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コックリさん  2

本当にあった、話です。
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全員植村邸に集まり、繁が来るのを待っている。

繁 ただいま。なんだよ、俺だって忙
しいんだよ。母さんの
スピリチュアルビックリ体験に付
き合っている暇はないんだよ。

しかし道子の厳しいまなざしに異様な雰囲気を感じて黙る。

ヒロコ 繁さんお久しぶりです。隣の家のヒロコ   
      です。お聞きしたいことがあります。
貴方はこの家でコックリさんをしたこ
      とはありますか?
繁 唐突になんだよ。そんな事で俺を呼んだ
      のかよ?
ヒロコ 大事なことです。答えてください。貴方
     の頭痛も治るかもしれません。
繁 アッツ。痛い痛い。言わんこっっちゃな
      い。だから嫌なんだ。痛い痛い。
ヒロコ この家でコックリさんをやりましたか・

繁(苦しみ)中学の時母さんがいないのを見計
らって友達と何回かやったよ。
それがどうしたんだよ。
ヒロコ お狐様に最後におかえり頂きまし
たか?
繁 最後にやった時友達が手を離し
て、帰ってしまって、途中でやめ
た。
あっつ痛い痛い。辞めてくれ。

ヒロコ お狐様に謝ってください。
繁 なんで俺が、謝るんだよ。
ヒロコ 貴方がやったことの後始末は貴方自身し
      か解けないのです。
繁 謝るよ。悪かったよ。謝るから。
ヒロコ ここにコックリさんの紙があります。
私の言うとうりこの10円ダマに手を乗
      せてください。
サア、途中で辞めないでください。そ
      うすれば頭痛から救われます。
所で何で「佐賀稲荷と書いたのです
      か?」
繁 遊びですよ、遊び。友達が紙に書いたん
      ですよ。

ヒロコ 罰当たりが、そんな事をしよって。祟ら
      れてもそれは人間のせいだ。
(繁を睨みつける。)

ヒロコ さあ、手を10円玉の上に置いて。
     荷様どうぞお出ましください。
あ、おいでになりました。
長い間ご辛抱くださり、有難うござい
      ました。どうぞ、おかえりください。
お帰りください。お帰りください。
繁 お帰りください。
ヒロコ お帰りになりました。
繁 頭が痛くなくなった。母さん治ったよ。
コックリさんのせいだったのか、中学
       生の時から今まで気がつかなくて
       悪いことをしていたんだね。
しかし、そんなことになっている
      とは、遊びでやったことぐらいにしか
      考えていなかった。

ヒロコ 人間は間違いだらけの動物です。
決して万能ではありません。さあ、お掃
     除をてつだってください。
お狐様はこの部屋を、祠にしておられま
     したので、この部屋を丁寧に
履き清めてください。

皆思い思いの榊を持って部屋の前に立つ。部屋の襖が開く。

道子 何だろうこの、茶色い毛の様な塊。

ヒロコ それはお狐様の霊毛です。

     この部屋にお狐様がおられた形見の様なも
     のです。しかし、この霊毛は私がお焚き上
     げにします。お狐様の思いがこの部屋に
     残らない様榊で祓い清めてください。
     天井もしっかりと履き清めてください。

はらいたまえ、清め給え。祓いたまえ、清め給え。

全員の声がそろい、履き清めが始まる。

         完

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