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古道具屋で。

私はこんな体質だから地方へ行くと良く、古道具屋に飛び込んで、お宝を見つける。

そんな時、空間が変わり、私に古物が語りかけてくる。やはりそんな時は一人でプラリと店に飛び込んだ時だ。

古物は前の持ち主の思いの強い物が多い。
価値が有る物ほど、人の念が強いと言った方が良いと思う。

有る素敵なヨーロッパアンティークのお店に飛び込んだ時の事だ。
ショウウインドウが私を呼ぶ。
未だ、感性のスイッチ全開の時だから迷わずにそこに直行した。

そこには、金のネックレスが有った。それは金時計だったのだろう、金時計の中が抜かれており、其処に昔美しかったであろう金髪の渦巻があった。

その当時、ものからの読みとりに夢中になっていた時期である。
直ぐに読みとってみた。
それは、ヨーロッパ貴族が若くして、亡くなった、愛しい人の遺髪を肌身離さず持って居る為に当時の特殊技術を使ってペンダントにしたものだった。

店の人は熱心に見ている、私に買わせたかったのであろう。かなり値段を下げてきたが、縁もゆかりも無い人の遺髪は必要がないので、丁寧にお断りして店をあとにした。店の扉の所に長身の外国人が立ってコチラを見送っていた。

物には持つ人の思い入れが入りやすい。
どんなに素晴らしく、高い物でも、過度の思い入れの
物は持たない方が良い。

断捨離で気軽に手放せるくらいが丁度良い。

しかし、上の様な話は、稀であるから話として下さい。

此の逆も古物には有る事も書いておかなければならないだろう。
今は開かれているかどうかわからないが
軽井沢の公民館で暮れになると、地元長野の古物商が
出す骨董市があった。

軽井沢に8年住んで居る内に見つけた、楽しみである。友人達が遊びに来て皆で骨董市を覗きに行った。

今でも想い出す。左に身体が引っ張られる。
止まる。見ると、何やらヤニ塗れの7センチほどのキセル❓らしき物がある。いや、見れば見るほど欲しくなる。財布を持たなかった私は、友人に買うことを勧めた。「えーこれですか?」
「貴方がいらなかったら、私が貰うから、一応買っておいて。」友人は半信半疑で買って我が家にかえった。
それから一晩かけて、交代で磨き上げた。
それは何と、翡翠で出来た龍の彫り物で、龍の髭も折れていない、贅沢品のタバコを吸う小さな吸い口であった。

彼は今でもこの龍の彫り物を家宝として大切にしている。

私の読み取りでは、同じ石で出来たもう一対を見つけたら、更に幸が舞いこむだろうと、出た。

私も街を歩く時は気を付けているが未だに
お目にかからない。

そんな古物の話でした。

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