刑事被告人のすゝめ#004
こんにちは。HIROKIです✨
前回記事の予告では取り調べの様子や対応について書こうかと考えていましたが、その前段階として逮捕後、捜査機関から勾留請求された時の対応について書いていきます。まず、逮捕時に行われる弁解録取手続(いわゆる弁録)の際や送検された際の検察官に対する認否により、捜査機関からの意見書をつけて捜査機関は勾留請求をします。その際に改めて認否、住居、職業等の公判でいう人定質問のようなことが行われます。ここで、被疑事実の重大性にもよりますが否認すればほぼ間違いなく【1、逃亡のおそれ 2、罪証隠滅のおそれ】という刑事訴訟法上の勾留理由に当てはまり、否認ないしは黙秘を貫けば逮捕の日から数えて23日間勾留されることになります。
ちなみに、よく「勾留」と「拘留」を混同している人がいますが勾留は未決勾留のことで、拘留は刑罰の一種です(余談)。話が脱線しましたが、この【否認を続ければしばらく帰れない、あるいは刑が重くなる。認めれば早期の釈放、実刑だとしても刑は軽くなる】という事実が、閉鎖された空間における視野狭窄状態の被疑者にとっては冷静さを失わせる十分すぎる材料です。特に、痴漢や盗撮などの軽微な事件では認めれば即日釈放され、略式命令が出て、なおかつ被害者に示談金や慰謝料を払ってもせいぜい50万ぐらいです。本当にやったのならそれは
本人の自業自得ですが、痴漢なんかは本当にやっていない人も大勢います。とある弁護士なんかは
「痴漢に間違われたらとにかくその場から逃げろ」
と本気でアドバイスするぐらいですから、身体拘束による影響がどれだけ大きいかが分かりますね。
だからこそ、強盗や殺人などの重罪よりもいわゆる微罪の方が表に出ないだけで圧倒的に冤罪は多いです。なぜなら、否認して23日間も勾留されれば会社もクビになるし、奥様やお子さんがいれば離婚することにもなりかねません。対して、認めれば早ければ即日釈放されるので会社をクビになったりすることもなく(会社にもよります。)何事もなかったかのように社会復帰が出来ます。一言で言えば、捜査機関としては検挙率も上がるし罰金で稼げる、被疑者は早期に社会復帰出来る、この両者の利益が一致したときに自白は生まれます。
ともかく、勾留決定されるとまずは10日間を期限として勾留され、取り調べが続きます。そして、さらに必要と認めるときは10日間の延長、つまり23日間の勾留(被疑者段階では)となります。さらにさらに、法律上は【やむを得ない事由】がある場合には
さらに勾留を延長することもできますが被疑者段階で捜査機関はそんなに無茶はしません。なので釈放される(不起訴など)か起訴されるかは23日以内に決定することがほとんどです。ちなみに、被疑者段階と被告人段階(起訴されたあと)では勾留の期限が違っていて、被告人になると原則として勾留は2ヶ月と規定されていますが、これまた【原則】というのは非常に恣意的というかいい加減な表現で、条文上では【特に継続の必要がある場合において】一ヶ月ごとの勾留更新が認められている、ということになっていますが実際に否認したまま起訴されると裁判が終わるまで無限に勾留は更新されます。そして否認していると基本的に保釈も通りません。保釈には二種類あって、【必要的保釈】と【裁量保釈】の二種類となります。気になる人はググって頂くとして、否認したら保釈は許さないよ、ということがち
ゃんと書いてあります。しかし、社会的地位があったり、保釈金を積めば上級国民は否認していても保釈が許されます。実際に、150万円の保釈保証金を支払うか、1000万の保釈保証金を積むかでは結論がほぼ100%変わります。逆説的に言えば【自由を金で買える】人も一定数いるということです。でもだいたいの人はそういう訳ではないので、勾留されたらまず弁護人に、【勾留決定に対しての準抗告】を行っ
もらって下さい。そこでできる限り具体的に被疑者が刑事訴訟法が規定する勾留要件を満たしていたとしても勾留することにより社会的な不利益や身体的な不利益(病気など)が大きく、未決拘禁の目的を超えた不当な(または行き過ぎた)勾留であること、被疑者の親族等が徹底的に監督し、罪証隠滅はもちろんさせないし、公判にも必ず出席させることなどを理由として準抗告をしてみましょう。上手くいけばこれで保釈金を積む前に身体拘束から開放されることもあります。特に近年被疑者段階での身体拘束からの開放が冤罪(あるいは事実の歪曲)を減少させるという考えが弁護士のなかで広まっているので、刑事弁護に多少明るい人であればやってくれるはずです。逆に「そんなことやっても意味ないよ」、とか言う弁護士は今すぐ解任した方が良いです。とにかく一ミリでも可能性があることはとことんやること。これが刑事弁護の基本です。ちなみに準抗告を申し立ててダメだった次の手としては【勾留取消請求】という手段もあります。詳しいことが知りたい方は私にコメントを頂くか担当弁護士さんに聞いてみて下さいm(_ _)m
もう一つ、ちょっとした知恵袋的なことを。事件が組織的な犯行だったりする場合に否認すると高確率で【接見禁止処分】が下ります。これは弁護人以外の誰とも連絡すら取れないようにして徹底的に犯人の口を割らせるのが目的、というのが実情です。母親や妻などに限定して【一部解除申請】もできますがこれも事案によっては全く通らないこともあります。ある日大切な人が突然逮捕されて面会に行くことも手紙を届けることもできない、相手の状況も全くわからない、とにかく一目だけでも会いたい。と身内の方ならば思うのは当然のこと。そんな時に頭の良い弁護士が使う手段が【勾留理由開示請求】です。これは、書面で通知された勾留決定の内容を公判廷で明らかにせよ、という法律のことです。これは【公開の法廷】で行わなければいけないので、一般の人も傍聴に行くことができます。なので、被告人に就いている弁護人に開示請求を申し立ててもらって、日程を教えてもらって傍聴に行けば、直接会話することこそ叶いませんが一目見ることは出来ます。手続きはものの数分で終わってしまうけど、その数分だけで被告人としては頑張る気力が湧いてくるものです。それは支援している方も同じかもしれませんね。もし身内の方が憂き目に遭ってしまったらこれらを参考にしてみて下さいm(_ _)m
より詳しいことを知りたいという奇特な方が
いらしたらコメントなり何なりと頂ければお返事させて頂きます。
⭐次回は取り調べの実情と対策について。
という内容でお送りします。
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