そのことは金曜日に考えるから no.22
金曜日になりました。
Opening
この2週間ほどで、世界はあまりにも変わってしまいましたね。
剥き出しの暴力や、悪意を取り出されると、それまで”抑止力”とか”建前”とかいう言葉で隠されていたものが、それもまた、だたの暴力になり、ただの危険になるという、考えてみれば当然なのだけれど、非常に厳しい現実が広がってしまって、本当に途方にくれますね。
いま起きてしまっている戦争そのものの悲劇性はもちろんのこと、ゲームルールが、強引で、悪質で、独善的なかたちで変えられてしまい、その横暴に抗うためには、既存のゲームルールを捨てざるをえないというジレンマに、多くの善良で、自制的で、それでいてぎりぎろのところで緊張感を構成することのできていた国際情勢のステークスホルダーたちが、否応なく、巻き込まれてしまうという。
また剥き出しの暴力を取り出してしまったほうも、それはもはやコントロールを失って、ゲームに勝つしかないというシステムに飲み込まれてしまうので、止めようにも止められない。オートマティックに、それはまさにブラックホールのように、すべてのひとたちが(意志の如何にかかわらず)否応なく巻き込まれてしまう。その自動性の恐ろしさといったらないわけです。
80年ほどまえ。我が国がたどった一連の悪夢の過程は、その”自動性の恐ろしさ”を持っていたのではないでしょうか。ドミノを倒してしまったら、そのドミノの重さに、誰もが耐えられないのです。
剥き出しの暴力には、剥き出しの正義=つまりは暴力で抗うしかないわけで、残酷な選択がなされていく国際情勢の様子を、ただただ注視する日々です。そして、その残酷な選択は、僕らも常につきつけられているわけです。
それでは、気が重いですが、今週も。
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