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白蛇伝追記弥栄9 巫女、よし子、良平、白蛇

巫女とよしこと良平と白蛇様の対談。
良平まだ信じられない。

良平・・・よし子姉さん蛇、蛇、蛇が居るよ
     でっかい。
よし子・・そうよ。屋敷神さまの白蛇様です。

巫女・・・信じられないでしょうね。
しかし、貴方の為に御姿を見せていた
だけました。


良平・・・えっ。蛇から?

よし子・・失礼な事を言ってると、 怒られますよ

巫女・・・いえ、殴られます。

巫女・・・安代さんの最期を見ていらっしゃいま
すか?

白蛇・・・見た。

良平・・・えー。

巫女・・・安代さんの最期の時に隣りは関わっている  
     のですか?

白蛇・・・関わっている。

良平・・・やはりそうなんだ。

白蛇・・・あの夜、人相の悪い男が二人やってきた。
     家に上がり込んで、安代さんが木を切って
     しまうような業者には売らないと言った。

良平・・・あいつだ。

白蛇・・・やっとの事で追い返したあと、様子を
うかがっていた隣りの家の親父が怒鳴
りこ んで来た。

白蛇・・・「下手に出てりゃあ何様だ、何様のつ
もりだ。許さないぞお前たちのせい
で、真水が飲めなかった、うちの家
族はみんな病気で死んだんだ。」
「火つけてやる。もやしてやる。こん
な木造何てイチコロだ。」そう言っ
て暴れた。

巫女・・・それで安代さんは心臓が苦しくなって
亡くなったのですか?

白蛇・・・そうだ。人間が気がついてくれるよう
に、何度も子蛇たちを表に出したが、
気が付くものがおらなんだ。

巫女・・・となりは関わりになりたくなかった?

白蛇うなずく。

良平・・・気がついていたはずなんだよ。
すぐに、救急車呼んでくれたら。

(良平、よし子涙する。 )

巫女・・・これからどうしますか?

良平・・・もちろんカタキを取る。

巫女・・・それをお母さんは望んでいますか?

よし子・・怨みのスパイラル?

巫女・・・お母さんの本当の望みはなに?
それを知るのは良平さん貴方だけです
よね。

よし子・・そのスパイラルは断ち切れる。

白蛇・・・我らもこの地から離れるゆえ、この屋
の人々も、この土地から離れた方が良
い。 我らの護りも、僧侶の納めのお行
までである。

よし子・・この土地の水は白蛇様が護って頂いたから
     こそ。良い水だったのですね。

巫女・・・ならば執着を捨ててこの土地に愛着の
ある方に売られるのも、一つの良策。

良平・・・俺もこの土地に住むことはない。

(良平うなだれて考えている。 )

白蛇・・・貴方がワザワザカタキとやらをとらな
くても先祖からの此の土地が、何かし
らやってくれますよ。
土地とは、そんなものです。

良平・・・執着を持たず、全ての欲を捨て、怨み
や悪想念の世界からも先祖の強欲な想
いからも、解き放たれる。
母さん。
いいよね。母さん。
母さん楽になろうよ。
母さん僕と一緒に行こう。
付いて来てくれるよね。

瀬戸内の夕日が差し込む。

よし子・・あー、素晴らしい夕日。
私のふるさと。

良平・・・よし子姉さん、また、ここに帰って来
たい。母さんのふるさと。

よし子・・ああ、いつでも帰っておいで。待っている
     わ。

(瀬戸内海に真っ赤な夕日が沈む。 )

巫女・・・さあ明日は白蛇様の最後のお行を見届
けなくてはなりません。
良平・・・ぼくも男です。奴らとの一戦、腹をく
くります。
蛇神様、どうぞ最後のお力添えよろし
くお願いいたします。

白蛇、大きく頷く。

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