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反射的に非公開

 NHKが、自局制作のドラマ数本を(でも大河が何作か含まれているため、話数は膨大)7/1の23:59でオンデマンド非公開にすると発表した。
 これは明日から真剣に見直さねばならない。
 『鎌倉殿の13人』を。

 4点、納得いかない点がある。

 まずサイトに掲載された、非公開理由の記述。「都合により」と書いてあった。オンデマンドを見たいと思うひとならば、おそらく非公開理由はすぐにわかるはずだ。
 某出演者、自殺幇助の疑いで逮捕の影響により。なぜはっきり書かないのだろう。逮捕されたことは事実ではないか。ぼかしても意味がないと思う。

 二つ目。事件らしきものが起きてすでに40日が経過しているそうだ。なぜ今、このタイミングでの非公開に踏み切ったのか。
 社会的影響を鑑みるならすぐに非公開にして、ある程度の様子がわかったら解除、の方が理解は得やすいのではと勝手に思う。

 三つ目。「なぜ逮捕された人間一人のために、100人を超えるキャスト、スタッフが関わったドラマを非公開にしなくてはならない」のか。これは『鎌倉殿の13人』関連番組を見て、スタッフだけでも、100人関わっていると知ったからなのだが、彼の出演しているドラマは他にもあり、総勢何人関わったか考えると計り知れない人数が関わっている。たった一人の逮捕でふいである。
 今回は薬物乱用等、社会的にすぐ影響があるとは思えない、ご本人の心の深淵に関わりそうな事件であり、ドラマを見て影響されるひとがいるとは、すこし、考えにくい。そしてこのことを知ったら、ご本人はますます追い詰められるのではないかと、僭越ながら心配もしている。


 そして最後の疑問。

 NHKオンデマンドは、受信料プラスお金払わないと見られないんだが!!
 わたしたちの『お金を払ってでも見たい』という気持ちをどう考えているんだNHK!!

 わたしは日頃から比較的NHKを視聴する方だが、視聴しているか否かに関わらず、
NHKが映るテレビ設定に勝手にしておいて(NHKが受信できないテレビは日本では販売していないという事実)、
 見てもないのに受信料を請求して集めるという、ちょっと嫌な書き方をすると、

「受信料をさも税金のように強制納付させる放送局」がNHK

 と、わたしは捉えている。
『鎌倉殿の13人』やその他の番組にも、どれだけのキャストスタッフが関わってきたことか。
 某映画は、大麻で逮捕された演者が出演しているが、予定通り公開されるという。もはや、逮捕者が出たから反射的に非公開、の時代ではない。
 視聴者は知っている。
 作品を作るのにどれだけのひとたちの苦労があるのか。単純に非公開では納得ができないと思う。

 わたしたちが納めている受信料で番組制作をする放送局ではないか。放映するか否かも私たちに問うたらどうだろう。あまりにも不透明すぎて、全くもって納得できない。
 しかも、去年放送していたばかりの大河ドラマだ。逮捕者の出演シーンは両手で数えられる。いや、この際メインキャストであったとしても、NHKだからこそ、

 わたしたちのお金で作った番組を、受信料プラスアルファで視聴する権利を奪うな、とわたしは強く主張したい。


 ちなみに、わたしは手塚治虫著「ブラックジャック』の大ファンだ。単行本のラストには必ず、1ページに渡って注釈がなされている。記憶を辿りながら簡潔に書こう。

曰く、
「現代の人々が読めば差別的表現もあるかもしれない。しかし本作品は大変素晴らしく価値のあるものである。それらの差別的表現等を削ると、作品の良さが失われる可能性がある。そこで執筆当時の時代背景を鑑みて、そのまま掲載してある。どうかご了承いただきたい。」

 わたしは、『ブラックジャック』で納得いかない、不快だと思ったことはない。父が集めた漫画だが、父も不快だと思えばお金を払って全巻集めなかっただろう。わたしも苦手な回は今でも読み飛ばす。
 これが、わたしたちが自由にエンターテインメントを楽しむ権利を尊重している例だと言えるのではないか。

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