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HIROBA公式マガジン

水野良樹(いきものがかり)の実験的プロジェクトHIROBAの公式マガジンです。毎週金曜日にラジオ的長文コラム『そのことは金曜日に考えるから』が更新されます。その他の記事も随時更新…
ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式マガジンです。HIROBAは『つくる、考える、つ…
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#柴那典

読む『対談Q』柴那典さん(音楽ジャーナリスト)前編①

水野:さぁ、今日のゲストは音楽ジャーナリストの柴那典さんです。よろしくお願いします。 柴:よろしくお願いします。 水野:柴さんが『平成のヒット曲』という本を出されました。平成から令和に至るまでの約30年間。それぞれの年のヒット曲、話題の曲をテーマに、楽曲と社会とを照らし合わせて考えるような論考です。たくさん僕の発言も引用していただいて。 柴:そうなんです。2010年の曲として、いきものがかりの「ありがとう」を選ばせてもらいました。2010年頃というのは、ちょうど

読む『対談Q』柴那典さん(音楽ジャーナリスト)前編②

柴:平成が終わった直後って、まだ平成という時代をどう総括するか、フワフワしていた気がするんですよね。たとえば経済だったら、失われた何十年って言い方とかも定着しているし、イメージも固まっているけれど。我々が対象にしているポピュラー音楽、J-POPの平成ってどんな時代だったか。変わった直後は、僕もよく位置付けられてなかったんですけど。まぁ今になって、本当に言えるのは「平成=コロナ前」っていう。 水野:ああ、なるほどね…。 柴:本当にその記憶とイコールになってしまった。とくに最

読む『対談Q』柴那典さん(音楽ジャーナリスト)前編③

柴:これ、いつも僕がインタビューする立場だから聞きたいんですけど。水野さんってHIROBAで『OTOGIBANASHI』を始めて。あれ、めちゃくちゃ大変なプロジェクトだと思うんですけど。素朴な質問として、なぜあんなに大変なことをやろうと思ったのか。 水野:なんかヒントが欲しかったんでしょうね。『OTOGIBANASHI』って企画が終わって、今、振り返って思うんですけど。なぜ、ひとは物語を作るのか、なぜ、ひとは歌を作るのか、というめんどくさいことを考えるんですよ。 柴:ええ

読む『対談Q』柴那典さん(音楽ジャーナリスト)後編①

柴:なんか今年去年くらいからヒットチャートを見るようになって、気づいたことがあって。『ヒットの崩壊』にも書いたけど、オリコンランキングよりもビルビードのチャートをよく見るようになった。 水野:へぇ、そうなんですか。 柴:ビルボードのチャートって、CDだけじゃなくてサブスクの再生回数とか、ラジオとか、複合して集計しているんですけど、毎週見ているとポーンって1位になって、すぐに消えていく曲と、2位から5位あたりにずっといる曲と2パターンあって。目立つのはパーンと1位になって、

読む『対談Q』柴那典さん(音楽ジャーナリスト)後編②

柴:『犬は歌わないけれど』で、何よりグッときたのは、書き下ろしの「親友」で。僕、コロナ禍のいきものがかりをZoomで見ていたんですよ。 水野:そうですよね、「今日から、ここから」のとき。柴さんにあのやりとりを記事にしていただきました。 柴:「今日から、ここから」という、亀田誠治さんといきものがかりが、日比谷音楽祭に向けて作った楽曲。あれって、本当に1年かけて作ったんですね。 水野:まさに1年ですね。途中、どうしても中断する時期もあったので、Zoomでやり取りしながら。