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リクルート(Quipper)を退職しました

昨月、2022年2月28日を持って、6年11ヶ月勤めたリクルート(今は統合されて会社はなくなったQuipper JP)を退職しました。

送別会もコロナでなくなり、最後の週には保育園が閉鎖しドタバタな中でちゃんと挨拶しきれた感覚がなく、僕のことを知ってくれている方へ改めてご報告したく書きます。
尚このnoteは、@kyosu_keさんの退職エントリの構成を模倣させていただいております。

何故、リクルート/Quipperに入ったか

リクルート(正確には分社化時代のリクルートマーケティングパートナーズ)に入る前、僕は学生でカンボジアの小学校建築に打ち込んでいました。色んな方の支援がありながら2校の学校建築に携わった。

きっかけは、2校目の学校建築が終わり開校式を開いた際に、村の大人が殆ど誰もきてくれなかったことだった。その時に初めて、「この村の大人にとって、学校への関心は決して強くないのだ」と気がつき、自分のやってきたことが花火の様に思えてしょんぼりした。

僕が就活生であった2015年はITベンチャーインターンブームの最中で、ベンチャーのインターンに行くだけで生活費が稼げる様な環境であった。その中で、漠然と「インターネットの力でなんとかこのリベンジができないか」と考え始める様になった。その時に、スタディサプリ(当時はまだ『受験サプリ』という名前であった)を開発しているリクルートマーケティングパートナーズという会社に出会い、すぐにインターンへ応募した。すると、インターンでであった仲間が素直で賢くていいやつが多く、「こんな仲間と働ける環境は他にはない!」と直感を感じ、そのままリクルートマーケティングパートナーズへ入社した。

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今はなき『受験サプリ犬』 ワンではなくジュケンと吠える。


リクルート/Quipperでなにをしたか

入社した2015年4月、会社のキックオフでDeNA Founderの渡辺さんがUKで創業した「Quipper」をリクルートマーケティングパートナーズが買収したという知らせがなされた。教育業界に関心があり、それなりに英語もできる(と勘違いしていた)自分は『Quipperに配属されるに間違いない』と確信した。

しかし、実際の配属は『新卒採用部』であった。そして、ここで4年を過ごすことになった。同期が事業開発/営業をやる中で、売上を直接作らない部署での感覚/空気を当たり前だと思う不安を感じていた。が、今思えば幸いなことにリクルートの中でも「リクルートマーケティングパートナーズ」は知名度は圧倒的に低く、かつ採用の体制も非常にコンパクトであったので普通にやれば苦戦をする環境であった。ここでの新卒採用を通して「見立てる」「仕立てる」「動かす」の基礎筋肉を鍛えることができたこと、何より「自分ができること/できないことをオープンにする」素直さをビジネスの場で開示できる様になったのは間違いなく、この時期に携わってくれた方々のお陰でした。(余談だが、1年目の上司が『必要以上に経費でタクシーを使う人は好きではない』と呟いた一言を今でも覚えているし、その感覚は大事にしたいと思っている。)

新卒採用部で得た一定の信頼と先輩の取り計らいのお陰で、中途社員しかほぼ受け付けていなかったQuipperに5年目でようやく人事として配属されることになった。Quipperは当時London / Japan / Indonessia / Phillipines / Mexicoにオフィスを構えていた。Global Companyの割には人事の体制は比較的コンパクトであり、お陰でQuipper Japanの労務/組織設計/人事企画/採用/内部統制など幅広く担当をすることができた。人事(当時は、People & Cultureであった。好きな名称)のミッションである"Return on People"を最大限化する為に、柔軟に課題と打ち手を考えることができる様になり、この辺りから自分は人事という仕事が案外得意なのかもしれないと考え始める様になった。

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Quipper Joinして間もない時期のオフィス飲み。転職先のエンペイCTOの田野さんとの唯一のQuipper時代の写真。

コロナが来た、会社再編が来た

爆速でオンライン教育事業が伸びた。オンラインで学ぶ事への抵抗が一層なくなり、シェアも利用人数も大きく伸びた。この頃から、自分の中で世の中はもはや「インターネットの力のお陰で意思さえあれば誰でもどこでも最高の教育を受けることができる」と感じるようになってきた。同時に、就活生の時に自分を突き動かしていた教育への世の中への不満も、徐々に溶けていくことを感じていた。

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@hirokawa_styleの画像引用『スタディサプリの利用者人数(単位:万人)』

またタイミング同じくして、リクルート全体で会社再編の一貫で、Quipperの会社再編を行うことになり、Quipper JP支店はリクルートへ事業譲渡を行うことになった。そしてのその日本支店の担当を僕に任せてもらえることになった。業務性質上、詳細は開示できないが、この時にManagerと二人三脚で「起案書の一字一句に魂を込めた経験」から学んだものが非常に多かった。『起案書なんて概念、行動でしか価値はない』と当時は斜に構えていたが、大きなモノゴトをなそうとする際に一人で出来ることに限りはあり、強くて忙しい仲間の手を借りなくてはならない。起案書はそんな仲間に対する誠実な向き合い方であり、自分の意思と思考を絞り出し表現する場、と考える様になった。

