ガイナックス(GAINAX)破産

ガイナックス(GAINAX)破産

2024/5/29確定の破産のニュース
アニメ業界での破産の話題としては、虫プロダクション以来の大物になるのかな~。

アニメ業界は、小さいスタジオが出来ては消えるを数多く繰り返してきた業界でもあったりはします。その中で、一定の規模以上に発展し、ヒット作品を世に送り出して知名度を得た会社は、実はそれほど多くは無いと思います。発展的解散をするスタジオや、吸収合併するスタジオも多いし、子会社化する会社も多かったりしています。エンタメ業界も、デジタル化の波、多様化の波の中で、再編が進んでいる印象を受けたりもします。そんな中での名のしれた会社の破産のニュースは、インパクトのあるものではあったのかなっと思いますが、メディアでの扱いは、それほどでもなかったのかな~。

設立1984年12月24日に、アニメーション映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の制作を目的として設立された会社、ガイナックスが、破産して、その歴史を終える事になりました。劇場用映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』制作1987年3月公開後、制作赤字返済の為に会社を継続し、様々な作品を世に出してくれましたし、好きな作品も多いです。

テレビアニメーション
『新世紀エヴァンゲリオン』
『ふしぎの海のナディア』
『まほろまてぃっく』
『天元突破グレンラガン』
『魔法少女大戦 』『放課後のプレアデス』
OVA
『トップをねらえ!』
『フリクリ』『トップをねらえ2!』
ゲームソフト
『電脳学園』『サイレントメビウス』
『プリンセスメーカー』シリーズ
などなどなど、

ただ、創業メンバーが別会社へと活動拠点を移していく中で、主力スタッフの退社や放漫経営による経営状態の悪化なども続き、作品権利の売却、貸付金支払い訴訟や、社長の不祥事、などもあり、役員の総入れ替え後に、内部経営の整理を進めて行く中で、破産申立に至り、破産となったという事になります。

ガイナックスの商標は、株式会社カラー譲渡管理される事になった様です。

残念ではありますが、仕方ない事でもあるのかなっと思います。

ガイナックスのIPの殆どは、カラーが引き継ぐ感じに思われますが、IPの管理についても、作品を後世へと残していくという視点から、アーカイブの重要性を感じさせられます。

◯ガイナックス関係者による会社
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「ゴンゾ」
プロデューサーの村濱章司、演出家の前田真宏、脚本家の山口宏、映像作家の樋口真嗣と共に設立。
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「カラー」
取締役を歴任した庵野秀明が設立。
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「トリガー」
演出家の大塚雅彦と今石洋之、制作プロデューサーの舛本和也と共に設立。
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「ミルパンセ」
制作を務めた白石直子が設立。
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「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」
「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)
代表取締役社長 浅尾 芳宣
取締役     木下直哉
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「ガイナックスインターナショナル(GAINAX International)」
代表取締役 小島千本
会長 北川啓二
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「GAINAX京都」「GAINAX WEST」
代表取締役 武田康廣
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「米子ガイナックス」
代表取締役社長 赤井孝美
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「株式会社ガイナックス新潟」
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ーーー以下、ガイナックス発表内容よりーーー
株式会社ガイナックス破産
お知らせ

 去る5月29日、弊社 株式会社ガイナックスは東京地方裁判所に会社破産の申立をおこない、受理されましたことをお知らせいたします。

 1984年の設立以来、弊社ではアニメーション制作やゲームソフトの制作販売等を行ってまいりました。

 『新世紀エヴァンゲリオン』(現在は株式会社カラーが著作権を保有)などいくつかのヒット作にも恵まれましたが、2012年ごろから見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営により、経済状態が悪化していきました。

 当該経営陣の作った多額の負債により、ロイヤリティ未払いによる委員会除名や貸金訴訟等の窮状に陥る中、地方に当該幹部やその関係者を代表としたガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立され、大量の退職者を出しスタジオとしてのアニメーション制作機能も失いました。それらの会社は弊社との無関係を表明し、経営責任を放棄しています。

 そして、1992年より長くその地位にあった代表取締役から、映像制作に知見のない人物への株式譲渡が当時の経営陣の承認のもと2018年に実施されました。さらに2019年、その人物が代表取締役に就任直後に未成年者への性加害で逮捕されるに至り、多額の負債を抱える中、完全に運営能力を喪失するに至りました。

 前代表取締役の不祥事から発した混乱を収拾するため、債権者でもある株式会社カラー様の善意による支援のもと2020年2月に経営陣を刷新し、新体制下で残された様々な資料を確認し実態把握に努めてまいりました。その結果、多額の金融機関からの借入や、アニメーション業界各社への債務不履行、知的財産や作品資料を正当な権利者の許諾なく、上述の経営陣・運営幹部の会社や個人への売却、譲渡等の事実が判明し、それらの正常化に取り掛かりました。

 カラー様と新体制での取締役各位の協力により、主たる作品について各製作委員会などで今後の作品運用が可能になるよう協力各社とともに作品の権利の確認、作家、クリエイターへの権利保護と、散逸しつつあった知的財産や資料の正常な管理や運用に努めてきましたが、多くの旧経営陣が株主として残る状況に加え、前体制時に積みあがっていた高額負債解消には至りませんでした。

