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引いてみる

私は来年、70歳になります。家族に指摘されて今頃になって気付いたのですが、若い人と話す時にいつの間にか上から目線の説教口調になっている事がたまにありました。更に自分の意見に反対されると感情が高ぶって口論になってしまう事もありました。これではいけない、嫌われる爺さんになってしまうと思いつつもたまに繰り返していました。

これは体の衰えにより、以前は得意であった事が、うまく出来なくなった事による自信喪失が大きな原因と思います。尊敬され好かれる爺さんになりたいなら、感情をコントロールして『引く』事によるメリットや『ダブルの損』を思い出して会話をした方が周囲の人に嫌がられず、また自身の為になると思います。

『引く』

押されれば押し返すのが感情の法則ですから、引かれれば引いてしまうのも感情の法則です。気の合わない相手でも、あっさり『ごめん』と言われれば『そんな、謝るような事じゃないよ』と受けるのが普通の人の気持ちです。

自分の意見を主張してくる相手でも、『それもそやな~』とか『なるほど~』といった簡単な合槌を打ってもらえれば、あえてその意見にこだわる気持ちは薄くなります。少なくとも頭ごなしに反対されるより対抗心は無くなるでしょう。従って感情的になり易い人は『引く技術』を覚えるといいでしょう。実はこれは簡単だし、疲れません。

押したり押し返されたりは疲れますが、相手を許容して自分をすっと引いてしまえばそれで相手も押さなくなるから楽なのです。しかも結果は同じです。

なぜなら押し合いになっても決着は付きません。お互いに感情的になってしまえば、自分の意見に固執して、聞く耳を持たないのですから、引き分けです。腹立たしさだけが残って、結局何の進展もありません。

お互いにすっと引けば、これも引き分けです。でも腹立たしさは残りません。しかもお互いの長所を取り込んで、ベターな結論を出す事ができます。

『じゃあ、君のやり方で先ず試してみて、うまくいかないようなら私のやり方に変えてみよう』『じゃあ、A社の交渉は君に任せるとして、社内の説得は私がやってみよう』というような、ひとまずの結論が出せます。これで一歩前進できます。

『ダブルの損』

『もしあなたが、誰かに期待した微笑みや挨拶が得られなかったら、不愉快になる代わりに自分から微笑みかけて下さい。実際、微笑みを忘れた人ほどあなたのそれを必要としています』貰えるはずのものが貰えなかっただけで『損した』と思うのにこちらがそれを与えるなんて、これは『ダブルの損』だと、以前は思ったものです。

しかし、後で気付いたのは、ダブルに損をすると『得になる』という事でした。『シングルの損』だけにしておくと残るのは腹立たしさや口惜しさだけで、『機会があれば仕返しを』とまで考えてしまいます。ところがダブルに損をすると、そこには褒めてやりたい自分が残ります。『よかった』という満足感が残るから不思議です。

ダブルの損を実行するのはなかなか難しい。まず相手の立場になる心のゆとりが必要です。『相手こそ私の欲しいものを私以上に必要としているのだ』と考える事が出来るこの心のゆとりは自分中心に生きている限りは生まれません。それは一つの『許し』です。

次に自分を大切にするという決心が必要です。相手の出方に左右されず、自分は自分であり続けるという強い意志とプライドがダブルの損を可能にしてくれます。売り言葉に買い言葉的発言をしてしまった後の惨めな思いを誰しも経験していると思います。許す事によって相手から自由になれます。

『行く言葉が美しい時、帰る言葉も美しい』という韓国の諺があるらしいです。

私が入院した直接の原因であった化膿性骨髄炎を発症した部位は背骨が腰骨と接合している部分で、印度の伝統的医術アーユルヴェーダではクンダリーニという生きる力を増幅して前頭葉に上げていく大変重要な渦巻き型をしたチャクラ(つぼ)だったようです。

ここに問題があると、『やる気という積極的に生きていくのに大事な力が入らない』と印度の医学書に書いてありました。先日の病院の定期健診では完全に治癒しているという事でしたので、老化を克服して『輝くじぃじ』を目指します。


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