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白蛇伝追記 弥栄4太古からの約束

今治の白蛇伝

娘の夢の中初めて明かされる、太古の約束事の話。

白蛇・・・これ、娘。これ、娘。

娘・・・・え。誰ですか?わたしをよぶのは?

白蛇・・・お前が私を呼んだのではないか。

娘・・・・ええ、まさか、貴方は今治の白蛇様ですか?

白蛇・・・そうじゃ。

娘・・・・やっと、やっと、お会いすることが出来ました。

白蛇・・・人の念とは不思議なものよ、人間が真心を  
     込めて念ずれば、
我ら異界のものにも通じ、三次元で共に
     生きるものにも通じる。

娘・・・・嬉しいです。今回私はどうしても、白蛇様
     とお話をせねば私自身が納得できない
自体が母の身に起こりまして、ほってお
      くこともできず、お話ししたいと
日がな念じておりました。

白蛇・・・お前が小さい時私のヒヒマゴと庭で遭遇し
     ている。
お前はヒヒマゴを静かに掌の上に乗せ
     「可愛い。」といって、楠の木の祠
に帰してくれた。

娘・・・・ハイ、母から白蛇様は我が家の守り神。   
     昔から決まっている事。
「白蛇様を見つけたらこの楠の木の祠にも
      どしてあげなさい」と言われてい
たからです。

白蛇・・・そうであったか。お前の母と言えば、扉に
      挟まっていた小さな白蛇を川に返して
くれたお人だな。

娘・・・・そうです。今その母が大変困っておりま
      す。どうぞお聴きください。

白蛇居住まいを正して話を聞く。

娘・・・・昔から今治の酒蔵は家主神として、大
切に白蛇様を祀ってまいりました。
私も子供の頃、粕ずけ作るお手伝いに
行ったものです。

白蛇・・・そんな時だな、ヒヒマゴに会ったの
わ。

娘・・・・ハイ。
我が家のお爺様は米俵を引きずるような音
     に振り返ると、大きな白蛇の赤い目に射す    
     くめ?られた。
     かま首を持ち上げた姿は相撲取りのような           
      爺様でも抵抗することは出来なかった。       
      と聞いています。

白蛇・・・そうだなあ。
あの男はワシと心で話ができた。大変に
      信心深い男でな、ワシら白蛇だけではな
い、お大師様の信仰も深いお人であっ
      た。
しかし、明治、大正のこの日本が霊性の
       高い良い時代でもあった。

娘・・・・そうなのですね、母からは戦争を挟んで自
      分の弟がこの実家を継いでからという
もの様相が一変した。と聞いておりま
      す。

白蛇・・・そうさなあ。ここは大地主であった
し、できたコメで清酒を作っていた、
ここの地下水脈の水のうまさは未だに
ここら辺では一級品だ。
しかし、戦後の農地解放で小作人に農
地を渡すようにお国から言われてから
はどんどん衰退していった。

娘・・・・そうだったんですね。おじさんも、そんな
      時代に翻弄された一人だったんです
ね。

白蛇・・・しかし、後始末の仕方に問題がある。
信心深くない人間たちが戦後の日本は
増えていたとは言え酒蔵に祀っていた
我々が守ってきた社を何の断りも、祭
りおさめもせずに、勝手に壊した。
我々としてはびっくりもし、人間の身
勝手さを憂いたものだ。

娘・・・・母も嫁に行ったものとして、何も言え
ないでいたと申しております。

白蛇・・・その後この屋は祟られたように当主が
次々に亡くなった。その死に方を、我
らのせいにされてはたまらぬが、悪い
ことが起きると全てものいえぬ我らの
祟りにされてしまうことは、大いに不
満である。
お前たち人間の方が我らと交わした約
束事を守っていないではないか。

娘・・・・初めてお約束のことを伺いますどんな
お約束でございましたか?

白蛇・・・何も聴いて居らぬのか?

裕美・・・ハイ。

白蛇・・・お前の爺さんが酒蔵に社を作って祀っ
た時は蛇神としての扱いを受け、どん
な願い事でも叶えてやった。

裕美・・・お陰様で家内安全、子孫繁栄を欲しい
ままにさせて頂きました。

白蛇・・・我らと人間がした約束はな。
人間は地上の社と我らの生活を守るこ
と、そのかわり、地下の水脈は我らが
守る。良い米、良い酒になるように、
いつも美味しい、美しい水を人間に与
える、と言う約束だ。

5に続く。

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