 そして本年5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受けるに至り、業務の継続は困難との判断から、このたびの破産の申し立てを行った次第です。

 十全に目的を果たすことができず破産を選択せざるを得なかったことは、債権者の皆様およびご協力いただいた各社様に、そしてファンの皆様にたいへん申し訳なく存じます。

 旧経営陣がこの窮状を一切顧みずガイナックスのブランドを用いて活動継続している中、無報酬にもかかわらず協力して頂きました新体制取締役各位と、取締役所属各社様、作家、クリエイターを第一に知財の整理譲渡等にご尽力賜りましたカラー様を始めとする関係各社に改めて感謝申し上げます。

 また、なによりもファンの方々からの40年間のご支援に心から感謝いたします。

2024年6月7日
株式会社ガイナックス
代表取締役 神村靖宏

付記:
 弊社の屋号やブランドの他者による悪用、乱用を避けるため、「ガイナックス(GAINAX)」の商標はすでに株式会社カラー様に譲渡され管理をいただいています。

弊社ガイナックスは、「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」および「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)、「ガイナックスインターナショナル(GAINAX International)」「GAINAX京都」「米子ガイナックス」「株式会社ガイナックス新潟」「GAINAX WEST」等の法人とは無関係であり、今後、株式会社カラー様との間での利用許諾の無いガイナックス商標の運用は、不正使用となる可能性があります。

 弊社が管理しておりました作品の今後の運用については、破産手続きによる確定後、別途お知らせする所存です。
ーーー以上、発表内容よりーーー

ーーー以下、カラー発表内容よりーーー
株式会社カラー
2024.06.07
株式会社ガイナックスからのお知らせに関して

ガイナックス公式サイトで発表された破産手続きに関する表明を受け、弊社の立場からいくつか補足を致したく、ガイナックス社・現経営体制との関係性も考慮した上で、公式サイトにて本コメントを掲載申し上げます。

ガイナックス社は、弊社カラー代表取締役である庵野秀明の元所属会社でありましたが、庵野は2006年にカラーを設立、翌年2007年にガイナックス社を退職し、その後、ガイナックス社の株主の立場となっております。

弊社としましては、かねてよりガイナックス社の経営不振及び負債の存在を確認しておりましたため、経営に対し、庵野より懸念を申し上げたり、経営改善に向けた提案をしておりましたが長きにわたり受け入れられず、そのような状況であっても、当時の経営陣からの申し出を許容し、カラーとして援助的な融資などを行ったこともありました。しかし、ガイナックス社の状況は変わらず、事態はさらに悪化を続け、2019年には当時の代表取締役が法人運営とは関係のない刑事事件で逮捕されるという事態にまで陥りました。

ガイナックス社前代表取締役逮捕の後、弊社代表取締役の庵野秀明は、『エヴァンゲリオン』シリーズを中心とする関連作品への風評被害を防ぐため、KADOKAWA様、キングレコード株式会社様、株式会社トリガー様にご協力をお願いしまして、各社から取締役に就任して頂く形で経営陣を刷新し、ガイナックス社の内情を把握、アニメーション業界内のスタジオや作家、クリエイター様への未払いだけでも解消をし、知的財産や資料の散逸を防ごうと、各協力会社と共に動いて参りました。

しかし、ガイナックス社のリリースの通り、内情を把握した段階で既に、手の施しようのない状況の債務超過を抱えている状態にあり、ガイナックス社として、業務の継続が困難になるとの判断が伝わって参りました。

そういった状況を踏まえ、作品と知財に関し、クリエイターや原作者、作家がどうにか今後も作品制作・運用が継続可能となるよう、各製作委員会の協力も得て、弊社が権利確認・整理を進め、最適と思われる会社や個人に権利等が譲渡されるよう取り組みました。

そして、多くの業界関係者への負債を少しでも解消するためにも、弊社からの支援を視野に検討を致しましたが、旧経営陣、前代表取締役の債務も保障せねばならないという理不尽な状況に繋がり、十全に返済を厚くする事が叶いませんでした。

新体制取締役各位及び取締役所属各社様におかれては、知財や今後の運用に関し、作家、クリエイターを第一にお考えいただいた整理譲渡等にご協力して頂き、誠にありがとうございました。ご尽力賜りました製作委員会各社へも改めて感謝申し上げます。

最後に、40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません。 なおガイナックス(GAINAX)の商標、称号に関しては、ガイナックス社からのリリースにもある通り、弊社にて取得管理しております。

加えて「ガイナックス社」とは、「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」および「福島ガイナ」(以上いずれも、旧「福島ガイナックス」)、「ガイナックスインターナショナル(GAINAX International)」「GAINAX京都」「米子ガイナックス」「株式会社ガイナックス新潟」「GAINAX WEST」などの、類似社とは別の法人であり、弊社と上記類似会社との間での商標使用許諾契約は行われておりません。

本件についてはダイヤモンド・オンラインでの過去取材記事もご参照頂けます。

https://diamond.jp/category/s-hideaki_anno

© khara, inc.
ーーー以上、発表内容よりーーー





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