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HIROBA公式マガジン

水野良樹(いきものがかり)の実験的プロジェクトHIROBAの公式マガジンです。毎週金曜日にラジオ的長文コラム『そのことは金曜日に考えるから』が更新されます。その他の記事も随時更新…
ソングライター水野良樹が主宰するHIROBAの公式マガジンです。HIROBAは『つくる、考える、つ…
¥800 / 月
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#彩瀬まる

『小説家Z』 水野良樹×彩瀬まる 第4回:長編物語で行けるといい場所。

<光る野原を 君にあげたい>の最後一行。 彩瀬:よく他の作家のひとと、「ひとつのお話をずーっと嘘のない形で書いていくと、最後のほうでやっと普遍性に触れられる」みたいな感覚について話し合うことがあります。たとえば、オリエンタルランドのアトラクションとかって、安全な設計がされていて、ここで上がって落ちて、キャーッ!ってなって、最後は出口まで連れてってくれて、「ばいばーい」ってなるじゃないですか。それはひとを安心して楽しませるエンターテイメントで。 水野:はい。 彩瀬:でも多

『小説家Z』 水野良樹×彩瀬まる 第3回:作家に冷静でいてほしいか、それとも、いちばん猛り狂っていてほしいか。

1か月ぐらいスケジュールが空いたとしたら。 彩瀬:たとえば、水野さんが洞窟に閉じ込められて、もうひとりだけ。音楽を作っても聴くのは自分だけ。自分の魂を慰めるための曲を作る。ってなったら、今とはまったく違う曲を作られますか? 水野:作ってみないとわからないところがあるんですけど…。曲を作ることは間違いないですね。 彩瀬:あぁー。 水野:2~3年前、すごく忙しかった時期、本当に疲弊して精神的にヤバくなって。スタッフのみなさんが気を遣ってくれて、1~2週間の休みを取ってくれ

『小説家Z』 水野良樹×彩瀬まる 第2回:綺麗に清算できないもののなかで、いかに楽に生きていくか。

作者の人間くささが、出ている小説と出てない小説。 水野:物語って、フィクションじゃないですか。一方で、現実の彩瀬さんが経験されている日々や、考えていることがあって。その元の“原液”とフィクションとの距離ってどれぐらいのものですか? 彩瀬:私はそんなに遠いほうではないんだと思います。幻想的な風景や物語を書いているときでも、根っこの部分の起伏というか、喜怒哀楽や、「何か今すごく不思議な感覚があったぞ」みたいなものは日常の体感から作っていることが多いので。 水野:距離がないほ

『小説家Z』 水野良樹×彩瀬まる 第1回:小説を書く体感は山登りと同じ。

五感が働く細部の感覚をみちみち書くのが好き。 水野:小説家Z。このコーナーは小説家の方、物語を作られている方に、どのように物語世界を作っているのか、なぜ物語を書いているのか。2つの軸をテーマにお話を伺っていくトークセッションです。今回のゲストは作家の彩瀬まるさんです。よろしくお願いします。 彩瀬:よろしくお願いします。 水野:まず彩瀬さんとの繋がりのスタートラインとして、HIROBAの『OTOGIBANASHI』という企画に参加していただきまして。「光る野原」という歌詞

『光る野原』ができあがるまで

HIROBA『OTOGIBANASHI』が10月28日講談社より、刊行されました。水野良樹(いきものがかり)が2019年から始めた実験的プロジェクトHIROBA。 そのHIROBAに5人の作家が集い、5つの歌と、5つの小説が生み出されました。5つの歌がどのようにつくられていったのか。その創作ストーリーを、作曲を担当した水野良樹が1曲ずつ語っていきます。 『光る野原』『光る野原』 作詞:彩瀬まる 唄:伊藤沙莉 編曲:横山裕章 作曲:水野良樹 作詞:彩瀬まるさん(小説『みち