過去記事:Quoraデザイナー上杉周作くんの講演「もしデザイナー2ヶ月半の若者がデザインの話をしたら」にいってきました
かなり前に個人のブログで書いた記事なのですが、読み返して見たら今でも全然変わらず大事な話をしていたので、noteでも共有します。
「いつの話だよ!」ってレベルで前の話ですみません。
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2011年7月8日慶応大学湘南キャンパスにて、Quoraで4人目のデザイナーとして働いている上杉周作くんの講演があったので当日の仕事は時間を空けさせてもらって、いってきました。どうせなので、メモをまとめるついでにみんなとシェアできればと。
今、デザイナーが足りない
シリコンバレーのでのビジネスの特性上必要とされる“技術”と“デザイン”を双方理解しているデザイナーが少ない。それは、ここ5年間で開発のスピードが劇的に変化したからで、
昔:一ヶ月に一回の更新
今:毎日、日々更新している
ということでスタートアップ(ベンチャー企業が売り上げもあまりない状態で、お金を出資してくれる方々に支えられながら、ビジネスをしていく会社のこと 引用元:http://mishuku.net/archives/2009/03/post-144.php)を理解したデザイナーがすごい必要になってきた。
今からでも遅くはないので、その双方を理解する事ができれば他の人たちと差別化できるという事だそうで。
シリコンバレーにとってデザインとは"見えない決まりを作る"こと。
まずシリコンバレーでは日々トップクラスの人材が、トップクラスの難題にチャンレジしている。
Facebookであればどうウェブをリアルにもってくるかということ、
Twitterであればリアルタイムの情報を集めるかということ、
Quoraであればどうやって人々の知識を集めるかということ‥‥
そういった難題に対して資金と良い人材を集め取り組んでいる。
シリコンバレーではアイデアには価値はない。
数学で公式だけがあっても点はもらえないのと同じ。
なので、問題をどうやってどれだけクオリティ高く早く解決したかにかかってくるってことなんでしょうね。
これはデザイナーがラフ案で良い手書き案持ってきても、
仕上がりがうんこだったらうんこだね。っていうのと同じですね。
ここで、少しMacの中で見れるデザインのこだわりや、フィッツの法則(フィッツの法則 Wikipedia - http://bit.ly/pqJkHq )が適用されているという話を。
1:Macはメニューバーがウィンドウについてこない。常に上にある。なぜかというと、ボタンクリックのエリアは大きければ大きい程ユーザーは辿り着きやすい。ウィンドウズと違い、Macだとメニューはウィンドウを通り越してもつっかかってとまるからクリックスペースは実はウィンドウの上までにもある。という感覚を与える。
2:メニューの最後に…が付くものはクリックをすると必ずその次にもう一つステップがあるものになっている。
3:ごちゃごちゃしたデータであふれてるときなどにもそうでない時にも必要な「検索」。Macの検索ボックスは全部角が丸い。必ず全て丸くなっている。Finderやアドレスバー。iPhoneもそう。そういった所から無意識に「あ、これで検索だな。」と分かるように設計されている。
このように目的にあわせて、細かい試行錯誤がおこなわれた、こだわりではない“ルール”が存在しているんですね。そしてそれがユーザー体験の中で無意識のうち活きてくる。
その前提の中で会社の中の役割には3つ種類がある。
エンジニア:機能を作る
ビジネスマン:宣伝をする
デザイナー:複雑な物事を整理し、そうでなく感じさせる「見えない決まりを作る」こと。
プロダクトデザインはビジョン先行
従来プロダクトデザインとは椅子やコップなどの事を指していたが、最近ではシリコンバレーでは“コト”がプロダクトデザインだと呼ばれ始めている。
つまり、機能ありきのプロジェクト、デザインではない。と。
だから機能などを追加したアップデート事にデザインをしていくという事ではない。目的にあわせて機能を選んでいく。
Quoraの例を一つあげると、
Quoraは目的としてQ&Aを実名でつかってクオリティの高い答えを提供する事なので「同じ質問は一つにしたい」。なので質問ボックスと検索ボックスを同じにする事によって、同じ質問を投稿させないようにしたりしています。
その“目的”に直結したデザインが施されているんですね。
間の良さとか、色、整理の仕方、もすべて目的が明確なものになっていてそれに直結している。
シリコンバレーのデザイン手法:
まず目的をつくって、それを元に見えないルールを作り、そして機能を利用する。
これ“デザイン”の基本です。
僕もまだまだですが、デザイナーは制作会社に入ったら最初そうとうの質問攻めにあいます。「ここはどうしてこうなの?ここは?そこは?」ってな具合に。それに全部ちゃんと答えられなきゃいけないわけですね。
なので基本は一緒なんですけど、ただこっちのデザインの方がもっと目的がロジックな気がしましたね。紙とか“グラフィック”というからのデザインだと雰囲気だったり、センス的なところで決めたりする事がおおくて。(レイアウトはまたちょっと違うけど)ちょと変な位置に写真置いてみたり、とかね。その違いが結構聴いてて感じましたね。
機能からのデザインだと:
ユーザー(要望)→機能→デザイン
これが続くと、製品としてのビジョンがすごい揺らいでしまう。多くのユーザーのリクエストを聞くため。
プロダクトデザインだと:
ビジョン→目的→デザイン→機能→ユーザー→フィードバック→ビジョン
どんな事をしてもビジョンは揺るがない。
なので、意味のある方向で会社を作りたいということがあったらプロダクトデザインの方向で。
優秀な人材を獲得するためにはショートカットしないこと
技術や経営、そしてデザインの価値観が分かる人は少ない。だから人材が足りていない。(そうとう優秀な人材が求められてるんですね‥‥)
なのでまず駄目な人を採用しない。そういう人がいると、会社の雰囲気も変わり優秀な人までも近寄らなくなるから。
シリコンバレーでは、人を面接するとき「知識は聞かない」という暗黙の掟がある。簡単なプログラミングの問題を解かせるんですね、そうるすと初心者は速くきれいに書けない。上級者にはできる。
知識を聞いて「これとこれ知ってる?」と聞くとほんとのスキルを知ることが出来ない。ショートカットになってしまう。それをさせない。
色々とシリコンバレーでの現状を交えた話をしてくれて、本当に良い刺激になった。今まで周りになかなかそういったスタートアップに興味のある人たちが居なかったんだけど、そういう意欲のある若い人がこんなにいるんだ!って事もわかったし。とてもうれしかった。
そしてなにより上杉周作くんの頭のキレは半端ない…。
デザイナーがこれから身につけなければいけないスキルが山ほどあるんだなぁ〜と危機感も覚えつつ、気合いが入ってきましたよ。
最後の質疑応答で気になったのは、シリコンバレーの弱点は?という問いに対しての答え。
“シリコンバレーのエンジニアの弱点は、人を見下すという事。
これは一番やっちゃいけない。あとは、自分の会社に対して異常な気持ちを持つ事とか。”
この間のTEDにも、モラルの無いテクノロジーは争いや破壊を生み出すってスピーチあったなぁとか思いだした。
そのテクノロジーで、人をどういう方向に向ける可能性があるのか、そこも踏まえてしっかり考えていきたいと思います。
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