第一 vs 大濠から見る日本バスケの問題点

2020年のウィンターカップの福岡予選の決勝が行われました。

対決は、お馴染みの福岡第一 vs 福岡大濠。昨年の河村くんブーム以来、バスケファン以外からも注目を集めている試合です。

さてさて、福岡第一と福岡大濠共にバスケットの強豪校ですが、バスケに対するスタンスが異なります。

福岡第一は、国内でもいち早く海外から留学生をバスケ部に受け入れて、留学生を中心としたチームづくりをしています。 ディフェンスからの速攻とパスワークからの留学生のゴール下が武器です。一方で、第一と比較すると大濠は個人技が多い印象があります。

結果は、第一の勝利。留学生のゴール下の強さからの4 outによる攻めで完全勝利でした。

福岡第一が強豪であることは間違いありませんが、この勝利を余り喜べない自分もいます。日本のバスケの発展のために、日本の選手が海外の選手になれることは必要です。しかし、私は、この留学生を受け入れる制度に関しては、教育の観点から、いかがなものかと考えています。

当然ではありますが、学校の部活は教育を主に考える必要があります。経営重視をするからと言って、コンプライアンスをおざなりにすることは許されません。しかし、海外の輸入選手で勝ちに行く行為は、その考えから外れた行為と言えます。

1人留学生を入れるということは、1人、ベンチに入れるはずだった子が入れなくなるということです。その子の教育の機会を奪うというのはいかがなものでしょうか。

また、輸入選手が走り過ぎた結果として、延岡学園のような事件も発生しました。延岡学園の問題は、2018年にコンゴ共和国の学生が大会中に起こした暴力事件です。彼は、フランス語しか話せなかったにもかかわらず、学校側にはフランス語が話せる教員が誰もいない状態で受け入れられました。結果、日本で孤立した彼は精神的に不安定になって起こした事件です。

この事件は、勝利主義が進み過ぎた結果、学校側が、留学生を受け入れる体制もできていないのにもかかわらず、留学生を強引に受け入れていることが露呈されました。

遠い国からやってきて、誰とも話せない状態は大人でも辛いものあります。ましてや15歳の多感な時期では当然の結果と言えるでしょう。結果、FIBAからも日本の高校バスケの留学生の受け入れは問題視されています。

日本のバスケの発展のために海外の選手になれる必要があると本気で考えるのであれば、むしろ、スラムダンク奨学金のように日本の選手が海外に行けるようにする方が筋でしょう。実際、アジア系であるにもかかわらず、アメリカでバスケをしていたジェレミーリンは、見事NBAで活躍しました。

今回、2連覇中の福岡第一は確かに勝ちましたが、輸入選手まで持ち出す勝とうとする歪んだ勝利主義を高校の部活に見ているようで、モヤモヤした気持ちになります。

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