見出し画像

お福人形

私の実家の隣は有名企業の血縁者のお宅でしたから、お宅の中は素晴らしい調度品で溢れていました。

我が家の母は近所付き合いもよく、皆さんと仲良くしていました。

ある日の事、隣の奥様が私を呼んでいると聞き、外でお会いする事になりました。

その頃「黙って座れば、ピタリと当たる」は本当に実現できるかを実験していた時でしたので、何も言われ無くとも当てていたのです。

まずはご相談内容は家族関係でした。
旦那様が悪い女の人に騙されたのです。しかし、何か
おかしい。「この本当の原因は?」どうかと聞くと。
「この家にある、お福人形が原因だ。」と言う。

「何処にありますか?又何処から来たのですか?」
「ご主人の部屋の天袋に置いてある。ご主人の実家の仏壇の下にあった物を彼が持って来た。」
「作は鎌倉、室町に移る頃、本当に実在した、お福という女性の写し身人形である。お福は福を持ってくる女で彼女が嫁いだ家は次々に裕福になり、その噂は鎌倉一円に広がり、数多くのお福人形ができた。しかしこの家のお福人形は、お福が大切にし、もちあるいたものであった故にお福の心がこもっている。人形は主人のいう事に逆らえない。今回もご主人の願いを叶えたが、結果てきに、家に不幸を招いた。
自分はもう、昇天したい。炊き上げて欲しい」
と言う。

自ら火の中で昇天することを望んでいる。
其れを奥様に伝える。
奥様は後にご主人を説得した。
骨董としても、文化財としても、貴重なものだが、
古い人形がそれを望むなら、と、人形寺に持って行き、桐の箱に入れ名前を書いて火葬にした。
人形寺さんでも、勿体ない本当に良いのかと言われたそうだが、功徳であるからと、珠数まで入れて、火葬にされた。

昔はこの様に、人形供養も行われたのだろう。

人形でも人の念がこもった物は御供養が必要な時があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?