中学時代の俺とBUCK-TICK

中学生の頃、X(現:X JAPAN)の影響でメタル好きだった自分に、幼馴染がBUCK-TICKの当時最新アルバムであった『殺シノ調べ』を貸してくれた。

過去のものからセレクトした曲をリアレンジしたベストアルバムで、アルバムは一曲目冒頭から電子音で始まり、(それしか知らないから)メタルこそロックの典型と思っていた子供にはたいへん刺激的なものであった。
すぐに自分でもCDを買った。

いま思えば、XにもHIDE(BUCK-TICKでなくXのほう)が打ち込みや多重録音で作ったインスト曲や、そのHIDEによるライブでのインダストリアルだったりサイケデリックなソロコーナー「HIDEの部屋」など、ルーツはBUCK-TICKとも近いんであろう要素はあって大好きだったけど、無知な自分にとってはロックならざるものに聴こえていたBUCK-TICKは(ストレートなロックナンバーもあるけれども)自分の知らないもので満ちており、すっかりはまってしまったのだった。

そのあとすぐ高校へ上がる頃に、BUCK-TICKをきっかけにしてソフトバレエにはまり、聞いた事ある名前だからとYMOに手を伸ばし、そこからすっかりテクノやエレクトロニックなダンスミュージック(略すとEDMだが、現在ジャンル名として呼ばれるEDMという言葉はなかった。現在のEDMという呼称がこれらと同じものを指す言葉なのかはわからん)に傾倒し、ドラムやギターをほったらかしてシーケンサーやシンセに向き合う半生を送ることになる。

だいたいテクノやエレクトロニックなダンスミュージックにはまると、流れでアブストラクトなヒップホップやレゲエ・スカ・ダブや伝統的インド音楽などにも手を出すものだ。

そしてビートルズに行きついて、一巡してロックとかメタルもやっぱ好きだなとなって現在に至るのだが、少し前に『殺シノ調べ』のリマスター版が2002年に出ていたことを知って(オリジナル版もすぐ出せるところにあるのだが)即購入し久しぶりに聴いたところ、現在の自分がこのアルバムから多大な影響を受けていることに改めて気づいたのであった。

このように自分の音楽遍歴に大きな影響を与えてくれたBUCK-TICKだが、実際のところ『殺シノ調べ』前後の十枚弱ほどしか自分は知らなくて、最近も精力的に活動しているのを遠目に見て勝手に嬉しくなっていたのだが、櫻井さんの突然の訃報に触れ、中学時代に『殺シノ調べ』を聴いて受けた衝撃について言わずにはいられなくなって勢いのまま書いてしまった。

櫻井敦司さん、ありがとうございました。

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