昔ほどの教育格差が減りつつある中で自分の「世の中への不満」からくるエネルギーも減りつつあると感じつつあったが、それが原因となって事業譲渡のクオリティの低下や事業への影響が出ることは、自分では許せなかった。気が付けば、教育業界への不満よりかは、自分の仕事への矜持の方がこの頃は自分を動かしてくれた。結果、2021年9月末を持って譲渡は完了した。できたこと/できなかったことがそれぞれあり、これは旧Quipper社員向けにだけに公開をした。叱咤の声もあれば、称賛の声もあった。


得ることができたもの

振り返ると、「自分が尊敬していた人から信頼をしてもらえる様になった」というのが人事の専門性やビジネスのスキル以上に一番大きなギフトであったと思う。次にJoinをする会社のCEOの森脇さん、CTOの田野さんはリクルート/Quipper時代に業務で関わった方々で、信頼を重ねたお陰でお声がけをもらうことができた。(COOの中村さんも知り合いであったが、業務で会話したことはなかった)

また営業や商品開発同様に、人事も1次情報/事実を徹底的に大事にすることを学んだ。斜に構えて自分の頭で考えがちだったが、認知の外の世界の存在を前提とし1次情報/事実をリスペクトする。その一次情報は、従業員だけでなく、プロダクト・カスタマー・経営・競合にもそれぞれの1次情報がありこれに真摯に向き合う。仮説と軽快さを持ちながらも、最終判断を安易にしない相反する姿勢を自分の中で蓄えることができる様になったと思う。リクルートは顧客接点が強いというが、この1次情報への拘りはとても良いカルチャーだ思う。(これも1年目の上司に、新卒採用戦略を考えていたところ「とりあえず学生100人に会ってくるまで企画考えるのやめろ」と言われたことを思い出した。自分が理解できない事に対して、頭押さえつけて理解できるまで背中蹴ってくれる師のような存在は本当にありがたい。この時、学生と面談をしていなかったら、今でもデスクで一人企画を考えていたかもしれない)

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学生と話をしまくって企画したインターン。「新規事業創造」の様な特殊な業務ではなく、日々の業務の醍醐味を1週間で感じれることに価値をおいた。


何故、リクルート/Quipperをやめるのか

事業/組織が成熟するにつれて、過去の自分が感じていた教育業界への不満が解消されつつある、というのが何よりも大きかった。学生時代、生涯を捧げても構わないと思っていた課題がインターネット/株式会社の力を借りることで、たった数年でここまで来れるとは思っていなかった。(余談ですが、スタディサプリはまだまだ残マーケットがありモチベーション格差などの課題もまだあります。当時の学生の岩﨑が関心があった課題は解決されていますが、ALL OKという状況ではないです)贅沢な状況ではあるものの、世の中への不満を起点にキャリアを考えていた自分が路頭に迷っていたタイミングで、Quipper時代の同僚(?)であり転職先のエンペイ CTOの田野さんから「うちで働かない?」とメッセージをもらったのがきっかけであった。

転職先のエンペイは「やさしいFintech」をミッションに掲げ、現在は幼保業界での管理会計のDX/Fintech事業を行っています。スタッフは『業務的な忙しさや、催促をする心の負担』から解放され、親御さんは『現金集金や指定された支払い方法しか対応できない』ペインから解放されるというプロダクトです。所謂、Vertical SaaSかつFintechのHotな領域であり、且つ有料でリリースして1年立つが解約率が1%を切っており、話を聞く中で『プロダクトの価値を信じつつ、まだまだ知名度が少ない/何者でもない組織がもったいない』と感じる様になってきた。

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米VC Andreessen Horowitz『Vertical SaaS×Fintechがsoftware市場を大きく拡大し、新たな潮流となっている』

今までは教育業界への不満をキャリアの中心に据えていたが、この不満を想定よりも早く解決してくれたSaaS/株式会社という存在そのものをより自分で知りたい、自分でつくってみたい、という好奇心が芽生えてきた。もっとシンプルにいうと、「一人目人事として、このシリーズAの会社を勝たせたい」という意欲が湧いてきた。一時期、自分の中での不満をひねり出そうと『都内で子育てをする核家族の負担が高すぎることを課題に、負担を分散する家族向けのソーシャルアパートメント』事業を自身で創業しようとも考えたが、採算が合わなかったことに加えて、この好奇心の方が勝っている自分に気がついた。この時、応援したり協力してくれた方が多くいた。自分から声をかけて、自分から断る形となってしまい申し訳ないです。ですが、誰一人嫌な顔をせず背中を押してくれてみなさん優しかった。

最後に

例に漏れずエンペイでは絶賛採用をしております!既存のプロダクトはPMFしつつありますが、シェアはまだまだ低くグロースの余地は大いにあり、同時に新規の領域/事業のネタを仕込んでいるタイミングでもあります。まだ何者でもない我々ですが、リクルートやSmartHRさんのようにミッション実現のために再現性を持って、新しい価値を作り続けることができるgreat companyにしていくことに手を貸してください。全方位採用をしているかつ、組織が流動的なタイミングですので特定の職種に限定せず興味関心を持ってくれた方、お気軽にご連絡ください!

連絡先:Twitter DM

まずは面談したい方:Spir

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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