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『がや』を作る

多くの人が集まる集会にて

民主主義国家では多くの場合多数決により物事が決定されてきました。その場合リーダーはより多くの人々の気持ちを引き付けて賛同を得るという事はある意味、最重要課題だと言えます。また民主主義ではなくても、ナチスのヒットラー総統や今、紛争中のウクライナのゼレンスキー大統領、ロシアのプーチン大統領にしても演説は分かり易い。日本の安倍晋三首相も上手でした。

彼らほど演説そのものが上手でなくても、私達にも可能な、場が盛り上がってかつ人々の共感を得る比較的簡単な手法があります。

『がや』を作る

『がや』とはスポーツチームのベンチやバラエティー番組のひな壇から声を出す、いわば『にぎやかし』です。会議やイベントの発言の場では『真剣さ』が必要な事は言うまでもありませんが、そればかりを追求すると場の雰囲気が暗くて堅いものになります。

私自身、『会議は明るくハードに』をモットーにしている事もあり、自らテンションを上げて盛り上げるように努めていますが、それだけでは限界があります。こういう時『がや』は役立ちます。

例えば誰かが部屋に入ったとたんに『よっ、待ってました!』と手を叩いたり誰かの発言に対して『その通り!』『いいよ!』と合いの手を入れたり、といった具合です。それによって誰もが勇気を得て発言するようになり、会議の雰囲気は思惑通り明るくなります。

一方で、的外れな『がや』が飛ぶと妙な空気にもなりますので、飛ばす側のセンスが問われます。だから騒々しい中にも一定の緊張感が残ります。その意味では歌舞伎の『大向こう』による掛け声に近いのかも知れません。

勝手に言いたい事を言うのではなくタイミングを見計らって的確な言葉を掛ける。それによって場は盛り上がるが、ふざけているわけではないという、ギリギリの線を狙います。 そうすると全員が参加しているという雰囲気が醸し出されて場は盛り上がります。

上司自身が無理してテンションを上げるより、意図的に『がや』を増やすような演出をするのも上司の重要な役割です。例えば会議の時、積極的に『なるほど!』『いいね!』などと合いの手を入れるメンバーを決めておく手もあります。

昼食Meetingは楽しい上に意見が出やすい

わざとらしくなっては逆効果ですが、正に『大向こう』のように大人らしい声の掛け方はあるはずです。

ローマの元老院にて

民主主義の国であった時のローマの元老院では市民が発言する際、重要案件に対してあらかじめ根回しをしておく事と、スピーチに合わせて大きく頷くという役割の人を数人雇うという事が為されていたそうです。そうする事で市民の発言内容がその場に居合わせるの多くの人々の賛同を得ているという錯覚を引き起こすそうです。

活動写真に音声が無かった当初は弁士が上映時に映画館で音を付けていました。初めて無声映画に音声が付いた当時の米国の喜劇を見ていると、笑うべきシーンで笑い声が一緒に収録されていて、まだ幼かった私は意味が分からず、『この笑い声は邪魔になるな』と思ったものです。

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