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限定の魔力

自然な心の動きを活用して人間関係を良好にする例として次のようなものがあります。

限定の魔力

人には去りゆくものに魅力を感じ、それを入手したくなるという気持ちがあります。『残り10個』『期間限定』等と聞いてしまうとたとえ行列に並んでもついつい欲しくなってしまいます。この『限定』に魅力を感じるのはなぜでしょう。

人には自分の自由が制限されると感じるとそれに反発し、その物に執着したくなるという心理が働きます。これは心理学では『心理的リアクタンス』と呼ばれています。限定品の場合は品質がどうであれ、商品の数が制限されているという事でほしくなってしまうのです。

この心理を活用して好きな彼女をデートに誘う場合、
『映画を観に行きませんか?』は普通の言い方でこれに比べて『この映画、今週いっぱいで公開が終わるんだけど、一緒に見に行きませんか?』

このように付け加えると『あの映画が終わる➡映画を観る自由が失われる➡そんなのは嫌だ!』という心理状態になって『一緒に映画を観に行く』と言う行動を引き出せる場合があります。

また最近あなたが『メール依存症』だという場合、この『心理的リアクタンス』をスパイスとして活用できます。あなたが昼夜を問わずメールを送っていると相手にはドキドキ感が無くなってくる場合があります。

そんな時『ごめんね、来月20日に昇格試験があって勉強に集中したいから試験が終わるまで夜しかメール出来ない』と言います。そしてメールの本数が減ると、相手はあなたのメールが恋しくなります。これとはべつに誰かにアドバイスするというのも考え物です。

今年もクリスマスシーズンになりました

的確なアドバイス

心の悩みを相談すると的確にアドバイスしてくれるのはありがたくない人です。悩みを打ち明けているのに何も分かってくれないと心を閉ざしてしまうかも知れません。人から相談されるとか悩みを打ち明けられるのは気分がいいものですが、それでいい気になって『元気を出しなさい』とか『甘えている』とかのアドバイスする事はやめるべきです。

精神科医や臨床心理士は仕事として先ず相手の話に耳を傾けます。その上でアドバイスはしません。徹底的に相手の話を聞く。そうすると相手の心は軽くなり、心のバランスが回復します。

どんな人も一番興味があるのは自分ですし、大切にしたいのは自分の気持ちです。心のバランスを崩した時はその原因を知りたいのではなく、今の自分の気持ちを誰かに聞いてもらいたいだけです。

従って聞いてくれる人には好感が持てるが、原因を指摘して改善を求める人には悪意すら感じる事があります。心のバランスが取れている人でも他人のアドバイスは説教がましく聞こえ、あまり愉快なものではありません。

それではどうすればいいか。相手はただ話したいのですからとにかく耳を傾ける。批判したい気持ちが生じても頷くだけ。アドバイスを求められても冷静に的確な意見を述べようとするのではなく『相手の心を軽くする程度の話』を提供するに留める。

悩める人はどちらにしても自分の力で解決方法を見つけ出さねばならないのだから、相談されても黙って聞いているだけ。そういう姿勢が後になって感謝されます。


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