝国」として、他国を救援したり援助したりする日々である。

 つまり、2020年4月上旬現在で見る限り、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」は、コロナウイルスの大災厄によって崩壊はしていない。それどころか、アメリカ、EUと比較した場合、相対的に「危機における強靭性」を示しているのだ。

この記事書いた奴バカですね。人間バカだからかわらんよ。

何億人死んだところでゴミみたいな人間が神罰で死んだけだから。

世界はたいしてかわりません。

せいぜいテレワークが増えるぐらい。

世の中そんなものです。大言壮語するやつバカです。

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