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西太后の御数珠 1

ミツロウの珠数です。この大きな珠数は昔中国の皇帝、貴族のみがつかった形です。
又このミツロウと言う商品価値から言っても大変な値段の高いものです。丸い珠が一つで家が建つ価格だそうです。

実はこの珠数に少なからず私は関わっているのです。

私はこの珠数を大切な、お寺様からいただきました。
その後旅先の熊本で激痛で入院し、無理に飛行機で東京まで帰り虎の門病院で胆嚢を取ると言う大きなアクシデントに見舞われました。

手術も終わり我が家に帰り、ホットして眠りに落ちました。
目が覚めるか覚めない時ベッドの下から声がかかりました。
「オイ、オイ。」「誰❓誰ですか?」
「ワシだ。珠数だ。」「西太后様の珠数だ。」
私は飛び起きました。

登ったばかりの朝日が部屋の中に光を差し込んでいました。
こんな時間には、悪いことは起こりません。其れに、相手は珠数ですから。そう思って対処したのですが!

「西太后の御数珠?その証拠は?」
「西太后様はお前と同じ病いで亡くなられた。」
PCで調べると、確かに宿敵が死んで
大皿いっぱいの煮林檎を食べて亡くなられた、とある。私の大好物もアップルパイだからよくわかる。

「そんな珠数が何で遥々こんな所に居るの?」
「ワシも不本意だ。西太后が亡くなられた時、宦官がワシを鷲掴みにして、西太后の寝間のベッドの隣りにあった鏡の下の引き出しの中から持ち出した。

ワシの居場所はビロードのフワフワした、引き出しの
中であった。
ワシは西太后の守りの珠数だ。刑場に行く時は得にワシを身につけられた。
さあ、私をここから出してくれ。そして、西安の
青龍寺のお香で、焚き込めてくれ。」
何でこの珠数我が家に西安の青龍寺のお香が一箱あるのを知っているのだろう。
「西安の青龍寺のお香は一箱しかありません。頼みますので、暫くは箱の上でお休み下さい。」と言って
箱の上に置き、中国で買ってきた。絹の袋を被せて、
少し高い戸棚に置いた。
中国に、私を連れて行ってくれた、友人に青龍寺のお香をとりあえず三箱たのむ。
これ又、中国から三日後には届く。今から十年も前の話だ。此のスピードは奇跡としか、言いようが無い。
段々御数珠がいばりだした。

「お前な、ワシを大事にしたら、お前も西太后の様にしてやるぞ。」
これは、私からすればノーサンキューである。
たかが珠数ごときにそこまで、言わしてはおかない。

直ぐ頂いたお寺に青龍寺のお香をつけて、お返しに行った。此方のお寺はご住職も副住職も能力者である。
「此の御数珠が何かいい出すかも知れません、余りわがままが過ぎる様でしたら、富士山の火口から投げ込んで下さい。」そう言ってお返しした。

それからも、此の御数珠かなりのわかままで
「金の御堂を立てよ。」と言ったようだが、
丁寧にお断りして今は、仏像が入っていたお逗子の中に収まって、毎日ありがたいお経を聞いている。

ミツロウの御数珠の話はひとまず終わります。


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